スタートアップでインターンをする時に考えるべきこと

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「実際にいってみないと何も分からないだろうなって」。ーー早稲田大学に通う大学一年生の安部康平さんは、ソーシャルギフトサービス「giftee」に今年の1月からインターンで参加している19歳の若者だ。プログラムのデバッグや仕様書作成、サービステスト、最近ではRailsで書いたプログラムをgifteeのプログラマにレビューしてもらえるようになった。

若者はインターンを通じて「仕事」を学ぶ。「就活よりも自分の人生がどうやったら充実するのかを考えたい」。彼は社会勉強の目的をそう伝えてくれた。

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MOVIDA JAPAN主催のインターンプログラム「Shake Me Up」

スタートアップというのは慢性的に人材不足だ。ここ数カ月に時期的なものもあって、私はいくつかのスタートアップが集まるインターン募集イベントに参加してきた。目的は優秀な学生の獲得で、主に投資しているVCなどが主催になってる場合が多い。投資先が抱える悩みの解消は彼らの大きな仕事のひとつだからだ。

スタートアップにとって優秀なインターンは貴重な「戦力」になる。ギフティ代表取締役の太田睦氏もインターンでやってくる学生は通常の「アルバイト」よりもやる気がある人が多く、そういう人たちに実力を試す場所を提供している側面が強いと話してくれていた。

若い労働力と、社会経験やスキルアップの機会を提供する、というトレードオフをうまく成立させることが出来れば、コストの面でも低く抑えることができて、誰も不幸にならない。スタートアップがインターンを求める理由もそこにあるのではないだろうか。

一方で、やはりミスマッチも容易に想像できる。今回の取材では、トラブルらしい話を見つけることはできなかったが、スタートアップ側が一方的に安い労働力としてしかみていない、もしくは単なる就活の一環としてインターンにやってきた、というのでは、破綻はすぐにやってくるだろう。

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伊藤忠テクノロジーベンチャーズ主催のインターン募集イベント

ではインターンする側の学生はスタートアップに何をみればいいだろうか。彼らは別に(短期のワークショップみたいなのは別だが)インターンを受け入れるプログラムを持っているわけではない。

「何も期待してないです。定型の業務はないし、毎日が変化の連続。事業ドメインを理解して勝手にやってもらう」ーーあるインターン向けイベントでiQONを運営するVASILY代表取締役の金山裕樹氏はこう話していた。「スタートアップのやることはどうせ失敗するから。100回やって99回失敗する。その一回を自分たちの代わりにやってもらえればいい。社員と遜色ない企画をやってる人もいれば、朝来てウィンドウを1000回開いたり閉じたりしてるだけの人もいる」。

数人から十数人のスタートアップであれば受け入れの状況は似たようなものだ。同じイベントでPeatix Inc. CEOの原田卓氏も「これが正しいと教えられた時、それが本当に正しいか自分で考えられる力が必要」とも話していたが、要は自分で考えて、判断して、どこまで動けるか、ということに尽きる。

自分で立てた仮説も、実社会で受け入れられるのかどうかは試してみなければ分からない。折角スタートアップをインターン先に選択したのであれば、自分で考えて結果をどん欲に求めた方がいい。

逆に、単なる安い労働力(そもそもそういう人を求めるスタートアップはヤバい)となってしまうのであれば、やめるべきだろう。

ところで私はgifteeでインターンをする彼に、大企業とスタートアップのどちらを選びたいか、という質問を投げかけた。

彼が「大きな企業の歯車のひとつとして働くか、少人数のチームで働くか、それを知るためにこのインターンを選んだのかもしれません。もし大企業を受けたとして、こちら側を知らなければなにも判断できないじゃないですか」と言っていたのが印象的だった。

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