2013.3.25

大阪のスタートアップやこれからのものづくりの可能性を示すプレゼンまで−「Shoot from Osaka(n) vol.4」 #shootosaka イベントレポート

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「大阪から世界に」を軸に、大阪のIT企業やベンチャーによるサービスのピッチのイベントを開催している「Shoot from Osaka(n) 」。今回で4回目の開催だ。毎回、独自性やビジネスモデルとしても興味深いサービスや企業がプレゼンをおこなうイベントとして注目を浴びている。今回は、IT以外にも大阪のものづくりなどのプレゼンがなされた。

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プレゼンのはじめに、Shoot from osaka主催のChatwork大崎氏より挨拶。

「大阪から世界にサービスを発信していくという思いから、起業家やメディアの人たちの交流の場として、企画をおこなっている。大阪からも面白いサービスがあるということを、東京や各地のメディアの人たちを集めてプレゼンをし、交流することから新しい出会いや刺激になればと考えています。“Shoot”という名前も、撃っていく、大阪弁で”しゅっとした”という意味がある。こうした、大阪から日本全国へ、また大阪内の人たち同士の交流を図るイベントを通して、大阪の元気を伝えていきたい」。

Shoot from Osaka(n)でプレゼンした11の様子をレポートをまとめた。

「ギーク×かわいい」が作り出すアクセサリーブランド「さのもの」

さのもの

これまで電子機器は一部の層が使うもの、といったイメージだった。しかし、ギークと何かを掛け合わせると、そこから新しいものが生まれる。

そうしたギークの新しい表現の一つが「さのもの」だ。さのものは、基盤やコンデンサ、LEDなどの電子部品を使ってアクセサリーにするブランドだ。さのものを運営する石田幸子氏は、電子部品の機械っぽさや記号などに魅力を感じ、そこから素材に使えないか、と考えたのできっかけだ。基盤や抵抗器をピアスにしたり、コンデンサをカフスにしたり、LEDを合わせて指輪にしたりとしたプロダクトだが、クオリティも高い。

「ギーク×かわいいをコンセプトにライトにおしゃれに仕上げた。自分が作りたいものを作れる時代だからこそ、自分らしさが作れるものを作っていきたい」。

また、さのものは誰でもネットショップが開設できるBASEを使って販売している。無料で簡単にできることに魅力を感じたそうだ。3月23日には新しいブランド「はやぶさ」をリリース。宇宙観測機「はやぶさ」をモチーフに、宇宙を感じさせるプロダクトを作っていくという。

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行政主導でこれからのものづくりにイノベーションを起こしていく

mono appli hackathonの様子。

mono appli hackathonの様子。

大阪市の行政が、昨年からイノベーション創発のための支援事業をおこなっている。かつては、大阪は町工場としても世界に技術を届ける技術都市。そうした技術都市のこれからのあり方を模索しつつ、新しい事業やイノベーションを起こすことが目的だ。

1月26日、27日に開催された「mono appli hackathon」は、まさにそうした事業としてのキックオフなイベントだ。ハードウェアビジネスを促進することを目的に、ネットでつながる家電を2日でアイデアと実装をおこなうハッカソンイベントだ。

ハードウェアを買ってみたけど作り方がわからなかったり作る機会がない、アイデアはあってハードを作りたいが技術がわからない、もしくは相談できる相手がいない人たちなどを中心にイベントには40名が集まった。アイデアワークショップとプロトタイプ制作で、いくつもの優秀なプロダクトが完成した。こうした、ものづくりの動きを大阪から起こしていきたいと、主催メンバーの一人である谷口正樹氏は語った。

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言葉の壁を取っ払う。テルテルコンシェルジュが作るグローバル言語サービス

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インターネットによって世界中のあらゆる情報にアクセスでき、世界の人達とコミュニケーションすることが可能となった。そうした中、どんなにインターネットが発達しても越えられない壁として存在するのが「言語」の問題だ。例えば、インターネット上にある日本語の情報は世界の情報からみたら5%。残りの95%の情報は英語や中国語などが占めている。そうした世界の情報をアクセスするだけでなく有効に活用するためにも言語問題の解消は急務だ。そうした言語の課題を解決するサービスが「テルテルコンシェルジュ」だ。

