中国におけるUberに似たサービスは、Uberがアメリカで直面したように、中国当局によって禁止されることはないだろう。しかしながら、彼らは中国ならではの問題を抱えている。Yongche(易到)の設立者であり、シリアルアントレプレナーのZhou Hang(周航)氏は、中国でこのような事業を営むことについて特徴を挙げている。
2010年に設立されたYongcheは、中国における最初のUberタイプのレンタカーサービスだった。同社はZhenFund(真格基金)、Morningside VenturesとQualcomm Venturesから出資を受けている。
市場内でチャンスを見いだす
Zhou Hang氏は中国国内にある1万以上のレンタカー会社があるなかで、チャンスをうかがっていた。会社のほとんどは小規模から中規模で、大規模な会社に長期のレンタルを行うという古いやり方での営業を続けていた。注文を社会的なつながりに頼るようになるにつれ、そのやり方では規模を拡大することができなくなっていったとZhou氏は語る。
現在Yongcheで利用可能な車両は、パートナーシップを結んだ小規模なレンタル会社から提供されている。同プラットフォームは20の大都市をカバーし、数千台のリムジンが運行中である。
想定外のユーザ層
当初、Yongcheはユーザ層として、一般にあまりアプリを利用しない40歳以上のビジネスマンを想定していた。したがって、メンバーシップカードや無料クーポンを宣伝するといった従来の方法でマーケティングに取り組んでいた。Yongcheはさらに、仮定したユーザ層は価格に敏感ではないだろうとも考えていた。
しかし後になって、合計ユーザの7割が26歳から40歳の間であり、オーダーの6割はアプリからのもの(残りは電話とウェブサイトから)ということが分かった。そして、同社最初のアプリは2011年にリリースされ、後にさらに多くのアプリが開発された。
このような現実をもとに、Yongcheは、実は価格に敏感であるユーザに受け入れられる料金、つまりタクシー利用料の1.5~2倍にまで初期の料金設定を下げることができた。
新しいサービス基準
Zhou氏は、成功するO2Oビジネスを確立するために、次のような判断をしている。
「新しいルールをつくり、従来ビジネスのユーザエクスペリエンスを改善する必要があります。そうすることによって自らのビジネスで市場を牽引することができます。私たちのアイデアは、ルールを作りアプリを通じてユーザとドライバーをつなげることで、改善されたエクスペリエンスを業界の基準にすることです。」
Zhou氏はO2Oビジネスについて、評価&レビューサービスは共同購入ビジネスよりも良いビジネスモデルだと考えている。共同購入サービス宛に、レストランなどの参加企業が顧客に対しきちんとしたサービスを提供していないという苦情が殺到したとしても、共同購入の自体は何もすることができない。
だが、ほとんどのレストランはDianping(大衆点評)に掲載されるユーザによるフィードバックを無視することができないので、サービスを改善するだろう。後者(評価&レビューサービス)にはオフラインサービスの質を管理する力があるとZhou氏は言う。
Yongcheのビジネスに関して言えば、同社は基準に沿ったサービスを確実に提供するために、次の要件を満たす任務が完了されてはじめて、Yongcheのドライバーにコミッションが支払われるようになっている。
ドライバーは、時間通りに顧客を車に乗せ、運転中にタバコを吸わず、顧客とおしゃべりしたり、もしくは携帯電話で通話をしたりしない、などだ。同社はすべての配車をモニタリングするシステムを構築している。ユーザからの評価はドライバーがルールに従うことを促すためにドライバーにも通知される。
Yongcheの事業でネットビジネスらしくないことは、同社がドライバーの教育までもしていることだ。今では、雨の日にドライバーが傘を手渡してくれる。とにかく、Yongcheがこれまでにしたことすべては、同社の設立者が言うように、オフラインで確実に素晴らしいサービスを提供するための新しい基準を作ったことだ。
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