Connect the Dots — 学生による学生のための起業セミナーを開く理由とは?

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Steve Jobs が亡くなって10ヶ月あまりが経過した。彼のスタンフォード大学での演説は、彼がこの世を去ると同時に、起業家にとって伝説に残る名句となった。その演説の中に、こんな一節がある。

Again, you can’t connect the dots looking forward; you can only connect them looking backwards.  So you have to trust that the dots will somehow connect in your future. You have to trust in something — your gut, destiny, life, karma, whatever. This approach has never let me down, and it has made all the difference in my life.

未来を見て、点を結ぶことはできない。過去を振り返って点を結ぶだけだ。だから、いつかどうにかして点は結ばれると信じなければならない。自らの勇気、運命、人生、カルマ、なんでもいい、それが何かしら結ばれると信じるのだ。この考え方が持てたからこそ、私は決してあきらめずにすんだし、私の人生に大きな変化がもたらされたのだ。

Steve のこのコンセプトに深くインスパイアされた、早稲田大や慶応大の学生らを中心に、起業を志すグループが今年4月に結成された。その名も「Connect the Dots」だ。彼らは、大学入学前に海外留学していた日本人や、海外からの留学生を中心にメンバー構成されている。いよいよ本格的に活動を始めるとの話を聞き、副代表を務める辻仁史氏にインタビューする機会を得た。

(以下、スタートアップ・デイティングを「SD」と略。)

SD: Connect the Dots を結成したきっかけは?

辻氏: 私自身、ベルギー、テネシー州(アメリカ)、シカゴ(アメリカ・イリノイ州)の学校を経験してから日本の学校に入学し、大きなギャップを感じた。日本では、多くの大学生は卒業後、企業に就職することしか考えておらず、起業という選択肢を示したいと思った。グローバルな視点で、学生が起業を目指せる環境を整えたいと考え、仲間数名で Connect the Dots を作った。

SD: 学生は学業が本分という考え方もある。大学を卒業してからだって起業できるし、そもそも海外では、学生起業家/社会人起業家という区別さえない。敢えて、「学生が起業を目指す」ことをコンセプトに据えた理由は何か?

辻氏: シリコンバレーでは、起業における失敗は尊いものとして評価されるが、日本においてはそうではない。失敗は恥ずかしいことであり、良い評価をされることはないだろう。しかし、せめて学生のうちは、失敗を恐れずに行動して、思う存分、起業にチャレンジできるんじゃないかと思った。

先日の Tokyo Meetup 2012 で、パネリストらも話していたように、本来であれば、失敗に対して寛容であればこそ、スタートアップのエコシステムが形成されるというものだ。残念ながら、そんな社会ができあがるまでのプロセスは一筋縄ではないが、辻氏の話を聞いていて、比較的リスクを張れるかもしれない、学生というステージに居る人たちが社会を変える突破口になるのかもしれない、と感じた。

Connect the Dots では、自分たち以外にも起業を志す学生にチャンスを得てもらおうと、8月6日〜10日の5日間、ノボットの小林清剛氏や Femto Startup の磯崎哲也氏など、有名起業家や投資家を招いて、セミナーを開催するのだそうだ。ITベンチャーの雰囲気を実体験してもらうために、このセミナーは毎日場所を変えて、ミクシィ本社、GMO本社、日本ベンチャーキャピタル協会オフィス、アンダーソン・毛利・友常法律事務所などで開催される。

8月のセミナー終了後、セミナー参加者はチームに分かれ、自分たちのビジネス・サービスを作る(期間の都合と、グローバルなビジネスを作るという観点から、多くはウェブサービスやモバイルアプリになるだろうとのこと)。9月、10月にはプレゼン、ビジネス内容のブラッシュアップが講じられ、11月にはVCやエンジェル投資家からの出資を目指す、という計画だ。

対象は大学の学部学生、院生に限られるが、7月27日までセミナーを含むこのプログラムへの参加者を公募している。応募したい方は、このページから必要項目を入力してほしい。

辻氏曰く「Connect the Dots から輩出されたスタートアップが大きく育ち、そのスタートアップが Connect the Dots のような活動を支援するようになり、エコシステムが形成される」のが、当面の目標とのこと。点がつながって線となり、それがエコシステムの輪に成長することを期待したい。

 

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