アメリカのスタートアップ・ビザ法案は、アジアとシリコンバレーが力を合わせる材料となるか

e27 by e27 on 2013.2.18

【原文】

オバマ政権は、テックに関する優れた学位を持った外国人をアメリカに留め企業を促すべく、スタートアップ・ビザ法案の成立を積極的に推し進めている。

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起業家を魅了する2つのもの、そして、起業家なら、これらのある場所に群がるだろう。お金と市場だ。想定する市場が無ければ、ビジネスを始める意味はないだろうし、経済的な見返りがなければ、話は現実味を帯びないからだ。

さぁ、見てみよう。まず、テクノロジー・スタートアップで言えば、シリコンバレーが依然として、まさにその場所だ。世界中に新興のスタートアップ都市が生まれつつあるとはいえ、資本家、投資家、技術者は、たいていシリコンバレーに集まって来る。なぜなら、シリコンバレーには、アメリカの他のスタートアップ都市にはない、適切な資源と築かれたネットワークが存在するからだ。

おそらく、アメリカは資金と巨大な市場があるからこそ、テック起業家はここでアイデアを実現することに意味があるのだ。人材があらゆる場所から集まるようになり、再び「スタートアップ・ビザ」に対する関心が高まっている。一定のファイナンス、雇用、企業成長が見られれば、スタートアップを設立した移民起業家が恒久的にアメリカでの滞在が許可されるものだ。

これを達成すべく、超党派のアメリカ上院議員はSTEM就業法案(科学技術工業分野の留学生就業法案)を再び持ち出し、この分野で優れた学位を取得した留学生に5.5万件のグリーンカードを発給しようとしている。この法案は、市場の需要に応じる形で、グリーンカードの発給数の増加に拍車をかけ、一緒に住めるように家族にもビザが発給されることを目指している。

「STEM就業法案により、雇用主は人材の需要を、この分野で優秀な学位を持つ留学生で満たすことができます。それにより、雇用を作り続け、経済も成長を続けることができるのです。」

経済成長を加速する

アメリカの移民法改正案は、経済成長を促すべく最近になって浮上しているが、もともと、スタートアップ・ビザの考えは、2009年に議会で紹介されていた。12月には下院で可決され、現在、上院で審議されているところだ。

オバマ大統領は、「アメリカで新しい産業をどう育てるか」よりも、潜在起業家がアメリカを離れるのは経済に悪影響を与えると考え、この法案の成立には積極的だ。

「アメリカのトップの大学には、世界中から集まった優秀な学生が教室に席を連ねています。彼らは、エンジニアリングやコンピュータ・サイエンスといった、未来を担う分野で学位を取得しようとしているわけです。しかし、ひとたび、学業を終えて卒業証書を手にすると、彼らはアメリカを離れてしまいます。」

アメリカ以外の国にも、スタートアップ・ビザは存在する。有名なところでは、カナダのスタートアップ・ビザが今年の4月から運用開始になる予定だ。アメリカにもカナダにも、巨額の投資が必要にはなるが、起業家ビザが発給されるしくみは存在する。

いわゆるスタートアップ・ビザ法案のことを非難する人がいることも事実だ。彼らは、外国人が押し寄せ、仕事や資金からアメリカ人を阻害すると言う。しかし賛同者は、歓迎される外国人起業家が、アメリカという国で起業や雇用創出をしやすくしてくれる、と考えている。

アジアや世界の他地域にとって、どのような影響があるか

スタートアップ・ビザには制限があり、特筆すべきは、アメリカの大学の学位を持っている者にしか適用されないことだ。本質的には、審議中の移民法改正案は、起業家志望者がアメリカに拠点を設け、アメリカ国内で人材を雇用し、アメリカ市場に照準を合わせられることは事実だが。

移民に関する恐怖話は、どこにでも存在する。お金を持っている投資家や起業家でさえ、ビザの制約で出国を余儀なくされることはある。潜在起業家の場合は、お役所手続の煩雑さによって、アメリカでの起業を阻まれることが多い。ビザを取得するには数年かかるだろうから、その間に、起業家はアメリカ以外の場所でビジネスを始めてしまっていたりする。この事実が、世界諸国の政府を、起業家用に移民法を簡素化する動きへと加速させているようだ。例えばメキシコは、起業家を魅了すべく、移民法の規制緩和に関心を示している。例えば、アメリカの領海の外側に船を停泊させ、起業家を乗船・下船させたりする BlueSeed の考え(関連記事)なども面白い。

スタートアップ・ビザの主目的は、外国人がアメリカと他国のコミュニティ間を橋渡しする可能性を排除せず、外国人のもとで、アメリカ地場の起業家精神を育成することだ。今日の経済のつながりを考えれば、起業家がアメリカで得た利益は、必ず、彼らの母国へともたらされるだろう。時には金銭的なものだったり(アメリカ在住のフィリピン人起業家がフィリピンへ仕送り)、金銭的なものではなかったり(コミュニティにおける、文化やアイデアの往来)するだろう。

よくある政治と経済の間のタイムラグを考えると、起業家が暮らしやすくなるべく、アメリカや各国で移民法が緩和されるまでには、5年ないし10年はかかるだろう。しかし、少しでもメリットがあるなら、それは歓迎される動きに違いない。

【via e27】 @E27sg

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