Baidu(百度)、東南アジア向けにPC用セキュリティソフトをリリース

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【原文】

Baidu(百度)とQihoo 360(奇虎)の仲が悪化していることは明らかだ。セキュリティ企業Qihoo 360が独自の検索エンジンをリリースした後、BaiduがQihooの縄張りであるセキュリティ分野で逆襲を企てるのは時間の問題だと思われた。そして、とうとうBaiduはセキュリティ関連プロダクトをリリースしたのだが、興味深いことにそれは中国をターゲットとしていないのである。その代わり、新登場のBaidu PC Fasterソフトウェアセットはタイをメインのターゲットとしている。

Baidu PC Fasterという、少々ぎこちない名前がつけられたセキュリティソフトのセットは2つの言語(英語、タイ語)で利用可能となっており、4つの主要なアプリケーションを備えている。ブートタイムマネージャー、Windows Updateマネージャー、ストレージクリーナー、そして4つ目のヘルスケアだが、こちらはおそらくコンピュータに発生した問題を解決し、セキュリティを強化するアプリケーションだと思われる。

ドメイン名「.co.th」とタイ語のオプションから考えると、このプロダクトは主にタイをターゲットとしていることが明らかだが、英語版も用意されていることで東南アジアの人々にとって利用しやすいものとなっている(少なくとも、中国語よりは利用しやすいだろう)。

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これは興味深い戦略だ。東南アジア市場には多くの中国企業が参入を目指しているようだが、BaiduはおそらくQihooに先駆けて東南アジアへ参入することで、Qihooの海外進出の可能性に先手を打とうと試みているのだろう。おそらく、QihooのCEO、Zhou Hongyi(周鴻禕)氏にとって、これは本当に気分を害する動きだ。率直に言って、それこそBaiduの関係者がその戦略をとった理由なのかもしれない。

もちろん、東南アジアは成長が著しく利益が上がる市場だ。だからBaiduの動きはライバルのQihooに平手打ちを食わせるだけにとどまらず、スマートな事業戦略と言えよう。しかし、このサービスが同地域においてどのように受け止められるのかは興味深い。というのも、中国は東南アジアにおける種々の領土問題において強硬姿勢を示しており、同地域の国々はこれに悩まされているからだ。(例えば、ベトナムは中国製のビデオゲーム内に問題となる係争地域の地図が含まれることからこれを禁止した。)

そのため、中国企業の中には東南アジア地域へと拡張する際、中国製であることを目につきにくくするか、控えめに表示するようにしているところもある。しかし、Baiduはその名前を堂々と出すことを選んだ。タイでこれが同社に重大な悪影響を及ぼすという可能性はあまりないかもしれないが、他の東南アジアの国々、例えばベトナムやインド(両国とも中国との深刻な領土問題を抱えている)ではこのプロダクトのセットについて異なる見方がなされるかもしれない。Baiduのブランド構築とは別に、例えばプロダクトのBaiduのページには中国のことが全く触れられていないことは注目に値する。

【via Tech in Asia】 @TechinAsia

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