中国オンライン教育業界の現状

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【原文】

中国のテック業界もオンラインによる教育改革を見逃してはいない。100を超えるオンライン教育のスタートアップが生まれている。オンライン教育は、共同購入サイトなどよりも正当だと説得しやすいビジネスだ。質の高い教育が都市部に集中する大きな国では、名声のある教師か営利目的で運営されている学校はインターネットを通じて、より多くの生徒を取り込み、より多くの収益を上げることができる。

既存の教育機関やオンラインサービスはこれまで良い思いをしてきた。10年前に設立されたNew Oriental Education(新東方教育)のオンラインビジネスであるKoolearn(新東方在線)は、6年連続で収益が50%増化し、オフラインのクラスに比べてマージンも高いとCEOは語る(中国語記事)。2001年に設立された言語学習サイトHujiang(滬江)は今年の収入は1億元(1,600万米ドル)で、1,500万人の登録ユーザがいるという(中国語情報源)。

他の中国版コピービジネスと違い(公開オンライン講座「MOOC」やShareskillスタイルのものを除いて)、中国のオンライン教育サービスのほとんどは自国ならではの方法が取られている。1)ほとんどのオンライン授業は試験対策用、2)ユーザ獲得には教師が鍵、3)設立者のほとんどが技術畑出身で、教育分野ではない、4)ほとんどのコースは有料、などなどだ。

試験重視&教師中心

New Oriental Educationなど中国の有名私立学校のほとんどは試験対策と言語学習に力を入れている。オンライン教育も同様で、今後もそうであることを期待されている。教育システム全体において、教師は社会から大変尊敬されている存在であり、教師には子どもに試験で高得点を得る手助けが求められている。

中国語で教師を意味するLaoshi(老師)は、生徒と教師が取引できるプラットフォームだ。このウェブサイトは生徒の授業料を全ての授業が終了するまで預かり、生徒が授業に満足しない場合は残りを返金する。生徒は全ての授業後に教師を評価したりレビューすると現金でキャッシュバックが受け取れる。

中国語でチョークを意味するFenbi(粉筆)は、自らを「プロの講師と生徒のインタラクションプラットフォーム」と称している。マイクロブログフォーマットの機能で生徒は講師やスクールをフォローしたり、ノートや資料を読んでタイムラインフィードに投稿したり、教師やスクールがアップロードした学習資料にアクセスしたり、Q&Aに参加したりすることができる。

プラットフォームはおそらく中国人が人生で遭遇するであろう全ての種類のテストをカバーしている。前Netease(網易)ニュースサービスチーフエディターのLi Yong(李勇)氏と同僚が創設した同社は、Aラウンドの資金調達でIDGから1,000万元を調達し、向こう2年は収益化を危惧する必要がないという。

教育分野出身の創設者たちがほとんどいない

創設者のほとんどがエンジニアやテックメディアなどの技術畑出身だ。教育分野のバックグラウンドを持つのは主に小学校・中学校で働いている教師で、テストの準備において学校外授業を行い、報酬を得ている。

中国の高等教育システムの職員がCourseraのようなオンラインサービスを構築したり、Khan Academyのような魅力的なオンライン授業を提供することは想像し難い。現在のところ、教授や大学講師がオンライン授業を行っているという話は聞いていない。

ひとりでも多くのユーザや業者を獲得する必要があるソーシャルネットワークやグループ購入サイトの構築とは違い、オンライン教育サービスの鍵となるのはコンテンツと機能的な授業である。全てのオンライン教育アクティビティを可能とする万全な技術サポート体制を整備したサイトは存在していたが、ほとんどは専門的にうまく系統立てられた授業の提供はしていない。

Taobao(淘宝)

そう、Taobao(淘宝)は何でも取り扱っている。自作の教育ビデオを販売して良い暮らしができている人もいる。必ずしも教師でなくてもいいし、パートタイムで教えてもいい。

教育機関もTaobaoのTmall(天猫)に店舗を設置している。中でもNew Oriental SchoolとHujiang Online Schoolは今年の11月11日に実施されたマーケティングイベントにも参加した。教育機関が半額でオンライン授業を提供するのは初めてのことだ。Taobaoの発表したデータによると、教育市場の取引高はその日2億元(3,200万米ドル)に達した。(中国語情報源

YY Education(YY教育)

バーチャル通貨を使ってユーザはYYソフトウェアでYY Education(YY教育)のオンライン授業にアクセスできる。YYは2011年6月に教育ビジネスをローンチしており、人気と収益において同社のYY Musicと肩を並べるものにしようとしている。しかしこれまでのところ、他のオンライン教育スタートアップとの差別化は見受けられない。

中国の教育市場は立派な校舎の私立学校が開校して以来、変化を続けている。文化大革命後、そして経済改革の時代に成長した親たちは既存の教育システムを嫌い、良い教育を子供たちに受けさせるためには、貯蓄の中から大枚を投じることをいとわない。

けれども、それは彼らとその子供たちが質の高い教育というものをどう定義するかに大きく左右される。彼らにとって、より良い教育とは、西洋の先進国において勉強すること、あるいは専門的な資格を得ることだろう。だから、教育市場はこれからもやはり試験対策、そして言語学習を扱うものが中心となる。

以前には教育関連のリソースに少ししかアクセスできなかったスタートアップにとって、生き残るためには、消費者から受け入れられるコンテンツをどこで仕入れるかについて考え出さなくてはならない。オンライン教育のトレンドが中国の教育制度を変えるか否か、についてはどうだろうか?まあ、それにはまだまだ時間がかかるに違いない。

【via Technode】 @technodechina

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