【レビュー】Origamiはウィンドウショッピングを実現できるのかーーCEO康井氏が語るスマホコマースの「新体験」とは

by Takeshi Hirano Takeshi Hirano on 2013.5.2

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国内のファッション系ECといえばZOZOを展開するスタートトゥデイが筆頭に挙げられるだろう。平成25年3月期の決算では商品取扱高958億円、約20%の成長という数字が並ぶ。国内のEC市場は8.5兆円、さらに小売り市場の規模が135兆円といわれるなか、次のEC市場拡大のキーワードに「ファッション」を挙げるプレーヤーは多い。

4月23日にスタートを切ったOrigamiもまたそのトレンドを掴もうとするひとりだ。

1年近くのステルスモードを経て飛び立った折り鶴は、単なる豪華なスマホ対応のコマースなのか、それとも別の何かなのか。公開前に実施した代表取締役CEO康井義貴氏へのインタビューに加え、アプリを使ってみたレビューを3つの視点でまとめてみた。

Origamiはウィンドウショッピングを実現できるのか

買物行動には大きく分けて「目的買い」と「衝動買い」の二つがある。前者は例えば「安い水を買いたい」という具体的な目的がある場合で、検索と価格比較でほぼ望みのものが買える世界が実現された。楽天とカカクコムがこの10年で変えた世界観といってもいいだろう。一方で、衝動買いはどうだろうか。康井氏によればOrigamiの狙いのひとつがここにあるという。

「今あるEコマースのサイトって目的型が多い。でも実生活でのオフラインって目的なく何かを探して街をブラブラするんですよね。ここにイノベーションを起こしたいんです」。

では、Origamiは私を実際にウィンドウショッピングに連れて行ってくれるのだろうか。

銀座、恵比寿、渋谷。実際に外でOrigamiを使ってみた。しかし…

アプリを外で使った場合、便利だったのはマップだ。フォローしているショップ情報が地図上に並ぶ。欲しいブランドをフォローしておけば、ウィンドウショッピングのコースぐらいは作れるかもしれない。

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しかし、この画面から「ショッピングの楽しさ」はまだ感じられない。また、店舗にいってしまえば、Origami内で購入する必要はなくなる。オンラインとオフラインの棲み分けが今後どうなるのか気になった。

「自分の欲しい物を、自分は知らない」を解決してくれたファッション雑誌という体験

衝動買いといえば、私たちは過去既にファッション雑誌という体験を手にしている。パラパラとザッピングすれば編集者の意図するトレンドを「身につける」ことができた。ウェブの世界でこれを実現しようとしている話題は以前ここに書いた。Origamiもまたここにチャレンジしている。

「私もこれまで雑誌を読んでモノを買っていました。ただ、雑誌にはアクションプランが乏しいので、ここはスマートフォンやオンラインの力が発揮できると考えています。今回の(GQやVogueなどの配信を担当する)コンデナスト・ジャパンとの提携もその一環です」。

さて、雑誌型のコンテンツがフィードされることで、新たな発見は購入に結びつくのだろうか。

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「雑誌体験」としてのOrigamiはまだこれから

康井氏の話す「雑誌体験」を実現しようとしているのはこの「Discover」タブだ。ただ、内容を読み進めるとちょっと物足りない。もしここに毎日のように編集されたトレンド情報が流れてきたら、アプリを開くタイミングは増えるだろうなと感じた。ファッションを毎日買う、というシーンは少し想像しにくい。でも雑誌なら毎日読むことは可能だ。つまりアクティブが上がる。

「メディアからモノがすぐに買える時代というものが来ようとしています。セレンティビティももちろん重要ですが、結局は編集の力が必要なんです。実世界のショッピングって楽しいじゃないですか。でもオンラインでその体験を実現しているものはまだありません。それをシンプルに表現したいんです」

Origamiの「ソーシャル性」はどこにあるのか

三つ目のポイントはソーシャル性、コミュニケーションだ。もしユーザーをフォローしてLike付けるのがソーシャルなんだというのであればそれはクソだ。ここの目的はコマースであり、人と人とのコミュニケーションがそこに気持ちよく繋がるアイデアがなければいけない。Origamiのコミュニケーションについて康井氏はこのように話していた。

「お店のアイテムにLikeすればそれが友人のフィードに繋がって広がる。そこにさらにロケーションがオーバーラップされて、実際の店舗の情報に繋がる。そこにはあるスニーカーの在庫があって、じゃあいってみようか、という気づきに繋がる」

では実際はどうだろうか。

「お店へのチェックイン」はうっかりfacebookでやってしまいそうに…

ということでたまたま近かった代官山蔦屋書店に入ったので、チェックイン…とうっかりレビューしていることを忘れてfacebookのチェックインをしようとしてしまった。

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Origamiでチェックインする楽しさがなければこのコミュニケーションの起点が作れない。人によっては他のソーシャルグラフを使うだろうし「Origamiである理由」はまだ見えない。一方でひとつのつながりから得られる情報、誰が何を欲しがっていて、それはどこに行けば売っているのか、というものは確かに手に入るようだ。

現時点でまだ無機質で楽しさが感じられないこの状況が、ソーシャルグラフの成長と共に変化するのか、新しいアイデアがあるのか興味深い。

ーーさて、いかがだっただろうか。私は康井氏とのインタビューでは敢えてアプリを見ずに、コンセプトだけを聞いた。オープン後、実際にアプリを立ち上げ、彼の考えが表現されているか確かめたかったからだ。結果はご覧の通り、まだアイデアに追いついていないというのが正直なところだろう。まあ最初から全部OKなんてあり得ない。

一方で、康井氏に話を聞いたOrigamiのコンセプトが実現されれば、大きな変化が起こる。それぐらい康井氏とのインタビューは楽しい、わくわくする時間だったのだ。

康井氏はカナダトロント生まれ、16歳でECをスタートアップして19歳で投資を開始、昨年までDCMで活躍していたキャピタリストでもある。こういうスタートアップが国内にも出てきたことは素直に嬉しい。

「Origamiという言葉は世界共通でさらに作り手次第でどんな形にもなるし美しい鶴にもなる」ーーOrigamiはこれからも形を変えるはずだし、もしかしたら今の姿とは全然違うものになるかもしれない。引き続き彼らの成長を追いかけたい。

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