中国屈指の巨大なゲーム会社となったTencent(騰訊)は、その技術をどうメッセージアプリWeChat(微信)に適合させていくか

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大人気のメッセージアプリWeChat(微信)が、近い将来ソーシャルゲームの分野に参入するだろうと見られている。先日、Tencent(騰訊)にこの件について尋ねたが、コメントはもらえなかった。だが、現在でもそれに似たものとして、DuoPao(多泡)というスタートアップゲームスタジオが制作したHTML5のゲームを楽しむことができる。

DuoPaoはWeChatに通常のアカウントを持っており、そのアカウントを使って、ユーザがWeChat内でバラエティに富むHTML5ゲームにアクセスできるようにしている。

実際にいくつかのゲームで遊んでみた。感想は、思った通りだが、少し物足りない気がした。他の成熟したブラウザに比べ、思いつきで付け足したようなWeChatの標準ブラウザの機能がイマイチなせいで、せっかくの良いアイデアも十分生かされていない。

フルスクリーンでプレイできないし、ゲームによってはSafariやChromeブラウザを立ち上げないとプレイできないものもある。結局のところ、どのゲームも3億人のユーザを持つアプリのメーカー、Tencentによって公式にサポートされてはいない。以下は実際にやってみた様子だ。

HTML5-Gaming-Inside-WeChat-01

まず、WeChat上でDuoPaoをフォローする。するとプレイできるゲームのリストが送られてくる。ゲームの名前を返信すると…

HTML5-Gaming-Inside-WeChat-02

…WeChatのややシンプルなブラウザでゲームがスタートする。フルスクリーンにはできない。

Zhihu(知乎、中国のQuoraのようなQ&A投稿サイト)にDuoPaoチームのひとりが投稿した記事によると、DuoPaoスタジオはこれまでにWeChatを通して「5000人のユーザを費用ゼロで獲得した」という。そのうち1500人ユーザはWeChatで毎日利用しているとのこと。通常の配信方式に加えて費用のかからない方法としては悪くないのではないだろうか。

標準ブラウザの様々な問題があるにもかかわらず、DuoPaoチームはこのブラウザに、そしてHTML5ゲーム全般にこだわる。昨年GREEがそうであったように、ブラウザゲームへの移行が多く見られる。その主な利点は、Apple、Google、Amazonなどのアプリストアの統制を避けることができる点にある。

ソーシャルゲームはLineやKakaoTalkなど他のライバルチャットアプリでは、ブラウザではなく各アプリ自体で遊ぶものだが、非常に大きな役割を果たしてきている。すでに中国屈指の巨大なゲーム会社となったTencentが、どのようにしてそのゲーム制作の技術力を再構築し、WeChatに適合させていくかに注目だ。

【via Tech in Asia】 @TechinAsia

【原文】

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