【ゲスト寄稿】インドネシアでユーザ数13万人のサービスをゼロから始めたストーリー[前編]

この記事をゲスト寄稿してくれたのは矢澤修さん。2006年に新卒としてYahoo! JAPANに入社し24ヵ月在籍。その後、価格比較サイトのECナビを運営する株式会社VOYAGE GROUP(以下、VOYAGE GROUP)に転職。主に新規事業を担当し、201242日に株式会社ソーシャランドを設立し代表取締役に就任。


みなさん、初めまして。株式会社ソーシャランド代表取締役の矢澤修(@yzw036)と申します。201242日に株式会社ソーシャランドを設立し代表取締役に就任いたしました。当社はVOYAGE GROUP100%子会社であり、事業自体はVOYAGE GROUP1事業として20113月よりスタートしておりまして、その事業を切り出して会社化した形です。

現在の事業ドメインはFacebookなどのソーシャルメディアを活用した一般ユーザー様向けサービスの開発運用。そして企業様向けFacebookを中心としたソーシャルメディアマーケティング活動の支援事業を行っております。

今回のエントリーでは当社がFacebook活用事業第一弾として手掛けた、インドネシア向けソーシャルマッチングサービス「menurut anda? (メヌルッアンダ?)」について、立ち上げの実体験をベースに書かせていただければと思います。

なぜインドネシアだったのか?理由はシンプルに2

Facebookを活用した事業を行うということは決めていたので、そのプラットフォームを軸に考えていました。おのずと提供国は海外となり、Facebookはアメリカ生まれということもあり、英語圏で戦うのはコンペティターが多く、当時は考えているサービス自体に明確な差別化を見出しきれていなかったのです。

そこで考えた差別化要素、それは「言語」でした。そう、インドネシアの公用語は「インドネシア語」であったということが1つ目の理由です。もう一つの理由はインターネットインフラ面です。Facebookを活用するサービスなのでFacebookユーザーが多いことや、活発に利用されていることが重要です。

インドネシアのFacebook活用事情についてはご存知の方も多いかと思いますが、インターネット人口のほとんどのユーザーが利用しているといっても過言ではなく、アカウント数も世界で3位、4000万アカウントを超えています。このシンプルな2つの理由、「公用語が英語ではない」ということ、「Facebook人口が多い」ということからサービス提供国をインドネシアと決めました。

なぜマッチングサービスなのか?

次に、なんでインドネシアでマッチングサービスなのか?というところですが、これは個人的な趣向性が大半を占めるのですが、現地のFacebookの使われ方にも着目しました。それは、「友達の友達は友達」というようにフレンド申請が行われているとのこと。

インドネシア現地企業にヒアリングする傍ら、Facebookの活用方法について話を聞いてみると、まさにFacebookそのものが友達作りサービスとして使われているとフィードバックをいただきました。なるほど、約17,000もの島国から成り立つインドネシアなので、今までの主な交友関係を広げる方法はリアルなコミュニティがほとんど。そこにインターネットが引かれ、そしてFacebookというコミュニケーションプラットフォームができたということは、本当に革新的だったんだと思います。

ただ、実際の友達ではない人へフレンド申請を行うことはFacebookの本質的な使い方ではないですし、もしかしたらアカウント制限などかけられてしまうかもしれない。また、もっとマッチングさせる過程を便利にスムーズにできるのではないかと考えたことも背景にあります。

menurut anda?」は2011516日、約1年前にリリースし、今ではユーザーは13万人を超えるサービスになりました。

不確定要素を確かめるためにいち早くサービスを世の中に出す

インドネシアでサービスを開始したわけですが、私自身が所以があったかというと、友達がいたわけでもなく、海外ビジネス経験があったわけでもなく、現地の言葉はおろか英語もままならない。そんな中で、どのようにサービスを創りあげ、運営することができたのか。まずは僕自身どんな心構えでサービス立ち上げに挑んだのかということから。

