【ゲスト寄稿】意外!? AppStoreの検索は思ったより使われている!AppStore SEOのススメ

この記事をゲスト寄稿してくれたのは、元楽天執行役員、東京大学助教、スタンフォード大学客員研究員を経て、シリコンバレーでAppGroovesを起業した柴田尚樹(@shibataismさん。同社は現在、iOSアプリ開発者向けに、App Store SEOを改善するためのツールSearchMan.comを提供している。


最近では、多くのスタートアップがiPhone/iPadアプリを提供していますが、競争が激しくなるにつれ、ユーザ獲得に頭を痛めている人も多いと思います。「App Storeのアプリの2/3は、露出もダウンロードもない”ゾンビアプリ”」とも言われており、これまでは多くのアプリ開発者は多くのお金を広告費に費やすことが主たるユーザー獲得方法でした。

広告を買い続けられるのは一部のアプリ開発者のみ

他方、個人の開発者やベンチャー企業では、それほど多くのお金を広告費に費やすことはできない、というのが現状だと思います。仮に、お金が十分にあって、1ユーザあたり100-200円のリワード広告で、ユーザを「買う」としても、それらのユーザの再起率は非常に低く、一時的なランキング向上以外には役に立ちません。したがって、広告費を費やし続けるという方法は、よほど利益率の高いソーシャルゲーム等の一部のアプリを除いては、持続可能な方法でないのは明白です。

では、ランキング常連アプリ以外はもう諦めるしか無いのでしょうか。確かに今でも、AppStoreのランキングに入ることが多くのユーザを獲得するのに一番いい方法であることには変わりませんが、残念ながらAppStoreのランキングを操作するのは不可能です。

(参考までに、アメリカのAppStoreでは、リワード広告を導入しているアプリはAppStoreから締め出されます。日本ではまだ有効なようですが、近いうちに、アメリカと同じようにリワード広告が完全禁止される日も来ると思っておいたほうが良いと思います。更に参考までに、Google Playではリワード広告はまだ大丈夫、という人がいますが、Google Playも「”野放し時代”を終わらせる」と言っています。)

ユーザが最も使うのがAppStore「ランキング」、次がAppStoreの「検索」

詳細は後ほどのスライドに記載しましたが、ランキングの次にユーザが良く使う機能が「検索」です。AppleもAppStoreの検索エンジンの重要性を分かっているので、今年、Chompというアプリ専門検索エンジン会社を$50M(約40億円)を投じて買収しました。そして、買収してから半年も経たないうちに、アメリカのAppStoreでChompの検索エンジンを利用し始めています。(注:アメリカ以外の国では、まだ旧来の検索エンジンのままです。)

そして、AppStoreの検索エンジン対策(以下、AppStore SEO)は、多くのお金を費やすことなく努力できるものです。ウェブサイトに例えれば、AdWords等にお金を費やしてトラフィックを買うか、SEOを地道に行い、自然検索でのランキングを上げるかの違いです。我々は、ランキング常連アプリ以外の方には、このAppStore SEOを強くおすすめしています。中には、AppStore SEOだけで、1日に数百〜数千のダウンロードが増えたという事例もあります。

「レシピ」での検索結果

AppStore SEOの成功者のやり方をまとめました

我々は、個人の開発者やベンチャー企業であっても素晴らしいアプリを作っている方がたくさんいることをよく知っていて、そういったアプリも大企業のアプリに負けないようにダウンロードされて欲しいという思いから、AppStore SEOを改善するためのツール SearchManというプロダクトを作りました。

現在、SearchManは、100万キーワードx65万アプリの検索結果順位を毎日分析しており、数千のアプリ開発者に使われています。その中でAppStore SEOで実際にダウンロードを増やしているアプリ開発者たちが実際に行なっている方法をスライドにまとめました。ダウンロードを増やすのを諦めかけていたアプリ開発者の方に是非ご覧いただければと思います。

ケーススタディ

我々の自社アプリAppGroovesの例で説明します。

  1. はじめに、自分のアプリにとって重要だと思うキーワードを全て書き出しましょう。AppGroovesは、アプリをおすすめするアプリなので、おすすめ、アプリ、人気、流行をリストアップしたとします。
  2. これだけだと漏れがある可能性が高いので、次に、競合アプリが使っているキーワードを出来るだけ網羅しましょう。AppGroovesの競合アプリの一つは、例えばAppsfire Dealsです。Appsfire Dealsのアプリ名、説明文をよく見て、自分のアプリに使えるかもしれないキーワードを抜き出します。例えば、無料、節約、値下げ等です。これを出来るだけ多くの競合アプリに対して行い、「自分のアプリに使えるキーワード候補」を出来るだけ増やします。
  3. この時点で、既に「自分のアプリに使えるキーワード候補」が出来上がっているはずです。このキーワード候補を使って、アプリ説明文、iTunesキーワード(カンマ区切りで最大100文字)、アプリ名を作成します。
     a. 「アプリ説明文」は制限がないので、キーワード候補を全て含めて、自然な文章になるようにしましょう。「iTunesキーワード」は、コンマ込みで100文字という制限があります。大事だと思う順に100字ギリギリまで埋めましょう。よく見かける例が、この欄を十分に使い切っていない例です。 「勿体無い!」の一言です。
     b. iTunesキーワードは非常に重要なので、ギリギリまで埋めましょう。
     c.「アプリ名」ですが、ここにキーワード候補のうち、最も重要な数語を入れることをおすすめします。現在、日本のAppStoreで使われている検索エンジンでは、アプリ名に含まれるキーワードに非常に多くのウェイトが置かれています。スパムと見なされないように注意する必要がありますが、詳細はスライドをご覧ください。
  4. アプリの新バージョンをAppleにサブミットしましょう。
  5. 新バージョンがリリースされたら、SEO効果を確認し、再度1から繰り返しましょう。

SearchManが提供する検索順位レポート(AppGroovesの例)

SearchManが提供するアプリ対アプリの検索順位比較機能(AppGrooves vs AppZapp)

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