UX Designはワンマンショーではない

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【翻訳 by Conyac】【原文】

ここ数ヶ月、インドネシアと国外のどちらにおいても、求人広告のタイトルに「UX」が付いているものを多く見た。もちろん、 UXに関心を抱く企業がますます増え、自社に対するUXの影響に気づくことは喜ばしい。しかし、企業がUXをチームではなく、個人の仕事とみなしていることがわかり驚いた。

ある求人広告に「UX ウェブデザイナー求む」とある。応募者には「Photoshop、Illustrator、Dreamweaver、HTML、CSS、およびクロスブラウザに対応できるスキル」、また「構成、色調、画像やタイポグラフィーを理解していること」というようなウェブデザインプロセスを詳細に知っていることが求められている。そして、ウェブ配置の経験が必要だが、UX分析も要求されるとある。だが、UX分析が何であるかという説明はない。

この求人広告は、UXが何であるかという知識に欠けている企業や雇用主が多いことを示している。UXのスキルがあるに越したことはないと考えられており、だからそれがボーナスのようにウェブデザイナーとパッケージでついてくるとのだ。本当にそのウェブデザイナーだけにUX分析の負担を負わせたいと思うのだろうか?UXが何かを本当に知っているだろうか?

おそらく、このウェブデザイナーが(実際のウェブデザインを除いて)できる最大のことは、UI(ユーザインターフェース)の発見的なユーザビリティ評価をすることだろう。もし、このデザイナーが同僚の助けを得ることができるなら、UIのユーザテストをするために専門家ではないユーザを呼ぶことができるだろう。

デザイナーが経営者側からのサポートが得られるなら、事業の判断に影響するかもしれないUI分析の結果を報告することができるだろう。だが、決してこれがUXというものではない。というのも、UXには異なる利害関係者(経営サイド、社員、ユーザ)とのコラボレーションが必要だからだ。

求人広告のタイトルが「UXデベロッパー」なら、ウェブデベロッパーがするべきリスト、 例えば、PHP、JavaScriptなどが記されているだろう。そして、この人物も同じようにUX分析を求められる。どんな求人であれ「UX」という文字を加えないとならない。今はそんな状況だ。

それで、ウェブデザイナー、もしくはウェブデベロッパーが各人の履歴書に「UX」という文字を添えて求人に応募してくる。これで、問題の解決になるのか?

別の求人では「UXリーダー」もしくは「UX責任者」とある。この求人では、応募者は実際にUXデザイナーとして「開発チーム、マーケティング、事業運営、そしてビジュアルデザイナーと密接に働き、ハイレベルの事業要件を詳細なユーザエクスペリエンスデザインにする」ことから、ビジュアルデザイナーとして「コンテンツの配置からアイコンそして描画までさまざまな美しいビジュアルをつくる」ことまで、超人級のスキルが求められている。

また、インタラクションデザイナーとして、「詳細なインタラクション、ビジュアルデザイン、そして新しいプロダクト、ウェブサイト、モバイルアプリやその他の機器のために、すべての技術、編集そしてユーザビリティの仕様を統合するワイヤーフレームの仕様を構築」し、コピーライターとして「当社のウェブ・モバイルプロダクトのために、効果的なマーケティングページおよびeメールのニュースレターをデザインする」ことも求められている。

この職務記述書は他の職務記述書、例えば「UXデザイナーができること」や「UXチームにできることのリスト」などからコピーされたように見える。もし、これが1人のUXリーダーの仕事なら、この人は誰をリードしているのか?デベロッパーをリードしているのか?

確かに、UXデザイナーが、ビジュアルデザイナー、インタラクションデザイナー、コピーライター、これらのどれか一つの経歴を持っていることもある。だが、それは経験の一部にすぎない。そして今やその人はリーダーであるからにして、UXに取り組むチームからサポートを受けるべきなのだ。

企業が自社のプロダクトやサービスのUX向上を目指しているのはわかるが、彼らはどこから手をつけていいのか分かっていない。企業はそれを1人の人間から始めることを願っている。金銭的にも戦略的にも合理的な判断だからだ。だが、良いUXをデザインするためにどんなステップが必要かを理解すれば、1人のスタッフにワンマンショーをやらせて困らせることを防ぐことができる。

私が提案したいのは、現在いるスタッフから始めることだ。自社のマーケティングスタッフを訓練して、既存の顧客に関する知識をUX要件に変換する。広告を外注しているなら、そこのコピーライターと協力してウェブサイトで何を表示するべきかを考える。

ウェブデザイナーを訓練して、マーケティングスタッフから情報を共有し、顧客の特徴を理解する。UXではなくてユーザビリティを知っているウェブデザイナーを雇う。そしてデザイナーとデベロッパーが衝突しないように気をつける。もうひとつの提案は、インタラクションデザイナーを雇うこと。この人物がマーケティングチームと連携して顧客の特徴を掴み、ビジュアルデザイナーと連携してインタラクションスケッチをプロトタイプに変換する。

デベロッパーと連携してインタラクションがデザイン通りであることを確認する。そして反復ユーザテストを実施するか、またはマーケティングチームと連携し、プロトタイプを使って顧客の行動を測る。

上記を行った後に、もし予算に余裕があればUXリーダー/ディレクターを雇うこともできる。この人物はプロダクトのUXデザインに携わる全ての人とコミュニケーションを図り、全てのコミュニケーションがスムーズで効率的であることを確実にする。重要な要素としてはコミュニケーションスキルの高さであり、この人物がマーケティングチームと開発チームの両方とコミュニケーションを取れなくてはならない。両者は別物なのだ!

デザイナーとデベロッパーの人は、好きなようにやっていることをし続けよう。あなた達は依然としてUXの利害関係者なのだから。良いUXに関する共通点があれば、UX利害関係者の中でスムーズなコラボレーションを十分に行うことができる。

ビジュアルデザイナーは色や形の見識を学ぶことができる。ウェブデザイナーは発見的ユーザビリティ評価を学び、デベロッパーはユーザにとって使いやすいインタラクション技術を学ぶことができる。そうすれば、誰もが職位に「UX」という言葉を付け加えることなく、UXに貢献することができる。

ユーザーエクスペリエンス(UX)シリーズの記事はITに従事していたUX研究者Qonita Shahab氏が運営している。彼女は音楽と写真に興味を持っており、それがインタラクティブシステムのプロトタイプデザインに生かされている。説得技術分野の研究を開始して以来、Qonitaは社会心理学とテクノロジーの共有化について学んできた。Twitterで彼女をフォローしよう@uxqonita

【via DailySocial】 @DailySocial

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