市場の未来を創造するために、アーリーアダプターの消費者行動を把握しよう

SHARE:

【原文】

Early-Adopter-220

ある市場の将来を創造したいなら、アーリーアダプターの消費者行動を見て、何が望まれていないかを調べよう。ユーザ・エクスペリエンス・デザインはここ数年ホットな話題だが、それには多くの人が見落としている弱点がある。あなたはリードコンシューマーの行動に注意を払っているだろうか?Clayton Christensen氏は著書「The Innovators Dilemma(邦題:イノベーションのジレンマ)」で、それが大企業の基本的な欠陥だと記している。

成功している主要な企業には確立された顧客基盤があり、その顧客のほとんどの人が現状プロダクトもしくはサービスに適度に満足している。だが、残念なことに、マスマーケット(大衆市場)に従事している企業の顧客にとって、それらの企業の提供品は「キャズム」を超えていて、大抵が標準のニーズを満たしているものだ(Geoffrey Moore著「Crossing The Chasm(邦題:キャズム)」)。

これらは、市販の主要プロダクトやサービスを越えて最先端のニーズに新しいソリューションを望む「リード・ユーザ(アーリーアダプター)」の市場ではない。これらの「リード・ユーザ」とは、現状ソリューションに新境地を開くことが多い。

リードユーザに注目する

この10年、画期的な企業が短期間に市場全体を変えており、複数の大企業がその無邪気な活動の犠牲となっている。大企業の排除があまりにも頻繁に起こるなか、大手企業も激震が起こる可能性を十分に認識している。だが、それに対して何をするべきかを正確にアドバイスするのは難しい。

大手企業は伝統的に検証された市場にサービスを提供しているので、その企業らは自分たちが正しいことを証明することできる。一方で、革新をもたらす近頃の企業のほとんどは、アーリーアダプター市場で前提を無効にしようと、アダプションリスクを素早く取り除いている。これによって、画期的な企業は明らかに有利な立場を得ている。

彼らが将来メインストリームとなる消費者行動・選好に関して大企業よりも広く明確な情報を入手するからだ。そのような分析やテストはコトラーのツールの1つ「ブラックボックス・モデル」を使って行われる。心理学で「ブラックボックス」とは、「不明なこと」を説明するために用いられる複合概念だ。このプロセスの特質は観察することができるが、実際の思考プロセスとそれがいかに行動に結びつくかという過程は見ることができない。

観察することができるのは思考以外の部分だ。人に影響を及ぼす外部要素と、その結果その人がどう反応するかを見ることができる。その間のプロセスは消費者行動の「ブラックボックス」だ。

「消費者行動」とは比較的大まかなマーケティング用語で、実質的には「なぜ消費者がそのような行動をとるのか」という質問の答えを探そうとするものだ。何が人を動かすのかを研究して理解できれば、消費者の要望やニーズに合ったよりよいマーケティングを考えることができ、消費者行動の変化さえも予測することができるだろう。

ブラックボックス・モデル

ブラックボックス・モデル(コトラー、2004年)は、心理学説の行動主義にあるブラックボックス理論に関連したもので、消費者の思考プロセスではなく、「動機づけになったもの」と「消費者の反応」の関係に焦点をあてている。Eric Ries著の「The Lean Startup(邦題:リーンスタートアップ)」にも、ブラックボックス・モデルの強い要素が盛り込まれている。

というのも、アーリーアダプター市場をターゲットにして未知未見をテストし、適切な顧客、課題、解決策を見つけることを目指しているからだ。前提をなくすためにアーリーアダプター市場に取り組むことにより、イノベーターは比較的効率よく「将来を築く」ことができる。

なのに、こういうテストアプローチがなぜもっと一般化しないのか?その答えは大企業の意思決定の体制にある。大企業は前提にしたソリューションを正当化することだけを目指していて、通常は現状の主要市場から得た数字に頼っている。これでは、消費者行動の将来のトレンドを見つけられないだろう。

「ある市場の将来を創造したいなら、アーリーアダプターの消費者行動を見よう。」

ある市場の将来を創造したいなら、アーリーアダプターの消費者行動を見よう。アーリーアダプターは通常、プロダクトがそんなに良くなくても試しに使ってみる人たちで、プロダクトやサービスの実行可能性について価値あるフィードバックをしてくれる。

それによって、完成度を高めることができ、最終的にはユーザトラクションや成長を助長する。本質的に、最低限必要な機能は何かをアーリーアダプターから学び、誰も全く望まないプロダクトに費やす時間と労力をカットすることができる。

この記事はもともと「Consumer Behavior: Creating The Future(消費者行動:将来を築く)」というタイトルでScottebales.comで発表された。

【via e27】 @E27sg

BRIDGE Members

BRIDGEでは会員制度の「Members」を運営しています。登録いただくと会員限定の記事が毎月3本まで読めるほか、Discordの招待リンクをお送りしています。登録は無料で、有料会員の方は会員限定記事が全て読めるようになります(初回登録時1週間無料)。
  • 会員限定記事・毎月3本
  • コミュニティDiscord招待
無料メンバー登録