テルテルコンシェルジュは、遠隔通訳をおこない、iPadなどから簡単に翻訳サービスにアクセスし、第三者通訳サービスを提供する。ビジネスシーンから医療時の複雑な説明をしなければいけないシーン、もしくは駅の窓口や異国の地における情報通訳など様々なシーンが考えられる。

すでに、東京圏内でも東京メトロやJRなども採用しているサービスであり、ニーズは高い。翻訳クオリティの担保をおこなうための施策を今後実施していき、複雑な交渉のシーンから日常レベルまでのあらゆる環境における言語問題のイノベーションをおこしていきたいと語った。また、ビジネス向けのみならず個人向けにもサービスを提供予定であり、将来的には個人がiPadやiPhoneだけで海外旅行に出かけても不自由することなく旅行に行ける日が来るかもしれない。

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海外留学生への新しい就職サポート支援「Offor Box Grobal」

留学生の就活が変わる OfferBoxGlobal

日本人の留学生は2010年度には5万8060名と統計が出ており、これは2004年の調査での8万2945名から役万5000人近くもの留学生が減少している。グローバル時代と叫ばれているのもかからわず、世界へ留学する日本人が減ってきているのだ。これの要員はいくつか考えられるが、その一つに留学者の就職問題の窓口が、既存の就職活動に沿っておこなわれることで就職が不利に働くのではといった考えから「Offer Box Grobal」は誕生した。

Offer Box Grobalは、海外に留学している学生たちに自身が経験した経験や自己PR、考えなどを詳細に記入するプロフィールを作成し、そのプロフィールをもとに企業からオファーをし採用プロセスへとつなげる。これまでの就職活動とは違った企業から学生へのオファー型就職支援サービスだ。すでに日本国内向けのOffer Boxも展開し2100名80社程度がサービスを利用。オファー数も数百以上がおこなわれるという実績があり、そのサービスをグローバルに特化したサービスだ。

これまで海外の学生を企業が採用しようとした場合、社員が現地の説明会に赴き面接をおこない採用するという方法しか存在しなかった。Offer Box Grobalを利用することで、日本にいながら海外の学生の実情を把握すると同時に、Skypeなどでコミュニケーションを図ることができ、採用コストも大幅に減少させることができる。学生も、海外で経験した実績を発信する場として活用しており、学生と企業とのミスマッチを減らすことも実現させることができる。すでに、2013年度にはいくつかの大学と提携することが見込まれており、今後の就職活動のあり方を変えていくかもしれないサービスと言えるだろう。

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大阪を舞台に世界に活躍する起業家を輩出するITisKansaiの挑戦

東京だけでなく、地方都市の魅力を発信していくことの重要性は、今後ますます大事になってくると同時に、東京からの人材やネットワークを地方とつながることの新しい可能性は大きい。そうした中、大阪から次の起業家を輩出する活動も活発におこなわれている。「ITisKansai」も、そうした大阪発の起業家輩出の場として注目されている。ITisKansaiは、起業家や投資会社に務める人たちが作った団体だ。

すでに、連続起業家の家入一真氏などを招いた講演会や、連続ワークショップでビジネスモデルをブラッシュアップさせる企画などを実施しており、ゼロからウェブサービスを作る経験などを参加者に提供している。6月には、神戸で開催されるサムライベンチャー神戸でもピッチおこなうなど、関西圏での活動を広めていく。

「大阪や関西から、次のGoogleなどが生まれる環境を作り、新しいサービスや起業を多く輩出する場を提供していきたい」。

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訪日者を増やす新しいマーケティング手法

内需を拡大させる方法の一つとして、海外からの渡航者へのアプローチが今後重要になってくるだろう。国内のみの市場ではなく、米国や中国、アジア圏をターゲットにすることでのビジネスチャンスの可能性は大きい。

