アジアの起業家がシリコンバレーから学べること

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【原文】

Silicon-valley

異なる市場規模、競争やメトリクス(評価尺度)への異なる考え方、新卒でスタートアップを始めること、そしてアントレプレナーシップ(起業家精神)について、e27のライターJacky Yap氏がシリコンバレー・ベイエリアで学んだことを語る。

シリコンバレーは間違いなく世界で一番のスタートアップエコシステムを誇る。ここ1ヶ月、私はベイエリアに拠点をおく優秀で最もホットなテックスタートアップの数社と会う機会があった。

今はもうシンガポールに戻っているが、ベイエリアで私が学んだことは何だろう?ここ1年シンガポールのテックコミュニティで多くのことを学んだが、シリコンバレーに行ったことで、この2つのスタートアップエコシステムについてさらに幅広い異なる考え方を学ぶことができた。

市場規模

シンガポールのスタートアップが抱える不満の1つは同国の市場規模が小さいことだ。これに関しては皆が同じ意見を持っているが、最近話をしたシリコンバレーのスタートアップ設立者の1人が市場規模について非常に興味深い考え方を示した。

その話に進む前に、市場規模について見てみよう。シンガポールでまあまあ成功しているモバイルアプリのダウンロード数はおよそ2万。例えば、LoveByteのケースで説明すると、LoveByteがシンガポールでアーリーアダプターの20%を確保できたとすると、シンガポールのアーリーアダプター市場全体は約10万人規模ということだ(これに関してはまた別の記事を書く予定なので、お楽しみに)。

シリコンバレーでは、少なくとも700万~800万回のダウンロード数に、アクティブユーザが全ユーザの約30%を占めないと最近では資金調達ができない、とシンガポールに拠点を置くある設立者が最近語っている。これは統計的には大きな割合ではないが、シンガポールとアメリカの市場規模の違いがいかに大きいかを如実に示している。

だから、シンガポールのスタートアップが市場規模が小さいと不平を言うのも当たり前だ。だが、それを実績が上げられないという理由にしてはいけない。オンラインのフードデリバリーサービスを提供するシリコンバレーのスタートアップ設立者は、Facebookが立ち上がった頃の話をして、市場が小さいという主張を退けた。

「Facebookを見て下さい。Facebookは最初はハーバード大学の学生だけをターゲットにして大学全体のソーシャルネットワークを完全に独占しました。その後、他の学校へとサービスを拡大し、小さいけれどしっかりしたコミュニティーを築きました。あとの話はご存知でしょう。シンガポールは小さいですが、その小さい市場さえも掴むことができなければ、その地域もしくは世界で他のスタートアップや企業とどうやって競争ができると言うのでしょう?」

まさにその通りだ。

競争とメトリクス

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500Startupsのプログラムに参加しているCubie MessengerのTempo Feng(馮彦文)氏とCjin Cheng(程希瑾)氏を訪問した時、Feng氏は非常に印象深いことを語ってくれた。Cubie Messengerの競争が心配かどうかを尋ねると、Feng氏は次のように答えた。

「私達が500startupsそしてシリコンバレーで学んだことの1つは、尋ねられる質問の違いと重点の違いです。ここシリコンバレーでは、メトリクスと成長に重点が置かれています。競争についてはあまり話をしません。アジアでは、いつも競合他社についての質問がありました。シリコンバレーで、私たちはメトリクスやプロダクトにもっと集中することを学びました。」

また、ほとんどの人が市場規模は一定の数値だと捉えているが、その数値が常に増え続けているということを忘れてしまう。

このことが私の次のポイントなのだが、シンガポールのスタートアップはメトリクスについてオープンに話をしない。テック業界にはシンガポールや東南アジア市場に特化したマーケティングやグロースハッキングのケーススタディーが十分にない。私がシンガポールのスタートアップにもっと望むことは、メトリクスグロースハッキングをもっと公表することだ。

成長度の高いスタートアップで働くべきか vs 新卒ですぐ起業するべきか

シリコンバレー滞在中の最初の2週間で常に話題に上ったもう1つのサブテーマは、大学卒業後すぐに起業するべきか、それとも最初は成長度の高いスタートアップで働くべきかということだった。驚くことに、私が話をした設立者そして起業家のほとんどが、まずは成長度の高いスタートアップで働く方が良いと述べた。

成長度の高いスタートアップで働くということは精力的な仕事環境に身を置くということで、その会社の成長とともに自分自身も学び成長できるという絶好のチャンスが得られる。また、自分自身のブランド、ネットワーク、信用を築く大きな助けにもなる。とは言ったものの、小さなプロジェクトで素晴らしい人々と起業して働くには大学は最高のチャンスを与えるという人も多かった。

アントレプレナーシップ

ここ数年、スタートアップの平均的な質はかなり上がった。皆がますますスタートアップに上手くなっているからだ。初めて起業するなら、自分自身のために何かを構築するのがいいだろう。思い入れの強いものを作れば、成功するチャンスも高くなる。

このことと同じように大切だと私が思ったのは、規律を持ち、首尾一貫して取り組み続けることだ。私が時々再読するJoel Runyon氏のある記事に、規律とモチベーションの本質が上手く説明されている。モチベーションは、はかなく状況次第だが、どこからでも得ることができる。一方、規律は一貫性があり習慣的だが、得難いものだ。

テックスタートアップで素晴らしいリーダーになるには、世の中に影響を与えると同時に販売する能力とカリスマ性を持つ必要がある。そして、コーディングも学ぶと大きな助けになる。

【via e27】 @E27sg

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