見込み客との関係構築のためにデジタルでの対話を実践する #IM2013TOKYO

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2月25日に開催された「INBOUND MKTG 2013 TOKYO」。二番目のセッションは「Lead Nurturing Strategy and Tactics – 見込客育成のためのクリエイティブ、その手法と課題」というテーマで行われた。

セッションテーマにある「Lead Nurturing(リードナーチャリング)」とは、見込み客の育成プロセスのことを指す。展示会やWebで収集した見込み客を、メルマガやセミナーなどで啓蒙、育成していくマーケティングプロセスのことだ。

ゲストに登壇したのは、シナジーマーケティング株式会社CEOの谷井 等氏。株式会社ニューズ・ツー・ユー マーケティングコミュニケーション部の四家 正紀氏。Responsys,Inc 日本地区セールスマネージャーの鈴木 望氏、株式会社ネクスウェイの上田代里子氏の4名。

このセッションは、まずセス・ゴーディンの著書「Permission Marketing」を紹介された。この書籍で書かれていたことは、それまでのマーケティングは顧客の生活の中に割って入っていき、中断させるインタラプションマーケティングだったこと。そして、きちんと許可をとってからマーケティングするべきだという主張がなされた。それがパーミッション(許可をとる)ということ。

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デジタルマーケティングはダイアローグ

リーマン・ショック以降、メールマーケティングのニーズが増しているという。メールマーケティングは、企業にとっての資産(アセット)的な捉えられ方をしているそうだ。これらは、オプトインをとっている顧客なので、潜在顧客。不況になり広告予算が減ってきた中、自社資産で扱えるメールマーケティングのニーズが上昇してきたというわけだ。

不況に加え、顧客データのマネジメント技術が伸びたことも要因の1つ。アクセス解析の技術がよくなってきており、メールからサイトにアクセスした人が、ウェブサイトでどういった行動をしているのか、その行動データを集める仕組みが進歩してきた。

顧客がクリックした行動など明示的に教えてくれたこと以外にも、クリックされなかったのはなぜなのかを分析することからも多くのことがわかる。顧客とのやりとりから様々な情報を得ることは、インタラクションマネージメントとも呼ばれる。デジタルマーケティングはダイアローグなのだ。英語圏ではこうした行動を「デジタルボディ・ランゲージ」とも呼び始めたそうだ。

コンテンツをつくるということについての心構え

コンテンツを配信することで心構えを各ゲストが語った。

上田氏「自分たちのほうを振り向いてほしい、という顧客層をきちんとセグメントすることが大切です。ただ派手で目を引くコンテンツではなく、コアに求められているコンテンツを提供する。」

谷井氏「インバウンドマーケティングとはフィロソフィ(哲学)だと思います。本当の顧客は誰なのかを考え、本当に大事にすべきお客様から大事にされることを目指すこと。その本当の顧客を見つけるためには、デモグラフィックログ、アクセスログ、キャンペーン、それぞれをつぶさに観察してゆくこと。これらの情報が溜まってきた時に、自分たちを求めている顧客の属性がはっきりしてきます。」

鈴木氏「リードナーチャリングおいては、既存のコンテンツをうまく活用しようと考えるほうがうまくいくことが多いです。顧客が『お客さんになった後のこと』をイメージしやすいようなコンテンツづくりを意識することも重要です。」

顧客とリレーションを築く

リードナーチャリングは、ほかのマーケティングの手法と比較して、顧客との距離が近いことが特徴として挙げられる。ユーザのシナリオを描き、データ分析して、顧客のニーズを把握する。ユーザの興味、情報ニーズに合わせてコンテンツを届けていく、オンデマンドなメールマーケティングが必要になっているという。

メール以外にも、PRの手法にも通じる四家氏は、メールは個人から個人のツールがどんどんメディア化していったものだと語る。つまり、企業から発信されるものではなく、企業内の個人から発信されるものだと捉えられ、個人の色を出した語り口でコミュニケーションをとることが可能になる。

四家氏「企業内の担当者がメールを送ることで、会話を行うことができます。そこに1つの価値をもたせるために、企業側がファクトとして出すもの、プレスリリース等を織り交ぜていくことで、親近感と信頼感を出すことができるのではないでしょうか。これはまだ実践できていませんが、挑戦したい領域ですね。」

もちろん、メールマーケティングが万能なわけではない。そのほかのコミュニケーションツールとの組み合わせも重要になってくる。とくにメールを送っただけでは、そのメールを開いてもらえない可能性もある。そこでWeb PRでリリースを出しておくことで、そのリリースが人の目に止まり、メールの開封率が上がることも考えられる。

四家氏人々がどの情報にどう接するかはこちら側ではわかりません。その意味で、メール以外にソーシャルメディア、ニュースリリースなど、どれにも取り組むべきだと思います。積極的に情報への通り道を用意し、顧客が通るのを待つ「アクティブウェイティング」の考え方が重要だと思います。

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