明星和楽:日本版「SXSW」がアジアのスタートアップ8社を披露

by Masaru IKEDA Masaru IKEDA on 2011.11.22

【原文】

テック、動画、ゲーム、音楽をテーマにした「明星和楽」という3日間のイベントが、先週末、福岡で開催された。

この地域の将来有望なテックスターをつなぎ、また新たな繋がりを築こうという思いが、この「明星和楽」というイベント名に込められている。福岡はアジア諸国への玄関口だとよく言われるが、それは地理的な理由からで、東京と比べると、福岡はソウルや上海にずっと近い位置にある。

福岡のテック企業Nulabの共同創業者でCEOの橋本正徳氏は、テキサス・オースティンで毎年行なわれるSXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)というイベントのコンセプトにヒントを得て、日本でも同じようなイベントを行ないたいと思っていた。橋本氏の多くの友人やエンジェル投資家の孫泰蔵氏が支援に集まり、イベントは大成功に終わった。参加者は1200人を超え、初めて行なうイベントとしては異例の集客数だ。


パネルディスカッション: アジアのスタートアップ情勢

イベントの2日目、筆者は45分間のパネルディスカッションの司会を務めた。パネリストとして、孫泰蔵氏、Willis Wee氏(Penn Olson)、Serkan Toto氏(TechCrunch)が会場に出席し、Gang Lu氏(Technode)は上海からSkypeを通じて参加した。

パネリストにシリコンバレーについて尋ね、アジアのスタートアップがシリコンバレー、もしくはどこか他の場所へ進出すべきかどうか聞いてみた。それに対して、Willisは「シリコンバレーに行くにしても、私達は現地の市場を本当に理解しているのでしょうか?現地の市場を理解するにはかな りの時間が必要です。それよりも、アジアの大きな将来性に力を注ぐべきではないでしょうか」と述べた。

Serkanは、日本のほとんどの「テック起業家は海外進出をしたいと言うが、99%は海外進出はしないだろう」と述べた。Willisは、 日本と中国には食べていくに十分な市場があるので、現地スタートアップの95%には海外進出する必要がないと述べている。GangとWillisは、 スタートアップ企業はアメリカではなくアジアで事業を始めるべきで、それは同地域には大きな潜在能力があるからだと一致した意見を示した。

下のビデオはZenpreが撮影したもので、これを見ればイベントがどのようなものだったのか分かると思う。


ピッチ

プレゼンには、福岡から3社、香港企業1社、シンガポール企業1社、東京から2社が参加した。

GlueCast(福岡)— 発表者:迫田孝太

Gluecastはシンプルなウェブベースのビデオチャットアプリで、まるで一緒にいるかのようにユーザ同士が会話を楽しむことができる。
このアプリは、福岡のフリーランスプログラマーの迫田孝太氏が開発したものだ。SkypeやGoogle+など様々なビデオチャットソリューションが既にあることは知っていると思う。

だが、迫田氏はお年寄りの人達でもこのビデオチャットを使って、遠く離れて暮らす孫達と会話ができるようにしたいのだ。このアプリは、ソフトをダウンロードする必要がなく、フラッシュ搭載のウェブブラウザで機能するというものだ。(東京と福岡にいる)このイベントの運営者は、イベントの打ち合わせや準備のためにこのアプリを利用していた。

Oooi (福岡)— 発表者:松岡謙治

Oooiはスマートフォン向けのアプリで、友達とリアルタイムで位置情報を共有できるというもの。このアプリは、九州大学の荒川豊准教授と共同開発されたもので、この8月に行なわれた「スタートアップ・ウィークエンド福岡」で優勝している。

誰かとどこかへ観光やショッピングで旅行に出かける時、ひょっとしたらお気に入りの場所に自分だけで行って、友達とはまた後で待ち合わして会おうと思うかもしれない。

このアプリのいいところは、アプリ内にイベントを作って、旅行仲間と一緒に参加することで、待ち合わせ場所を見逃すことがないということだ。例えば、待ち合わせ時間に遅れていても、友達はあなたの現在地を知ることができ、待ち合わせ場所に向かっていることが分かる。

