ハイレベルな労働者の獲得競争が世界で始まるが、日本もこれに参加したいのだろうか?

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Rakuten’s CEO Hiroshi Mikitani has noted that Japan could bring more engineers from abroad
楽天 CEO 三木谷浩史は日本はもっと海外からエンジニアを呼べると述べた

もし最近テク系ブログを読んだらなば、それがどれかにも関わらず、KPCBのメアリー・ミーカーのインターネット動向年次報告書に関する記事に出くわしただろう。素晴らしい情報なので読むことをオススメする。もし117枚ものスライドを読む時間がないのであれば、このAllThingsDのまとめ記事をチェックすればいいだろう。

年次報告書に関して色々調査していて、同じくミーカーがリリースした、”アメリカと移民と高技術労働者の不足の助長”、と題した報告書(フルレポートはここで読める)を見つけることができた。私は、米国が直面している問題の多くは、日本を含む他の国も抱えている問題なので、これはSDの読者にとっても関心があるかもしれないと考えた。

読者の中には先週我々がカバーしたインフィニティ・ベンチャーズ・サミットの記事の中で、楽天CEOの三木谷氏がこう述べたのを思い出すかもしれない:

日本の市場は縮小している。我々は国際市場で競争しなければならない。しかし、日本の閉鎖的システムのために、多くの有能なエンジニアは日本を離れる。米国では20万から30万人のエンジニアがいる。我々はその点ボリュームに欠けてはいるが海外からエンジニアは呼ぶことはできる。しかしビザの問題がこれを阻む。

この後者の労働問題に関してミーカーはチャートを提供しており、それからは明らかに日本の労働力(緑色)が縮小していることが確認できる。もちろん未来においては、他の多くの国々もこの問題に直面するだろう。人口高齢化で有名な日本は、労働力の深刻な低下が既に起こっている。この問題は早急に解決策を見つける必要があるだろう。他の国々が直面するずっと前に。だが一方で、どんなにレギュレーションの変化が遅くとも、日本が他の国々よりも早くこの問題にとりかかるという一切の保証はない。

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ミーカーのレポートはアメリカの移民政策の問題と、外国人留学生及に発行されるビザとH-1B就労として発行されるビザの間に増長してきている矛盾の問題について説明している。留学生ビザは増加傾向にあるものの、雇用ビザはそれがない。アメリカ経済に貢献できる熟練外国人労働者は、多くの場合、彼らの母国に送り返される。

それは彼らによる米国経済への貢献の機会がなくなることを意味している。同様にそれは、アメリカのハイテク企業が競争力を維持するために必要な熟練労働者を雇えなくなるーーーH-1Bビザのギャップ問題が主な理由に。レポートには毎年約15万もの応募に対して8万5千しか発行されていないことが指摘されている。結果として、米国企業は多くの場合、海外に移転してそこで雇うことを余儀なくされている。Zyngaのマーク・ピンカスは以下のように引用している:

米国ビザの拒否は、我々が日常的にカナダやアイルランドのビザを申請することを余儀なくされている…我々は、有能な労働者は我々がいるここアメリカのオフィスで働くことがでできることを希望する。それが我々の会社、人々や経済にとって最善であるように。

私が日本で会った多くの日本人起業家について考えるならば、彼らの多くがシリコンバレーが居るべき”場所”だと感じているように見える。しかし実際には、世界的な野心を持ちつつシリコンバレーに飛び出せるのは少数だ(App SociallyとWhillは今回の500 Startupsのバッジとして入居に成功した)。もちろん、起業家の大半は日本に残るが、それを行うためにグローバルな視野が必要とされている。この記事の最初に三木谷氏の引用で参照したように、日本の市場は縮小しており、企業は顧客やユーザをグローバルに探さなければならない。我々は既にこのことをうまくやっているいくつかの日本企業を紹介している

この点を強調するために、ミーカーのレポートにおける”トップ10グローバルインターネット企業”のスライドを振り返ってみよう(下記参照)。上位10の内8はアメリカだが、これらのサービスの利用者の81%は米国外のユーザーだ。それはもしあなたが、ビッグプレイヤーになりたい場合、自国の国境を超えられるか考える必要があることを示している。例えば、LINEはグローバルな野心を持ち適切なアプローチをしているが、海外市場を見なかったMixiは低迷している。

これはBaidu(百度)とTencentのような(伝統的で)閉鎖的な中国企業でさえも理解し始めていることだ。しかし日本(と日本の会社)は中国とは異なり、文化的、社会的、そして環境的利点を持っているーーーと私は思う[1]。起業家にとっても魅力的な目的地であるし、多くの企業、特にモバイル関連企業は、ここにオフィスを設置しようとしている。彼らの多くが私達にこの話をしてくる。

もしより多くの起業家や熟練労働者が日本に来ることができたら、彼らが経済的に貢献するだけでなく、様々なバックボーンをもった多くの人々が互いに学び合える、豊かで多様な技術のあるエコシステムが誕生するかもしれない。海外の起業家のための専用ビザはないが、熟練労働者用のビザは1つだけある。政府は、スタートアップのための税制優遇措置(これに関しては東京、大阪、福岡において進んでいる)をいくつかの経済特区を確立して提供しているが、しかしもし日本がこの問題を解決したいと望むならば、迅速かつドラスティックに変更を加える必要があるだろう。

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1.
私は中国で5年、日本でもほぼ5年住み、働いている。日本はクールでクリーン、そして未来的な場所であり、上記にあげた欠点があるにも関わらず、まだはるかに文化的に開かれているように見える。しかし、残念ながら規制は変わるべき速度で変わっていってはいない。一方中国は多くの人が訪れるが、長期滞在する人はごく少数だ

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