大切なのは、アイデアをエグゼキューションする力 ー GREE Ventures 堤達生氏が語る投資で外せない8つのポイント

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GREE Venturesは、インターネット・モバイル関連のスタートアップ企業に特化した投資と支援を実施しており、最近では東南アジアでも投資活動をおこなっているベンチャーキャピタルだ。

これまで新規事業開発とベンチャーへの投資などの領域を中心にキャリアを歩み、現在はGREE Venturesの投資事業責任者である堤達生氏が「MOVIDA SCHOOL」で語った、投資判断のポイントについてまとめた。

スタートアップが成長し、成功するために、投資家の存在を欠かすことはできない。資金だけでなく事業のノウハウやネットワーク、様々な影響をスタートアップにもたらすのがベンチャーキャピタルであり、スタートアップのエコシステムを形成する重要な要素だ。

投資ステージに対する理解

投資家にとって投資先の企業が、今どのステージにいるのかは非常に重要。自分が一番好きな投資のスタイルは、シリーズAへの投資。シリーズAは、各ステージの中で一番リスクが大きく、よくわからない状態のとき。そのときに大きくお金をいれて、12〜18カ月の短期間でしっかりとハンズオンする。そういう投資を実施している。このステージへのファイナンスは日本ではあまりプレイヤーがいない。

シリーズAへの投資に向けて必要な動き

シードラウンドの資金調達が終わったら、シリーズAに向けて投資家の人たちとコミュニケーションをとっておいたほうがいい。出資の意思決定まで、話始めてから通常3カ月ほどはかかる、早くても2カ月は時間が必要になる。

シリーズAのステージではまだ事業としての不確実性が高い。投資家側からすると、その企業に1億、2億円を出資するのでリスクが高い。いきなり投資の話をもっていくよりも、シードラウンドが終わってサービスがまだモックの段階くらいから少しずつコミュニケーションをとり、関係を構築しておくほうがいい。

投資家への相談ごと

「30分でもいいから時間ください」と今すぐ資金調達する予定ではないのだけど、話を聴いてもらいたいと連絡してみる、アポイントをとってみる。困っていることを相談するのもありかもしれない。基本的に投資家は時間をとって会ってくれるはず。

ハンズオン投資

ベンチャーキャピタルが出資先ベンチャー企業の経営に深く関与する投資スタイル、ハンズオン投資のスタイルをとっている。これはスタートアップのオペレーションの手伝いをするということではない。少し先の未来において経営にとって、最も必要なことを導き出し、その解決策を提示し、仕組み化することをハンズオンだと捉えている。

日々のオペレーションに気を取られていると、足元しか見なくなってしまう。投資家の役割は、起業家が足元しか見えなくなっているときに、その顔を上げさせること。スタートアップの課題発見、解決、仕組み化を徹底して実施する。これが自分にとってのハンズオン投資。

大切なのは、アイデアをエグゼキューションする力

アイデアだけに価値はない。自分が考えたことは大体ほかにも100人くらい考えている人がいると思っていい。エグゼキューションする力があるかは「アイデアを形にする業務フローがイメージできているか」「フローのイメージを可視化、数値化できているか」「フローを各メンバーに分担できるか」「退屈なことを厭わないチームか」といったことから判断できる。

つまらないこと、地味なことでも真面目にやり切れるかどうかがとても重要。思うこととやることは違う、エグゼキューションにこだわること。

競争優位性を生み出す汗かきポイント

投資の判断をするとき、美しいビジネスモデルの話には興味はない。大体ビジネスモデルは変化してしまうし、事業計画書の段階で提出されたビジネスモデルがそのまま進むことはほとんどない。どこで判断するのか。投資家として「あなたとあなたのチームが、何に頭と時間を使っているのか」を質問する。そのチームがどこで汗をかいているのか、そのポイントが競争優位性につながる。

何に頭と時間を使っているのか、そこから強みが生まれるので、それを意識してプレゼンテーションしてもらえると、投資家としては強みを理解しやすくなる。

マーケットが今抱えている課題を解決する

マーケットが大きいほうが良いが、見えない膨大な顧客よりも、自社の商品やサービスにすぐにでもお金を払いたいという顧客が誰かをしっかりと考えることが大事。ビジネスモデルは、一から作り出すクリエイションモデルとリプレイスモデルに分かれる。既存サービスへの不平不満を解決する、リプレイスモデルのほうがビジネスとしての成功確率が高い。

最初のマネタイズポイントを明確にしておくこと。 そこからお金がとれることがほぼわかっていることがシリーズAの投資ステージでは重要。

大企業との提携をうまくいかすには

スタートアップは大企業と提携することも重要。その際に必要なことは相手のプロトコルを理解すること。この人達は何をもとめているのか。大企業の人が気にするポイントを抑えておく。手順、お作法的なものを知っておくことで、随分と受け入れられ方が違う。

自分たちがわからないのであれば、ベンチャーキャピタルの人に聞いたほうがいい。大企業の人たちも忙しい。いかに効率的に稟議書を回すかなど、短期間で相手に理解してもらうためにはコツがいる。

U-NOTEリンク】:スクール当日にライブで記録されたU-NOTEです。合わせてご参照ください。

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