Switcheroo(福岡)— 発表者:宮崎真也

Switcheroo は、ユーザ同士に物々交換を促すiPhoneアプリだ。このアプリは、宮崎に拠点をおくソーシャルアプリデベロッパーのアラタナ研究所によって開発され、現在アメリカで公開されている(が、今のところ日本では未公開)。

従来の物々交換では、物々交換をする人をどうやって見つけるかという問題があった。だが、このアプリは、Facebookのソーシャルグラフとユーザの行動によって作られるアプリの関心グラフを組み合わせて、物々交換をする人を見つけるというユニークな手法を取り込んでいる。


 

OneSkyApp (香港) – 発表者:Loki Ng

OneSkyAppはウェブベースの翻訳プラットフォームで、アプリデベロッパーがプロダクトを多言語にローカライズするのを支援するものだ。クラウドベースの翻訳ツールや世界の翻訳会社とも提携している。同スタートアップの詳細についてはこちら

Sageby(シンガポール)— 発表者:Bryan Magure Chia/George Chen

Sagebyは、 ユーザが暇な時間を利用してお金を稼ぐことのできるプラットフォームだ。例えば、レストランで食事が出て来るのを待っている時に、アンケートに答えるだけで報酬を得ることができる。タクシーに乗ってどこかに行くときにも、そのタクシーの中で同じことができる。同社は、シンガポールでの事業に加えて、日本 でも提携してくれそうなタクシー会社やレストランのチェーン店を探している。

Innova (シンガポール) – 発表者:Rick Tan

クレジットカードサイズのGPS機能搭載デバイスを貴重品に取り付 けておけば、置き忘れてしまったときに知らせてくれる。このデバイスは12月にシンガポールで発売される予定、価格は29.99 シンガポールドル(約23米ド ル)。バッテリーはUSBインターフェース経由で充電可能、一度のフル充電で数日間動作する。

Crowsnest (東京) – 発表者:浜本階生

Crowsnetは、Twitter上のリンクを集約するウェブアプリとiPhoneアプリを組み合わせたもので、Twitter上の情報を収集し、自分だけのための独自のニュースポータルを作成してくれる。


このアプリは、東京に拠点を置く技術系新興企業Rmakeが開発した。同社はウェブベースのゲーム開発プラットホームも考案している。また、浜本氏は、日本の技術系ブログの人気をゴージャスに視覚化するサイトBlogopolisの制作者でもある。

 

Zusaar (東京) – 発表者:石井賢司

Zusaarは、ウェブベースのイベント開催支援アプリで、 主催者は、参加者を管理したり、入場料をPayPal経由で徴収したりすることができる。このアプリでは、サードパーティの認証システムを使用するため、 ユーザは、独自のIDを必要とせず、Facebook もしくはTwitter、Mixi のユーザアカウントにより登録が行える。 Nokisaki.com(イベント主催者のための会場検索ポータル)との提携により、プロモーションや料金徴収に加え会場探しにも役立てることができる。
Zusaarは、横浜のProphet Corporationが開発し、「Graph hack Awards」にて賞を獲得している。(「Graph hack Awards」は、東京のウェブ大手、GMOインターネットグループが毎年開催するアプリ開発コンペ)


東南アジアのベンチャー起業家の手配等について、Anne Cheng (シンガポールのスタートアップ・メンター)、Jonathan Buford と彼の友人達(Startup HK)の協力、そしてスライドやプレゼンを二言語で行うための調整業務をサポートしたマクラケン直子氏 (Automattic, Asiajin) と平野奈津子氏 (Alien Eye)に対し、運営に関わったメンバー全員に代わって感謝したい。

Fusicの開発したZenpre により録画された Ustream動画 をスライド画面に同時に表示させることが可能になった。また、舞台裏の様子にスポットを当てたスタッフ・インタビューを、 Moso,、Nulab、そしてホスティング・プロバイダーであるAT-LINKが共同で動画ブログサイトで提供した。

オタク文化アーティスト「ジュリー・ワタイ」のインタビューを受ける、ニコニコ動画で有名な「ユミコ先生」

写真提供:平野武士氏 (Bootup Asia)、またの名を Kigoyama

【via Penn Olson 】 @pennolson

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