そうした中、中華圏の訪日者をターゲットに日本の情報を発信しているサービスとして、「ラーチーゴウ日本」(中国語で楽吃購(訳:遊ぶ、食べる、買う))がある。このサイトを運営しているのが、はぴふるの吉田皓一氏だ。吉田氏は、かつて朝日放送のマーケティング部に所属しており、また中国政府公認の中国語検定でも最高級を取得。テレビで培ったノウハウと北京語をもとにしたプロモーションとして、日本のお得なクーポン情報などを発信するサイトを2012年5月にリリース。現在は、大阪の情報をもとに情報発信をおこなっている。

ラーチーゴウはFacebookでも既に20万いいね!を獲得したページとして注目を浴びている。香港や台湾からの訪日者が急増しており、香港や台湾向けへの情報発信している。現在は、オオサカンスペースで開発をしている「こっちやで!」という、位置情報をもとにしたナビゲーションを開発している猪俣氏とコラボ。香港や台湾からの訪日者に特化した地図アプリで、ラーチーゴウで集めた店舗情報などのデータベースをもとにナビゲーションを展開していく。現在開発を進めており4月半ばにはリリースさせる予定だ。さらなる訪日者へのアプローチによって、よりビジネスチャンスが広がる可能性が秘めているだろう。

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残光が作り出す新しいアートとデザイン表現の可能性

光とデザインの関係について研究している人たちも多いだろう。青色ダイオードやLEDなど、様々なテクノロジーが出てきており、そうした技術を利用した新しい表現やビジネスの可能性は大きい。そうした中、「残光」をテーマにアート・デザインをおこなう企業もいる。

残光とは、通常時は光を受けて光を貯め、暗転時に貯めた光を利用して発行する素材や材質のことを指す。光るアクリル絵の具を使うことで、どんな物質も残光を発するものへと変化させることができる。これまで、残光を利用したシーンは実用性などに沿ったものが多かったが、デザイン性などを追求し商品開発をおこなっているのがティエムファクトリーだ。残光させるためにはレアメタルを使用しなければいけないため高価なものとなっているが、現在研究を進めており、レアメタルを使用せずに残光させる物質を開発しているとも語った。

通常、残光と言うと脱出ランプのような光る緑色を想像しがちだが、緑だけではなく光るアクリル絵の具で7色を発光させることに成功し、世界初の赤色の残光を発する絵の具も研究開発をおこなった。今後は、建物を作り光る建物を制作したり、色を変えて残光の時間差を利用したアート表現など、新しい表現の可能性を広げるものとして、発信していきたいと語った。

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3年目を迎えたChatworkが見据えるアジア圏への展開

logomark_basic_bgnone3月1日で3年目を迎えた、ビジネスチャットツールの「Chatwork」。すでに15万人以上のもユーザに利用されており、現在でも日々ユーザは増えてきているという。非公式だが、無料プランから有料プランへの転換率も、ストレージサービスのDropboxやオンラインノートのEvernoteの3倍近い有料プランへの転換率だとも語り、ビジネスとしても大きく成長している。

3月25日には中華圏に対するサービスとして繁体字に対応し、中華圏のユーザ獲得も目指している。また、シンガポールの現地パートナーとしてMailfaxと提携。東南アジアを中心としたサービス展開の足がかりを掴んでいる。同時に、4月に開催されるStartup in AsiaにもMailfaxと共同で出展する予定であり、すでに進出を図っている北米のみならずアジア圏への展開も大きな視野に入れて3年目を迎えると、Chatworkの谷川周平氏は語った。

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電話APIを使った新しいリマインダーサービス「未来電話」

どんなにインターネットが普及しても、電話によるコミュニケーションの重要性はまだまだ高い。相手へ要件を伝えたり電話への利用頻度が高い人への連絡手段、リアルタイムの情報の伝達には電話は有効だ。そうした電話を利用したサービスとして、オオサカンスペースのメンバーで開発をしたのが「未来電話」だ。未来電話は、KDDI ウェブコミュニケーションが提供しているクラウド電話API「Twilio」を利用している。

未来電話は、電話で指定した時間へ電話をかけるリマインダーサービスだ。指定された番号にユーザは電話をかけ、かける相手(これは自分でもいいし親や友人などでもよい)の電話番号を入力。かけたい時間を時間単位(1分後〜99時間後)までの中で指定し、届けたいメッセージを発して終わりだ。あとは、Twilioを介して指定された時間に相手へメッセージを届けてくれる。留守電と違い聴き逃しなどを防ぐことができるだろう。利用シーンとしても、朝に夕方にすべきタスクを自身へリマインダーさせるために朝電話をしておいたり、親や子どもへの指定した時間への言伝などが可能だろう。

