韓国はアジアの社会起業家精神の新たなハブとなるか?

by JasonLim JasonLim on 2012.5.28

【翻訳 by Conyac】 【原文】

いまやテック系スタートアップのインキュベータは世界中に存在し、第2のGoogleやFacebookを発掘して一攫千金を得るために必死だ。だがソウルでは、政府による資金援助と育成が推進されており、テック関連スタートアップだけでなく社会的に意義のある企業もが対象となっている。

ソウルは一見すると素晴らしい都市だ。綺麗で整然としていて、美味しい食事やナイトライフがあり、ついハマってしまうK-POPや美男美女がいる。しかしその裏では他国同様、韓国も多くの社会問題を抱えている。その最大の問題が、若年層の失業率が非常に高いことだ。今や30歳未満の8.3%が失業しており、若年層の高い失業率はなかなか止めることができない。多くは職が決まらないまま卒業し、それが就職活動の競争率をさらに押し上げ、学校に戻るしかない若者を苛つかせている。追加で必要になる学費を支払う余裕がないためストレスはさらに増える。ただでさえ、韓国で暮らすことは高くつくのに。

これはもちろん、政府にとっては大きな頭痛の種だ。政府はインキュベーションセンターを設立することで、これらの問題をクリエイティブな方法を用いて解決する起業家精神を持つ若者に注目している。提供されるのは、1社1年当り約3,000万韓国ウォン(3万米ドル相当)の資金、オフィス、面談による指導や教育などだ。また、社会事業を手掛ける企業は税金と金利の面でも優遇される。

韓国政府には、高い若年失業率という社会問題を解決するだけでなく、もっと多くの社会的プロジェクトに着手する責任がある。その理由の1つは、韓国はOECD(経済協力開発機構)加盟国の1つで、一定数の社会事業が必須であることだ。もう1つの理由は、むかし貧しかった韓国が過去40年で急速な経済成長を遂げ、その間目を背けた社会福祉を埋め合わせる時期に来ているからだ。韓国は貧しい国を卒業して豊かになり、今ようやく社会へ還元する必要性を感じている。

こうしたインキュベータが韓国中に生まれている。ソウルだけでも5つあり、韓国全土ではおよそ21ある。

ソウルで、私はSocial Enterprise Incubating Centerという施設を訪問する機会があった。運営するSocial CubeのKyung Seok Yangと話をした。彼女によれば、社会事業には大きく分けて3つの種類があるようだ。1つは、雇用創出、特に韓国の若年層の雇用創出を狙うものだ。2つ目は、障害者や高齢者を雇うものだ。3つ目は、前の2つが合わさったもの。一例を挙げると、WeCANという企業は、クッキーなどを製造し販売するために障害を持つ人々を雇用し、その利益は障害を持つ人々へと還元されている。

また別の最近の事例にCizionという企業がある。Disqusと同様、ブログのためのソーシャルコメント管理サービスだ。最初これがどう社会事業なのか理解できなかったが、後に明らかになった。韓国のエンターテイメント業界は非常に強力で、多くの人が歌手や俳優などのセレブについて語りたがる。しかしこうしたゴシップや噂話の中にはセレブの精神にダメージを与えるものもあり、恥じるセレブが時に自殺する結果を招くこともある。そのため、CizionはFacebookやTwitterを通じてブラックリストを作ることで、誤ったコメントを取り除くことを目指している。

Social Enterprise Incubation Centerで、現在入居しているベンチャー2社に話を聞いた。

1社目はLife Seedで、ベビーシッターの支援を目指すグループだ。韓国の子供向けサービスの問題は、政府による支援の質がやや低く、金銭面の報酬も低いことである。韓国のベビーシッターの多くは学生やソーシャルワーカー或いは高齢者で、赤ちゃんや幼児の正しい扱い方に関してトレーニングを受けていない。そこで、Life Seedは教育システムを提供し、シッターたちに赤ちゃんの世話の仕方、長期的なストレスへの対処法などを教えたいと考えている。また支援スキームを作るために、同社はお互いに共有したり学び合えるオフラインコミュニティを作ることを予定している。Life Seedのミッションは、チャイルドケアのエコシステムを変え、政府や教師、親、シッターがシステムをより良くするために一緒に動けるようにすることだ。Life Seedは、Han Kyung-JinとChoi Eun-Jooが率いる4人のチームで構成されている。

2社目はInnoCrowdで、Elanceと似ているが、韓国のデザイナー向けのフリーランスプラットフォームだ。Hongdae等、韓国で若者が集まる場所を歩けば才能あるデザイナーであふれていることは明らかだ。しかし、高い若年失業率により、職やプロジェクトを得ることが困難になっており、つまり才能が供給過剰になってしまっている。その才能をもっと良く活用するために、InnoCrowdはグラフィックやエンジニアリング、UI/UXのクリエイター達と製品のフィールドをつなげ、日本や中国、台湾等、韓国の外に積極的な需要を見出したいと考える。プロジェクトがある企業はプロジェクトを投稿でき、デザイナーは案件に応募できる。

企業はレビューし、雇いたいデザイナーを選ぶ。いったん選ばれると、InnoCrowdはプロジェクトマネジャーを配置し、手数料を取ってプロジェクトが完了するまで監督する。InnoCrowdは、プロジェクトのサイズに応じて課金する。InnoCrowdは今まさに開発段階にあり、7月にオープンベータ版をローンチする予定だ。共同設立者兼CEOのSean Parkが4名のチームを率い、アートと文化の社会事業向け政府資金による援助を狙っている。中小企業の国際競争力やデザイン能力の向上を求める韓国政府は、こうしたプロジェクトをサポートすることを望んでいる。

社会事業のインキュベータが経験する最大の困難の1つは、資金だ。製造業などもっと透明で分かりやすい事業と違い、企業やベンチャーキャピタルは社会的インパクトを計る術を知らず、出資金額を正当化する方法がわからない。一般的な製造業であれば、支出の割合のモデルを使えば必要な資金は計算できた。しかし、当然社会事業ベンチャーに同じ方法は通用しない。このような問題は、推進すべき社会事業企業もしくはNPOにとってその道を妨げる障害となっている。

ある意味、中国も韓国と同じ道を歩んでいる。今や空前の経済成長期にあり、社会の片隅に追いやられた多くの貧困層や準貧困層は忘れ去られている。中国は韓国の経験から学ぶことができ、経済成長と持続可能かつ公正な社会福祉との間でバランスを取ることができる。単にベンチャーキャピタルから大きな資金を得て大きくエグジットするベンチャーより、社会起業精神にこそもっと重点を置くべきだろう。

【via Technode】 @technodechina

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