イノベーションとフィリピンがアジアのスタートアップのハブになる夢

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【翻訳 by Conyac】【原文】

フィリピンは、次のアジア太平洋地域のスタートアップのハブになるともてはやされている。だが、アウトソーシング業界に力を入れすぎていることが、それを制限する要因とはならないのだろうか?

デベロッパーとスタートアップ組織が、数々のスタートアップコンペやハッカソン、ミートアップ、その他のコミュニティ活動をフィリピンで開催している。ローカル、国内の起業家精神を支援しているマニラやセブ、ダバオ、その他の地域では、スタートアップへ関心が流れ込んできているようだ。GlobeやSmart、First Pacificなどの大企業もまた、スタートアップシーンへの関与を加速し始めている。ここからはすべて順風満帆と思うかもしれない。

しかし、すべてがバラ色というわけではない。フィリピンではもっと大きな動きがあり、イノベーションと起業家精神に対する私たちの姿勢の根本的な変化をもたらしている。そして、それが一部のスタートアップコミュニティのメンバーに不安を与え始めているのだ。

特に、国内のビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)の成長と関係があり、より具体的に言うならば、教育と専門職に関して国内の精神構造に大きな変化が起きているということだ。

GMA News Onlineで、Kevin Kevin Leversee氏が、教育システムと政府は核心を見失っており、この国が次のシリコンバレーになれるのか疑問だ、と書いている。

「サービス業に注目してしまうことで、フィリピンの大学、ついては経済が、イノベーションの新たなトレンドを見逃しています。国そして大学の卒業生が、世界的に革新をもたらす企業や個人のために、そのサービス業を行っているのです。」

BPO産業が過度に投資されることに何ら問題はない。実際、フィリピンは競争の強みを見つけたようで、より必要とされている経済活動と海外からの投資を得るのに適切な軌道にのっている。しかし、問題は、BPO業界に人材を慌てて集約する際に、革新を求める個人の起業家になるよりもサービス業界で有能になりたいと思う卒業生をつくることに力を入れてしまっているようなのだ。

サービス業の仕事を得るのに適切なスキルを身につけるという主眼がある。だが、これには罠もある。「良いサービス業の仕事を得るだけのために教育を推し進めている文化では、イノベーションは決して起きない」とKevinは書いている。

組織的に作られたものであれ、クラウドソース(フィリピンのBPOで次の起業トレンドになる模様)であれ、私自身はBPOの大ファンだ。だが、BPOで自分の国が有名になって欲しいというだけなら、あまり前向きとは言えない。それよりもむしろ、イノベーションを求めるべきだろう。

私たちは、イノベーションの功績を得る外国企業に積極的に貢献している。私たちにもスキルはある。だが、おそらく、いいアイディアを実行しようと冒険するよりも、より安定した仕事に就いた方がいいと自分自身に言い聞かせるようなリスク回避の気持ちが今もあるのだ。

できること

私の考えでは、フィリピンの起業家精神を支援するために、私たちができること、そして既に実行されていることがいくつかある。

・スタートアップエコシムを政府が確実にサポートすること。10月の「PhilDev economic forum」で、Benigno Aquino III大統領はシリコンバレーのグループがフィリピンのスタートアップエコシステムを支援するという取り組みを褒め讃えた。だが、これは、政府機関とスタートアップ活動を促進したいそのグループが提携をして最後までやり抜く必要がある。

・教育システムで起業家精神を推進する。フィリピンの小中学校のカリキュラムには通常、一般課程の修得度で先に出れるような技術的かつ実践的スキルの習得が含まれている。政府は既に、高校の卒業生に対し、大学の起業家コースに進むようアドバイスしているが、若い生徒のビジネスセンスということに関しては、確固とした基盤に欠けているようだ。

・大企業を巻き込む。先にも述べたように、大企業はすでにフィリピンのスタートアップエコシステムに関与し、特に、出資、提携、メンターシップという点でスタートアップをサポートしている。だが、そのほとんどがテクノロジーと通信分野である。その他の分野はどうなのか?

・スタートアップに助成金を。私は、政府がテックスタートアップおよびオンライン起業家達に助成金を与えたらどうだろうかと考えている。思い浮かぶ助成金の例は、免税期間の設定や税優遇などだ。

・事業登録を簡単にする。市民の間で起業家精神を奨励するのに役立つ別の方法は、事業登録を簡単にすることだ。世界銀行の調べで、フィリピンは事業のしやすさという点では環境の1番悪い国の1つと見なされている。事業登録プロセスを一新するという通産省の取り組みは良い出だしだ。

私たちの道のりはまだまだ長いし、フィリピンのスタートアップ業界に対して目を向けるにはまだ早すぎるという憂慮さえある。だが、アウトソーシング業界にあまりに力を入れすぎ、スタートアップ事業を通じて私たちがいかに良い革新をもたらすことができるのかも見ずに、そのチャンスを単に見逃すべきではないと私は思う。

【via e27】 @E27sg

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