震災で活用されたTogetterのアクセスは5倍にもーTwitterはいかにして信頼できる情報を速報したのか

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3.11以降、電気の使い方から日本の今後のあり方にいたるまで、あの震災は私たちの価値観になんらかの変化を与えた。特に各種ソーシャルメディアやTwitterが果たした役割を目の当たりにして、その評価を変えた人も多くいたはずだ。

ここにTwitterに関する興味深い二つの調査結果がある。少しひもといてみたい。

最初の調査結果はTogetter(トゥギャッター)が震災でどのように使われたか、というデータだ。Togetterは月間200万ユニークユーザが訪問するTwitterまとめサイト。同社のリリースによると「ユーザが作成するTogetter内のコンテンツ数が急激に増えるとともに、3月のピーク時のアクセスが通常の5倍以上を記録」したそうだ。

リアルタイムにつぎつぎとまとめられる安否情報や復興情報、原発についての専門家による見解など、貴重な情報がテーマ毎にまとめられ、さらにその状態で共有されたことが大きな要因だとまとめている。

ソーシャルメディアの「速報」をどうやって信頼するか?

実際に震災を経験し、私もTwitterをみながら避難をした一人だ。あのような状況でスピード感をもった情報を受信できたことは役に立ったが同時にデマも多く、玉石混淆の情報のなかで「石」の方をどうやって取り除くかが課題だった。

そんななか、個別のツイート情報を一貫性ある「コンテンツ」としてまとめ、また有識者たちがその精度を上げて提供してくれたことは情報に安心感を与えてくれた。

Togetterの大きな役割はその安心感にあったのではないだろうか。もちろんデマや雑な情報も含まれていた。しかしそのデマもまとめられるなど「ソーシャルな」人的フィルタが有機的に機能したことが情報の信頼性につながり、5倍というアクセスにつながったのではないだろうか。

「東北関東大震災に関するデマまとめ」のまとめ

震災以後、ネットやツイッター上には有用な情報が大量に集まると共に、出所不明のデマと思われる内容のものも増えていきました。ツイッター上ではこれらの情報に対しての検証作業が進められ、トゥギャッターにはデマ情報のまとめも作成されました。

マスメディアの情報に求める正確性

もう一つの調査結果はBIGLOBEが提供しているTwitterの分析サービス「感°report(かんどれぽーと)」のツイート内容(3月11日から4月10日まで)を分析したもの。

こちらにも震災当日のTwitter利用拡大があらわれており「1日のツイート数が通常の1.8倍に急増。ツイート内容も通常はエンターテインメント情報が約6割を占めるところ、震災関連のツイートが7割を占めた」そうだ。

興味深いのはツイートに含まれるURLの被リンク先ドメインだ。NHKや東京電力など一次情報に近いものを選択し、できるだけ正確な情報を引用しようとしていたことがわかる。

【3月11日~4月10日 被リンクドメインランキング】<引用の多かった代表的な記事>

1 NHK 各放送局災害情報:
http://www3.nhk.or.jp

2 東京電力 計画停電グループPDF:
http://www.tepco.co.jp

3 asahi.com(朝日新聞社) <福島第二原発3号機、原子炉停止に成功 東電 – 東日本大震災>:
http://www.asahi.com

二つの調査結果から震災当日に情報を求める人々がどのようにTwitterを活用したのかすこし追いかけてみた。単純に正確な情報を求めるだけであれば一次ソース(報道発表)などを待てばいいが、こういった非常時においてはそこに速度も求められる。そのなかでユーザー同士が協力し合い、可能な限り信頼できる情報を作っていった様子が伺える。

普段何気なく使っている「ソーシャルメディア」がどのような機能をもっているのか、よく理解できる結果とも受け取れるのではないだろうか。

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