位置情報も活用、親が子どもに安心してスマホを渡せるためのソリューション「ミマモール」

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今年3月頭にリリースされたのが、ユニリングスが提供する「ミマモール」だ。親が子どもに安心してスマートフォンを渡せるようにすることを目的としたアプリで、特定のコンテンツや機能だけが利用可能なホーム画面のように機能する。子どもがアクセスできるコンテンツを事前に設定することで、子どもが長時間に渡ってゲームをしたり、教育上好ましくないアプリやコンテンツの利用を防止するだけでなく、災害時や緊急時などの安否確認にも役立つ。

今回取材したユニリングスの星雅人代表は、もともとジャストシステムで商品企画を担当。福島南相馬の小学校を卒業した星氏は、1,000人以上の死者と行方不明者がでた東日本大震災を機に自分にも何かできないかと考えた。自身も2児の父親であることから、当初は妻と夫が効率よく育児分担するアプリを思いついたが、大勢の両親に対するユーザヒヤリングを重ねた結果たどり着いたのが「ミマモール」だった。

homeアプリがリリースされてまだ一ヶ月だが、特に共働きの家庭などから関心が高いという。最近では小学生の子どもの塾通いは当たり前で、帰宅が夜の10時になることも珍しくない。また私立の学校に通う子どもの通学時間は長く、不安に思う親にも重宝されている。Androidのスマホにミマモールをインストールして起動すると、親が許可したアプリだけが使えるようになる。子どもがみるホーム画面には設定もGoogle Playもない。保護者のパスワードを入力しないとミマモールからログアウトすることができず、パソコンのユーザアカウントのように機能する。こうすることで、親は安心して子どもにスマートフォンを渡すことができるというわけだ。

ミマモールのアプリが立ち上がっている間は、1時間間隔で位置情報が発信され、親はそれをウェブサイトで確認できる。現在子ども1人までなら無料で使える同アプリだが、今後は10分感覚で子ども2人まで確認できる有料プランを月額315円でリリースする予定だ。ミマモールは決して監視アプリではないと星氏は話す。

「親は決して子どもを監視したいわけではなく、どちらかというと緊急時など何かあった際の手がかりになるように、という思いが強い。実際、当初は地図上の子どもの現在地に子どもの顔写真が表示されるようにしていたが、「監視しているようで嫌だ」という利用者の声からイラストに変更した。」

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ミマモールのターゲットは、小学生4年生から中学校2年生まで。小学3年生まではガラケーで事足りるが、それ以降になると友達の影響を受けてスマホを持ちたがる子どもが増えてくる。また、中学3年生くらいになると親に居場所を把握されるなんて、と考えるようになるからだ。

ミマモールをつくるのは、代表の星氏を中心にデザイナーとエンジニア2人の協力者から成る3人チーム。商品企画に3ヶ月、その後の開発を含めた10ヶ月ほどでリリースに至った。星氏は会社員をしながら専門学校に通い、自身でミマモールのウェブサイトを製作した。ミマモールのようなサービスがこれまで市場に出ていない理由について尋ねてみた。

「技術的な難しさがあると思う。GPSを起動すると通常スマホのバッテリーは3時間くらいしか持たない。ミマモールは独自の工夫でバッテリーに影響がないように改善した。充電が100%の状態なら、午前8時~深夜12時を過ぎても影響はない。また、端末機種に関わらず、より正確に位置情報が取得できるようにもした。」

ミマモールは最新プログラミング言語のScala(スカーラ)で開発されており、またフレームワークにはPlayを使っている。さらに、地図はOpen Street Mapをベースに独自につくったものだ。海外では位置情報を使った性犯罪者の居場所が把握できるサービスなどもあるが、例えば日本なら放射線の位置が高い場所をマッピングするなど、今後のサービス拡張性を考えてのことだ。また、リテラシーの高さに関係なく利用できるよう、サービスのデザインや使い勝手もシンプルを心掛けている。ミマモールのスマホアプリのデザイナーは、自身も子どもを持つ女性だという。

今後については、子どもが危険を感じると、ボタン一つで防犯ブザーが鳴り親に通知のメールが配信されるような機能、また地点登録をした地域に子どもが着く(例えば学校など)と通知がくるような機能も考えている。また、お互いにアプリをインストールしていれば、位置情報を知らせ合うことができる。共働きの妻が子どもを保育園に迎えに行っている間は電話をしても繋がらない。ミマモールがあれば、夫は妻の現在地を確認して途中まで車で迎えに行くといったこともできる。さらには、子どもだけでなく、年配の両親が使うスマホ端末をらくらくホンのようにシンプルにして使うなど様々な形で応用できそうだ。

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