2月18日から22日の一週間、ソーシャルメディアに関する世界最大規模のイベント「ソーシャルメディアウィーク」が東京でも開催されている。2009年2月に米ニューヨークで始まったこのイベント、日本での開催は今回で2回目。2013年はニューヨーク、ハンブルク、トロント、ワシントンDC、シンガポール、ドーハ、マイアミ、ミラノ、アトランタ、東京と、世界10都市で同時開催中。同時に開催されるセッションもあるため、すべてを網羅することはできないが、筆者が参加したセッションのうち、Sd Japanの読者に合った内容について紹介していく。
2月19日のセッションには、先日原宿で開催されたSF Japan Nightイベントを主催したbtrax代表のBrandon Hill氏も登壇した。テーマは「シリコンバレー発: 職場やビジネスシーンにおけるソーシャルメディアの活用方法とその注意点」。ソーシャルメディアをいち早く企業活動に活用しているアメリカの事例を紹介し、企業がクリアなソーシャルメディアの活用ガイドラインを設定することの重要さを説明した。
Brandon氏が語る、企業におけるソーシャルメディアの役割は以下の4つ。
- ・ブランディング
- ・マーケティング
- ・カスタマーリレーションシップ
- ・人事関連
スタートアップのような限られたリソースの中で活動しなくてはならない企業にとって、ソーシャルメディアを上手く活用することで、大きな効果をもたらすことができる。ソーシャルメディアを使わないようにするよりも、職場での従業員によるソーシャルメディアの利用についてのメリット、デメリットを把握した上で活用していくことが望ましい。
ソーシャルメディアを活用した場合の利点:
- ・社内外でのコミュニケーションの活発化
- ・顧客とのやりとりのコスト削減
- ・従業員のモチベーションアップ / 離職率の低下
- ・社内ナレッジの蓄積
- ・ポジティブな社内カルチャーの生成
- ・生産性の向上
btraxでは、スタッフ紹介や、イベントの様子、仕事風景など、社内の様子を自由に伝える写真をFacebookページに投稿している。そうすることで、チームの様子を外部の人にも知ってもらい、btraxの雰囲気を感じてもらえるようにしているそうだ。
また、従業員が職場でソーシャルメディアを使用することのデメリットもある。
職場で従業員がソーシャルメディアを使用した際のデメリット:
- ・情報の漏洩
- ・個人の発信と公式発言の区別
- ・チェック管理の難しさ
- ・従業員同士のFriend / Unfriend問題
- ・社内のモラル低下
- ・生産性の低下
メリットもデメリットもある職場でのソーシャルメディア利用制限に関して、企業側がとることができるアプローチは、「完全に禁止する」「禁止はしないが推奨もしない」「会社の業務に有効な場合のみ推奨」「利用を推奨する」の4つに分けられる。Brandon氏は、「ソーシャルメディアの利用を完全に禁止するのは難しい」と語る。
それでは、アメリカの企業では従業員のソーシャルメディア利用について、どのように対応しているのだろうか?多くが採用しているのが、ソーシャルメディア利用についてのポリシー、ガイドラインを設定するというものだ。国籍や文化が違う人々が集うアメリカでは、明文化して共有しておくことで、問題が起こることを未然に防ごうとしている。
Brandon氏が語ったポリシーガイドラインのポイントは以下の通り。
ポリシーガイドラインのポイント:
- ・アクセスをブロックしない
- ・仕事以外でのSNS利用時間はぜんt内の10~15%が目安
- ・ポリシーやガイドラインはなるべくシンプルに
- ・性善説を採用しポリシーはある程度ゆるめに
- ・ソーシャルメディアの影響力を伝える
- ・会社としての正式な発表を行うことができる役職を明記する
- ・ブランドを損ねる発言は規則違反であることを明記
- ・ポスト厳禁の事項を明確にする
- ・ステマや同業他社の攻撃は行わない
- ・ガイドライン作成の次は研修を行う
ソーシャルメディアを活用する人が増えている昨今、完全にその利用を禁止することは難しい。Brandon氏が紹介してくれたポイントを参考に、ガイドラインを作成し、従業員の理解を促進させて、うまくソーシャルメディアを活用できる環境を作っていってもらいたい。
ソーシャルメディアウィークは明日まで開催中。映像の中継等も実施されているので、関心がある人はこちらからどうぞ。
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