スタートアップは不確定要素が多いことがほとんどだと思います。その不確定要素が実際どんなものか知るためには、いち早く世の中に出してみる必要があります。いくら考えたって調べたってわからないものはわからないし、データなど存在しないものは自分で検証するしかない。だから初期投資のコストを極力抑えて、スピード感を持って実装する。そうすると、想定していた結果、想定していなかった結果が色々と見えてきます。

例えば、何カ月も仮説を立ててその仮説に対して目標を掲げて、ようやく動き出し、実装したらその仮説とは真逆の結果だった。こんなこと良くある話ですが、こうなってしまうと、仮説・目標を時間をかけて決めた準備期間が水の泡になってしまうわけです。

また、スタートアップ事業は特に、目標は市場や環境の変化に合わせて更新していくものだと思っています。前に進めば進むほど、見えなかったものが明確になり、精度の高い目標や、事業成長における重要な指標が見えてくるはずなので、その変化に合わせて、目標も更新する。

考えることももちろん重要ですが、不確定なことが多いのならば、一日一歩でも半歩でも前に進んで、目の前の霧を払っていくことが重要だと、今の事業でも実感しています。とにかく足踏みせず、物怖じせず、まずは「やってみる!」これがインドネシアでビジネスをする上での僕の心構えでした。

現地を知らなければ始まらない

次に「まずは現地を知らないと。」と思い、ちょうどインドネシアのテック系スタートアップが集まるイベントに合わせてインドネシアに飛びました。シンプルな感想は、東南アジアにバックパックなどしたことがある方はイメージできるかと思いますが、実際にジャカルタに行ってみると、生きる力がみなぎっているというか、あのアジア特有の勢いを感じずにはいられませんでした。

また、歴史的背景や、昨今の経済発展に日本が大きく関係していることもあり、インドネシアはとても親日で、日本人と同じように温厚で優しい人が多いとのこと。平均収入は45万円、物価も日本と比べると10分の1とまだその差は大きくありますが、これからの国の成長の伸びしろを考えると、日本を追い越してしまう勢いとも言われており、この段階でインドネシアにコミットする価値はあるのではないか。と感じたわけです。

ということで、このままインドネシアで突っ走ろうと意思を固めたのでした。

いざ現地向けサービスを創っていこう!と意気込んでみたものの、正直何から始めて良いかすらも良く分からない中、まずインドネシア人とネットワークをつくろう!と思い立ちました。どんなアクションをとったかというと、インドネシア人にFacebookを使って直接連絡をしてみるというもの。

とりあえずFacebookメッセージやアプリを使って、「インドネシアについて学んでいる。」「日本のこと教えるので友達になって!」と、Googleトランスレーターなどをフル活用し、メッセージを送ってみたりしてました。大きな出会いは、ある日リサーチしていた海外のマッチングサービスでインドネシア人からコンタクトがあり、友達になっちゃおう!ということで、ほどなくしてFacebook上でインドネシア人とコネクトできました

その方は英語とインドネシア語しかできなかったのですが、ちょうどそばに英語ができる親友がいて、僕になり替わってFacebookチャットを使ってコミュニケーションをとってもらっていると、なんと運命的にその方の妹さんが日本語を学んでいるので友達になってほしいと相手から言ってきてくれたのです!紹介してもらったのはスラバヤというジャカルタに続く都市エリアの大学に通う女子大生でした。

本当に彼女には色々と助てもらいました!インドネシアのカルチャーを聞いたり、インドネシア語の翻訳をお願いしたり、Facebookページで起こっていることを教えてくれたり。一番印象に残っているのは「menurut anda?」のサービス名が決まった時、イントネーションがわからず教えてほしいとお願いしたら、なんと国際電話をかけてくれてわざわざ教えてくれたこと!そんな尽くしてくれた彼女とはまだ会ったことがありません…。ですが、インドネシア事業立ち上げに自信をつけた、重要な出会いだったと今でも思います。

後編に続く。

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