2013.2.12

共有経済は中東やトルコに根付くことができるか?(Airbnbクローンは成功はするか?)

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wamda_logo_ar ※本稿は、中東・北アフリカの起業家向けメディア「ワンダ(ومضة)」からの転載である。転載にあたっては、原著者グライ・オズカンからの許諾を得た。 Sd Japan has reproduced this under the approval from the story’s author Gülay Özkan.


【原文(アラビア語)】

ますます激化する経済状況と高まる社会懸念によって、私たちは生活方式やお互いのつながり方に新しい方法を模索さぜるを得なくなっている。ここ数年、消費者行動におけるこういった変化によって、「共有経済」「集団消費」もしくは「ピアツーピアマーケットプレイス」として知られる概念が作り出された。これは、AirbnbZip CarKickstarterなどの成功によって、テック起業家らにとって熱い分野となっている。

だが、これらの企業がトルコや、中東と北アフリカ諸国の新興国市場で成功するのかという疑念がある。これらの国々の一般的なビジネスモデルは、現地のニーズと傾向に基づいて事業革新をするというよりも、欧米のアイデアを模倣することだ。だから、懐疑的な人は、これら2つの市場における消費者行動の違いと、オリジナルのビジネスモデルがどうして成功したのかをもっと理解する必要がある。

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成功の根源

集団消費の必要性(例えば、Zipcarモデルのように、車などを直接所有せず、リースしたり共有したりすること)が存在するのは、過去10~15年ほどのことだ。これは、1960年代に起こったアムステルダムの「White Bicycle Plan(訳注:アムステルダム中心部に自動車でアクセスできないようにする運動。道に放置された白く塗られた自転車は、誰でも自由に使えるようにした。)」やアメリカでのカープーリング(自動車の相乗り)など、臨時的な社会的慣行に端を発している。だが、Airbnb、KickstarterそしてZipcarなどのテクノロジープラットフォームが、そういう運動へのアクセスのしやすさとシンプルさを大きく向上させている。

それによって、集団消費が新たなライフスタイルとして始まった(これを、Sara Horowitz氏はThe Atlantic誌で「静かな革命」と呼んでいる)。経済移民が増えたことは言うまでもなく、失業率、個人債務、生活費が上がるなか、集団消費は今まで以上にますます魅力的になりつつある。

これらの集団消費ビジネスは次の10億ドル企業を生む、と2011年に英・エコノミスト誌が予測しているが、その主な理由は欧米で共有経済が成長したからだ。今の経済状況で、Airbnbの時価総額が25億ドルと言ってもそんなに驚くことではないが、それによって、そういうサービスが持続可能なのか、そして成功の裏にある原動力は何なのかという議論が始まっている。

ほとんどすべての人が同意するように、お金の節約が共有経済の成長の大きな原動力である。ピアツーピアの宿泊ビジネスは、ここ数年の世界的な経済危機の間に始まっている。もし経済危機が起こらなければ、このサービスは生まれてなかっただろう。欧米の経済回復でAirbnbの成長を短期的に阻むことがあっても、その成長のかたちは長期的には異なるかもしれない。「静かな革命」という現象が増えているからだ。そして、この「静かな革命」はウォール街占拠運動で示された反協調組合主義の感情にも関連している。

もう1つの別の要素は、Horowitz氏の言う「360度の人々」だ。これらの人は、それぞれの消費活動によって起こる、生態的、社会的、経済的な影響を認識し、コストに関わる懸念がなくても集団消費を選択するかもしれない消費者だ。

7dayhouse.comというピアツーピアの宿泊サイトを立ち上げようとした起業家で頻繁に旅行をするKayhan Molaci氏は言う。

「Airbnbを利用するためにライフスタイルを変える人もいます。例えば、バルセロナにいる友人の1人は、前よりも大きなアパートを借りて、スペアルームをAirbnbで提供しています。彼は、新しい人と出会いたいし、お金をもっと稼ぎたい、そして、より良い環境で生活したいのです。」

新興市場における共有経済の分析理論

中東やトルコが欧米と比べて違うところは、中東やトルコでは、新しい人に出会うためとか、環境のためにという理由で、アパートをシェアする人がほとんどいないということだ。シェアする主な動機は「静かな革命」というよりも、純然たるコスト節約(もしくはお金を作るため)だ。

新興国にもピアツーピアの宿泊プラットフォームに似たサービス(トルコの hemenkiralik.com、 kiraguru.com、 sahibinden.com や、アラブ諸国の Arabrooms.com や Gweet.com )があるが、ほとんどのサービスが従来通りのアパートの賃貸や車のレンタルに特化している。

イスタンブールを拠点とする起業家で、次世代の観光ビジネスを生業とするHakan Guzelgoz氏はこう語っている。

「欧米の共有文化は、中東・北アフリカ諸国やトルコと比べると、かなり異なっています。ですが、私たちの地域においても、ピアツーピアの宿泊サービスには大きな可能性があります。しかし、唯一成功する見込みがあるのは、シェア目的に存在するアパートくらいです。エコに暮らすいう目的だけで、人々が自分の住んでいるアパートをシェアすることはないでしょう。」

Molaci氏も「トルコや中東・北アフリカ諸国で、人にアパートを貸すのは、自分たちがそこに住んでいない時でだけで、コストを節約するためです。それ以外の理由はありません。」と同意している。

経済発展の役割

なぜ新興国では共有経済ビジネスを異なるポジションに置く必要があるのかは、エコに関する理解の違いを見れば分かるかもしれない。

ロンドン拠点のエコ起業家で、Al Gore氏の「Climate Reality Project」のトルコ大使を務めるErgem Senyuva Tohumcu氏は、次のように述べる。

「環境に配慮した生活、これは集団消費の台頭を反映しているものですが、私たちの地域ではほとんど存在しません。私はこの原因は私たちの文化にあると思います。私たちは、エコシステムやコミュニティの一員であるというよりも、自己のことに目を向けすぎています。ここでは、どのくらい共有しているかというよりも、どのくらいのものを所有しているかで、人は評価されています。」

政府レベルでの環境政策が欠如していることも、社会が環境に対し軽率な態度をとることにつながるが、事前対策がないということは、深い集団的運命論に根ざしているかもしれないとTohumcu氏は語る。

「『運命』のせいにすれば、責任について考えなくてもよくなってしまいます。それが私たちの地域で環境に関する認識が不足している大きな理由と言えるでしょう。」

短期的に言えば、このことがAirbnbやZipcarのクローンサービスの障壁となるのか、もしくは、こういう姿勢が徐々に変わっていくかどうかはまだ分からない。いずれにしても、時価総額で20~30億ドルを達成するには、新興国市場の現実に基づいて起業する必要がある。

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ゲストライター

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