中国オンライン動画ビジネスの現状

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【原文】

How about Doing Online Video Business in China Fashion?

中国の複数のオンライン動画サービス、これらは俗に代表格の「Youku(優酷)」になぞらえて「Youkus」と呼ばれるが、彼らは長年にわたってインフラ整備、コンテンツ購入、ユーザ獲得、ブランディングといった取組みをし、欧米のサービスにならって、オリジナルコンテンツの製作にも着手した。

外部から調達するコンテンツのライセンス費用は中国式の競争によって拍車がかかり2009年頃に急騰、そして2012年、最終的に比較的妥当なレベルへと下がった。それと同時に、かなりの数のサービスがそれほど大きくない中国の動画広告市場内で競争しなければならず、しかもそれらのサービスはユーザをうまく有料コンテンツの購入に誘導できていない。したがって、近い将来に収益が上がる見込みがないのである。

彼らが欧米の動画サービスYouTubeやHuluなどを追いかけるのは、その方がよりメディアからの注目を浴びるから、というのが理由のひとつだ(中国のインターネットサービスほとんどすべてについて、これは当てはまる)。

動画ビジネスから収益を上げるのがいかに難しいか、中国のユーザがいかにこういったサービスにお金を払おうとしないか、といった問題に取り組んでいた際、中国南部の家庭ではオンライン動画を視聴できるChina Telecom(中国電信)のサービスに加入していた。これは有料サービスにこだわっていた大手動画コンテンツプロバイダの一社であるVoole(優朋)のテレビだ。またオンライン動画プロバイダであるLeTV(楽視)は利益を上げていた。(将来の利益を圧迫するライセンス費の償却について、その会計処理には賛否両論があるが。)

LeTV、中国式の興味深いケース

2004年に設立されたLeTV(SZ:300104)は中国で最初にインターネットビデオサービスを開始した会社のひとつであり、どこよりも早く株式公開に踏み切った。YouTubeのようなユーザ発信(UGC)コンテンツを取り扱うYoukuやTudou(土豆)と違って、LeTVはライセンス許可されたコンテンツからスタートした。

UGCコンテンツでは収益化が見込めないと判断し、UGCサイトは2008年後半から著作権付きのプロフェッショナルコンテンツを購入し始めた。2008年はHuluが台頭した年で、これも何らかの関係があるに違いない。しかしそれ以前にLeTVは独占的にコンテンツで巨額の富を得ていたので、Youku等の同業社へのコンテンツ配信を開始した。

誰もが独自のコンテンツの重要性に気付きコンテンツプロバイダに直接頼り始めた2012年2月、LeTVはセットトップボックス(STB)をリリースした。LeTV は動画コンテンツを保有しているので、Xiaomi Box(小米盒子)とは異なり、制約的なリスクはなかった。テレビに動画配信することを許可されたコンテンツプロバイダは、中国には7社しかなく、ほとんどが国有企業だ。

第三者機関が参入し提携を結んでも、Youkus の動画の他は、提携先であるライセンス所持者のコンテンツしか提供することができない。LeTVは、無許可のコンテンツを提供しているXiaomi Box(小米盒子)とは異なり、認可された提携先のCNTV(中国網路電視台)に独自のコンテンツを提供する合法的な方法をとっている。

STBの最初のバージョンの価格は1999元で、中級程度のスマートフォンとほぼ同じ価格設定だ。しかしこれはあまりうまくいかなかったようだ。その後、グレーマーケットでは色々なSTBが販売されるようになり、価格も数百元もしなくなると、LeTVも再設計した製品、C1を無料でリリースした。

しかし、消費者は有料版のコンテンツをこの機器を利用して1年間視聴するために399元支払う必要がある。つまり、ユーザはLeTVに年間使用料を払い続けることになり、C1と一緒にリリースされたスマートTV向けのアプリを利用する場合も同様に、490元の年間使用料を支払う必要がある。

399元や490元は、中国のユーザがケーブルテレビに加入して支払っている料金、例えば、似たようなChina TelecomのインターネットTVに加入して支払っている312元のセット料金と大差ない。

LeTVには、収入源になり得る事業が他に2つある。一方は、Le Vision Pictures(楽視影業)で、動画を自主製作するために2008年に設立され、年間30本の映画制作が計画されているLeTVの兄弟会社だ。もう一方は、LeTV Store(楽視市場)で、テレビの娯楽向けアプリを収集するために設立されたテレビ向けアプリショップだ。LeTVが4つの収益源と位置づけている、ハードウェアの売上、有料コンテンツ、有料アプリやアプリ内課金、そして広告収入で、見事な収益構造を形作っている。

これは説得力があるのではなかろうか?LeTVのやり方が結局失敗に終わり、中国式で生き残ろうと試みて失敗に終わった企業のリストに加えられる可能性もある。しかし、一方で私はどうして、いわゆる Youkus がオンラインテレビ局にならないのか疑問に思う。

既存の中国テレビ局と同じように、自主制作番組やライセンスを受けたコンテンツからそれなりの広告収入を得ることができるだろうに。モバイル参入についてはどうだろうか? あるいは、広告を売ればうまくいくだろうか?

【via Technode】 @technodechina

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