電話を利用した新しいスマートコミュニケーションの可能性を広げてくれる新しいテクノロジーの使い方かもしれない。また、このアイデアを短い時間で実装したことにも驚きだ。こうしたアイデアをすぐに形にするための環境が整ってきた証拠なのかもしれない。

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民間の力で学校教育にイノベーションを起こす民間校長の取り組み

大阪の行政としても、政府や行政だけでなく民間の力を使い新しい可能性や事業を展開したいと考えている。特に教育の分野は教師だけに背負わせるのではなく、いかに民間や地域の人たちを巻き込むかが大事になってくる。

北角裕樹氏は、かつて新聞記者をしていた人物だ。その北角氏が大阪氏が公募した中学校の校長に選任され、4月から大阪市立の中学校の校長に着任する。北角氏は、机の勉強ではない外部の大人たちに囲まれた環境こそ、子どもたちの教育環境として必要だと語り、積極的に外部企業やNPOなどとの連携を図る取り組みをおこなっていくことを目標としている。その仕組みの一つとして、非営利型一般社団法人「中学支援機構」を設立。学校の予算や枠組みの中で取り組むことが難しい事業や企業コラボを、中学支援機構を通じて中学生に発信していく。

中学支援機構の設立や運営資金も、校長手当として給与に上乗せで支給される7万1200円の手当を充ててるとし、税金や校長経費を差し引いた残りを中学支援機構に寄付すると語った。同様なNPOなどの組織による中学教育支援事業はいくつかモデルがあり、成果もあげている。そうしたモデルがより全国に広がることを期待していると北角氏は語る。また、今後は中学支援機構を地域住民や地域組織に譲渡したいとも考えており、地域の教育問題を地域組織が担う自治意識と自治教育意識を育んでもらいたいとも語った。

教育問題に対して、民間と校長というそれぞれの分野から新しいチャレンジをおこなう事例となることを期待する。

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「MyISBN」が作る本のインディーズレーベルによる新しい書籍の可能性

MyISBN_topネットで様々な情報が読める時代であっても、紙で印刷された出版物の価値は高い。出版社から書籍を出版物を出すことも普通の人は難しく、また自費出版における初期費用の高さになかなか手を出すのも困難だと考えている人も多い。こうした問題に対し、本のインディーズ・レーベルとしての出版会社として新しい出版のあり方を提示しようと考えているのが「MyISBN」だ。

MyISBNは出版社申請をおこない、MyISBNに登録した書籍をアマゾンのプリント・オン・デマンドを通じて書籍を誰でも出版する仕組みを提案する事業だ。MyISBNが出版社登録をしているため、MyISBNで発行される書籍にも国際図書番号としてのISBNが付与される。書籍としてのデータを入稿し、販売価格を設定。それによってAmazon上で販売流通がおこなえ、あとは注文のたびに紙の印刷物として購入者に2日程度で届く仕組みになっている。

一般的な出版社などと違い、編集機能はMyISBNはもたないため、著者に委ねられる。簡単に誰でも出版物をだせることを目的としている。

「これまで、メジャーとして出版社が存在し、その下に自費出版などによる個人出版がある。僕らがターゲットにしているのはそのさらに下の、発信したいコンテンツがあるが自費出版すらできない人に向けてだ。MyISBNで出版したことがきっかけに、出版社などに注目され、正式な書籍として出版物がだせるような、市場への橋渡しとしてのプラットフォームを目指していきたい」。

入稿される一冊のデータ毎に手数料がかかる。また、販売している書籍の販売価格の10%が印税として著者に支払われる。3月25日に正式リリース予定だ。

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Eguchi Shintaro

Eguchi Shintaro

ヒト、コト、モノをつなぐ編集者。ビジネスからデザイン、法律関係など分野を横断して動いています。THE BRIDGEでは、地方の起業家の取材や、ベンチャーに関わる法案や行政の動きなどを追いかけています。

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