贈る相手にあわせてカタログを作成、自由にギフトを選んでもらえる「ギフトキッチン」がローンチ

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昨年度の日本のEコマースの市場規模は、概ね8.5兆円。一方、カタログ販売などを含む、個人向けのギフト市場の規模は数兆円〜10兆円程度と言われている。多くのEコマースが価格比較で過当競争を強いられる中、Eコマースにギフト市場を取り込んで行くことは有望な戦略だ。

お中元やお歳暮を贈る習慣は希薄化する一方、記念日や、ちょっとした感謝の気持ちを伝えるために、ギフトを贈る機会は年々増えている。gifteeお花サプライズ!ギフポなど、インターネットで手軽にギフトが送れるサービスの誕生も、この流れに寄与しているに違いない。

昨日、共に Yahoo! Japan でウェブサービスのデザイナー、エンジニアとして活躍していた、小川学氏、碓井俊丞氏の手により、新たなウェブベースのギフトサイトがローンチした。その名はギフトキッチン。ギフトキッチンのキッチンたる理由は、料理を作るかのように、贈る相手にあわせて、自由にカスタマイズされたカタログが作成できるところ。Amazon が販売している商品をそのままギフトとして送れるので(将来的には、複数のリテーラーとの提携も検討する模様)、商品のラインアップにも事欠かない。

男性から女性にギフトを贈ったとき、需要と供給のミスマッチ、すなわち女性が「こんなもの、いらないわ」と思っている割合が45%にも上るという(ギフトコム・ギフト市場総合調査2009)。ざっくり読み替えるなら、男性が女性に贈ったプレゼントの45%は、引き出しの奥か、ネットオークション行き。これは非常に残念な結果だ。

ギフトキッチンはこの問題を解決してくれる。贈る側が相手に合わせてカタログを作成し、ギフトの選択肢を提示することで、贈られる側は自分が本当に欲しいものを選び、手に入れることができる。

商品の確保やロジスティクスは Amazon を利用しているので、サービスの立ち上がりは早い反面、他社による追随は免れないかもしれない。つまり、贈る側と贈られる側がサービスにアクセスした際と商品が届く際の、ユーザ・エクスペリエンスで勝負するという戦略だろう。ギフトキッチンが提供するのと同等のサービスを、日本内外のEコマースが自前で構築してしまう可能性も否定はできないが、彼らは豊富な商品バリエーションや迅速なデリバリを、ユーザに対する付加価値だととらえている。

一方、ギフトキッチンは、ギフトを贈る側と贈られる側の間にエスクロー的に入り、より一歩消費者に近い位置で、消費者の趣向や要望をくみ取ることができれば、既存のEコマース事業者とも共存共栄ができることになる。

小川CEO(右)と碓井CDO

年内には、何を贈っていいかわからない人のために、ユーザがギフトをお勧めしてくれる「ギフトレシピ機能(仮)」もリリース予定だ。デートに着てゆく洋服をスタイリストがコーディネートしてくれる、CocolomoBemool のようなサービスが好評を博する中、女性にどんなプレゼントを送ってよいかわからない男性にとって、このレシピ機能がギフトキッチンの〝キラー機能〟になる可能性はある。PairyBetween などカップル向けアプリとも連携できるようになると面白いだろう。遠距離恋愛のカップルにも、離れながらにして、お互いの好みを言いながらプレゼントを送りあうことが容易になる。

代表の小川氏によれば、男女を問わず、クローズドベータテストに参加した人々からの反応は上々で、「これは絶対に流行る」との確信を胸に抱いているそうだ。冊子ベースのカタログギフトが生まれたときのように、日本のギフト文化に旋風を吹かせることができるかどうか。ギフトキッチンの今後の動向に注目したい。

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