日本のGREE Ventures、次の大きな目標に海外を見据える

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【翻訳 by Conyac】【原文】

日本のモバイル向けソーシャルゲーム会社のGREEについて最近頻繁に取り上げてきたが、日本のゲーム開発会社ポケラボを1億7380万米ドルで買収したことは特に話題となった。しかしGREEは、主な収入源であるソーシャルゲームに加えて、その他のインターネットビジネスの開発も視野に入れている。

GREE Venturesは近頃は特に東南アジアに関心を示しており、投資目的でこのような将来を見据えている。最近東京で、GREE Venturesの投資事業責任者の堤達生氏と面会する機会があり、彼らのグループ企業について、将来の展望もふまえて話を聞くことが出来た。

GREE Venturesは今年、既にインドネシアのスタートアップであるPrice AreaBukalapakに投資している。堤氏は、これからの主な狙いは東南アジア地域で、これからもインドネシアのスタートアップに注目していくと話してくれた。

「当社の投資資金規模は2500万米ドルで、そのうちの60%は東南アジア市場に活用される予定です。GREEの子会社として、ゲーム関連だけではなくeコマース、広告、そしてその他のデジタルメディアサービスなどを含むすべてのインターネット事業に投資しています。インドネシアのeコマース市場は急速に成長しており、私達は実質的にバリューチェーンを構築しています。年内にeコマースにも投資をするつもりです。eコマースは今、インドネシアでホットな市場です」。

インドネシアには、シードアクセラレータやエンジェル投資家が多くいるが、ベンチャーキャピタル企業はほとんどないと同氏は説明する。だが、GREE Venturesが早い段階で同国に参入したにもかかわらず、現地の市場を理解するのにはまだまだ時間がかかっている。現地の規制やプロセスが複雑なこともあるからだ。それでも、時間とともに状況は良くなっている。

同社は現在、シリーズAの出資に特化しており、通常の投資で50万~100万米ドルを出資している。現行のGV1基金に、1年以内で15~20社のポートフォリオを作ることを目指している。堤氏と同社が、親会社の主要事業とは異なる新たなチャンスを求めて新たな地域を模索しているのは興味深いことだ。

「GREE Venturesは、eコマース、デジタルメディア、ゲーム以外のソーシャルアプリに目を向けているという点で、 GREEとはかなり異なります。ゲーム業界はGREEの領域です。そして、GREE Venturesのミッションは、投資から収益を得ることと同時にインターネットの次の大きなトレンドを探し出すことです」。

堤氏が同社の関心のある分野として、コンテンツやコミュニケーションのスタートアップを挙げたことに私は少し驚いた。最近は特に、デジタルメディアのマネタイズが難しいからだ。だが、同氏はTwitterやFacebookを例に挙げ、これらの企業が始まったばかりの時に投資していたとしたら、実にいいアイディアだっただろうと語った。メディアとeコマースに加え、オンライン取引や予約サービスにも関心があると同氏は述べている。

もちろん、GREE Venturesは日本近隣での活動も続けていく。GV1基金の約40%は日本と韓国市場のために確保されるからだ。同基金のポートフォリオには既に、eコマースのAucfan、仕出し/お弁当を提供するスタートアップStar Festival、広告プラットフォームのGenieeが含まれている。

またGREE Venturesは、傘下にGVを含む投資グループから120万米ドルを獲得した、ソーシャルレストラン検索サービスのRettyを持つ。Rettyは、日本国外へのサービス拡大を始めるためにその資金を活用し、まずアメリカとシンガポールに進出する予定だ。

日本のスタートアップおよび起業家の独創性に関して言えば、日本がイノベーション/起業危機に直面しているという最近よく目にする見出しについて、私は堤氏に少し尋ねずにはいられたかった。同氏は、私たちが今見ている状況は、ある意味で彼が若かった頃を思い出させると説明している。

「今は、25才以下の起業家に強い起業家精神があると私は思っています。20年前、私は学生で、その時に銀行や証券会社が破綻しました。だから、私の世代は大企業をそれほど信じませんでした。今の若い世代の人たちも同じ状況にいます。大手の電子機器企業が破綻しているからです。もちろん、多くの学生が大企業で働くことを好みますが、より積極的な若者は自分の会社を設立することを好みます。そういう人たちは独自性のあることをします」。

同氏は、日本とシリコンバレーで今起こっていることを比較するのは難しいが、東京の小さなエコシステムは同氏を前向きにしてくれると語る。

日本のインターネット企業が海外で成長拡大していることも心強い。日本のテクノロジー業界の保守的な企業が最近経験した問題の多くは、それらの企業が日本に近い海外市場でチャンスを見つけることができないというのが大きな原因かもしれない。そして、GREE VenturesのGV1基金がまだ非常に規模が小さい一方で、同社が東南アジアでの取組みで学んだ教訓は、将来親会社のメリットとなる実績と価値となって利益をもたらすことだろう。

[1]. 堤達生氏を含む、GREE Venturesのメンバープロフィールはこちらから。

【viaTech in Asia】 @TechinAsia

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