【ビデオ】G-Startup の受賞スタートアップ・デモ、夏野剛氏のインタビューなど

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先のニュースポストでお伝えした通り、先週のGMIC (グローバル・モバイル・インターネット・カンファレンス)2011 で、G-Startup コンペティションのファイナリストにノミネートされたスタートアップのうち、見事に賞を獲得したスタートアップを、デモのビデオを交えてご紹介する。

受賞者は、このコンペティションのスポンサーである2つの中国インキュベータと、米国のプラグ・アンド・プレイ・テックセンターからの支援が受けられる。(詳細はこちら

■シード/アーリー・ステージ部門受賞者

SmarTots (中国)

http://www.smartots.com/

 

SmarTots は、2歳から7歳の子供向けのモバイル教育プラットフォームである。モバイルアプリを用いて、先生、保護者、開発者は、子供向けのインタラクティブで楽しく管理しやすい学習体験を構築できる。多くのハードウェア/ソフトウェアから得られる、レポート/保護者ツール/おすすめ情報などを保護者に提供し、モバイルデバイスを使った教育価値を最大限に伸ばす。モバイルアプリ以外にも、アプリを使った児童教育、親子できる学習がわかるツールを提供する。アプリ好きの保護者からの声を集めた、SmarTots のデータベースを通じ、保護者が使いやすい機能性やクロスプロモーションにより、児童向けアプリ開発者の価値を高める。当該サービスの iPhone/iPad (iOS) 初版は2010年のクリスマスに公開され、18万人を超える保護者にダウンロードされた。ユーザにインストールされたアプリを利用し、SmarTots は現在アフィリエイトで売上を上げている。

■グロース・ステージ部門受賞者

ワードエンジン(日本)

http://www.wordengine.jp/

ワードエンジンは、重要分野で必要単語99%を、半永久的に記憶できる最速の方法だ。単語を多く覚えれば、それだけ成績が上がるという話をよく耳にする。しかし、必要とされる単語は分野によって大きく異なる。TOEIC では7501単語が使われるのに対し、中国の高考(ガオカオ、日本の大学センター入試に相当)では4299単語あれば足りる。ある大学の調査では、TOEIC で出題される単語の少なくとも97%をマスターしようとワードエンジンを使った学生らが、次にテストしたときには、全員の得点が上がっていた。ワードエンジンは手早く使え、費用もかからず、モバイルにも対応している。テスト対策とビジネス用に、単語修得コースを提供しており、世界中の数百もの大学や多国籍企業で導入されている、信頼できる科学的な方法だ。現在、中国市場への参入を計画中だ。

さらに、2つほど有望なスタートアップがデモをしたので、あわせて紹介しておきたい。

一つは、実際に存在するリアルな場所、モノなどを、360度ビデオで再現するアプリ。もう一つは、拡張現実の技術を使って、自分の顔にメガネの着せ替えをしたり、マーカーを使ってカメラで撮影した映像にキャラクタのアニメーションをオーバーラップさせるアプリなど。

 


 

これらの受賞スタートアップのサービス披露の後、GMIC の主催者である長城会(GWC)の日本事務局長を務める、夏野剛氏のインタビューがあった。インタビュアーは、アジアのテック系事情に詳しい「プラス・エイト・スター」のベンジャミン・ジョフ氏が務めた。

概ねインタビューで夏野氏が話した要旨は次の通り。

  • 日本における、携帯電話会社の iPhone やアンドロイドの登場以降の反応。2007年以降、開発コストを下げる方向として、開発会社はスマートフォンにシフトした。ハイリスク・ハイリターン経営から、ローリスク・ローリターン経営に移ったということだ。
  • HTC、サムスン、ソニーエリクソン、いわゆるグローバル・プレーヤーの電話は、日本ではあまり売れていない。
  • 昨年末くらいから、日本の携帯電話開発会社は、日本独特の携帯電話テクノロジー(FeliCa、ワンセグなど)をアンドロイド上に機能追加しはじめた。先日地震があって、緊急地震速報が重宝された。ガラケーにはあるが、スマートフォンにはない機能だ。やっぱり、スマートフォンにも日本独自の追加機能は必要だと考え始めた。
  • コンテンツプロバイダーが、中国や日本から世界に出て行くのを妨げている理由は、資金のフローと人材のフローの問題だろう。エンジェルやインベスターが中国にはたくさんいるが、日本には少ない。お金がなければ、誰だってリスクをとって、外へ出て行こうとは思わない。
  • この種類のイベントは欧米の人たちによって開催されることが多いが、中国人や日本人によって、しかも中国で開催されることは意義深いと思う。

 


 

最後に、グローバル・モバイル・ゲーム賞の受賞者発表。(協賛:中国の携帯電話ゲーム・ポータルサイト「当楽網」)

 


 

GMIC には、日本の GREE や DeNA も初回から深く関わっているが、この機会に各社から発表されるニュースにも事欠かなかった。DeNA の守安功COOは講演で、モバイルアプリストア 91.com を運営し、香港証券取引所に上場している網竜(本社・福建省)と共同で、中国に進出するとの発表をした。両社は開発リソースと流通基盤を共有し、日中双方のマーケットでのポジションをより強固なものにしていくとしている。また、DeNA は、中国でのソーシャルアプリ開発者の活動を促進するため、1億円あまり(1000万人民元)の基金を創設することも明らかにした。

今回で4回目を迎える GMIC は、回を重ねるごとにスタートアップの存在感が増してきていることは間違いない。端末台数8億を超える中国のモバイル市場を狙って、さまざまな国のモバイル・スタートアップが進出の機会を狙っている。いくつかの理由によって、中国のモバイル市場への進出は、世界の他の国々と同じような段取りではいかない。ただ、日本から飛行機で数時間の位置に、これほどまでにポテンシャルの高い市場が存在することは非常に幸運だ。いいアプリやサービスができたら、日本や米国で展開するだけでなく、ローカル・パートナーと組んで中国市場へ進出することは、ごくごく自然な流れである。(写真は、日本から G-Startup に参戦した Sassor の創業者ら。GMIC Demopit にて撮影。)

 

【参考】GMIC のオフィシャル・メディア・スポンサーである「網易科技  (Tech163)」が、特設ページでかなり細かくイベントの内容を網羅している(中国語)。

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