UXとUIを追求するインタレスト・シェアのlog、PinterestやAmazonを超えられるか?

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10月に入り、今年のテック界のラップアップを考える時期を迎えつつあるが、Pinterest は2012年の世界を席巻したサービスの一つと言ってもよいだろう。文字をタイプすることなく、手軽にに自分のインタレスト(興味や関心)を共有できるサービスとして多くのユーザに受け入れられた。この種のサービスは、自分のインタレストを身近な人々に披露し共有することには長けているのだが、難点はインタレストを整理しきれないことだ。

例えば、ある映画の作品名で検索してみると、その作品の DVD 版、ビデオ版、完全版、ディレクターズカットなど複数表示されている。Pinterest 上ではそれらが別々のピンとして登録されるので、同じインタレストを持ったユーザの投稿が分散してしまい、そこでコミュニケーション機会が損なわれるという見方をすることもできる。

今年始めのブレークスルー・キャンプから生まれた「log」の話を初めて聞いたとき、和製 Pinterest クローンのイメージを払拭できないでいたのだが、CEO眞子就有(まこ・ゆきなり)氏の話を聞いてみて、その違いを理解することができた。

「log のコレクションは、API を通じて Amazon から入手できる作品情報をもとにしていますが、これを取得する際に独自のアルゴリズムで最適化処理することにより、最も美しい画像を整理された状態で表示しています。現在、log には100万件の作品情報が取り込まれていますが、随時ユーザによって追加される作品情報の8割をアルゴリズムで最適化して取り込み、2割を「log」の運営スタッフが手動で最適化しています。これにより、log 上で感動をシェアするユーザのエクスペリエンスは、より快適なものになっています。」

log は今年8月13日にリリースし、サービス開始から2ヶ月間を迎えた現在のユーザ数は3千数百人程度、今後のサービスの行方について、眞子氏は次のように語ってくれた。

「年内には、ユーザ数5万人の達成を目指しています。マネタイズのためのビジネスモデルについては、いろんな方法が考えられます。その一つは、音楽業界との提携。あるアーティストのファンではあるものの、ファンクラブには所属していないようなライトなファン向けへのリーチ手法が存在しません。アーティストのライブのチケットを販売する際、音楽会社・興行会社に log をマーケティングの手段として使ってもらえるのではないかと考えています。」

log は Facebook連携 による実名サインアップが条件となっているので、ある作品やアーティストに興味を示しているユーザを簡単に捕捉することができる。これらのユーザに対して、商品のプロモーションを届け、新たな潜在顧客層の発掘につなげることができる。「log」を運営するスタートアップ「we-b」自身が、特定のインタレストのファン向けに、リアルなイベントを主催することで収益を上げることも考えているそうだ。

Skype という便利なアプリがあるにもかかわらず、同じカテゴリの LINE や カカオトークが一定のユーザ評価を得られているのは、ユーザ・エクスペリエンスが優れているからに他ならいだろう。log は、ユーザ・エクスペリエンスの点で Pinterest を超えられるか。作品レビュー数で Amazon を超えられるか。道のりは険しいかもしれないが、この2つが、彼らが生き残る上での大きなカギとなるだろう。

log を開発する、株式会社we-b のチーム: CEO 眞子就有氏(左)、COO 長部亮志氏(右)

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