Spotifyがシンガポールとマレーシアでサービスをローンチした理由

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最近、スウェーデン発の音楽ストリームサービスSpotifyがアジア、具体的には、シンガポール、香港、マレーシアに上陸した。Spotifyのアジア太平洋地域および新市場のトップSriram Krishnan氏は、同社がアジア上陸を決めたのは同地域での著作権侵害率が高いからだとTechinAsiaに説明してくれた。

悲しい事実だが、シンガポールはデジタルコンテンツの著作権侵害に関しては主要な国の1つとなっている。国際レコード産業連盟(IFPI)によると、シンガポール人の約半数が音楽や映画を求めて、ライセンスを受けていない違法サイトを訪れているのだという。

さらに同レポートは、シンガポールではひと月に平均して約30万件の違法ダウンロードが行われているとも述べている。Spotifyは、マレーシアの国際知的財産権同盟(IIPA)が作成した2011年度の報告書に触れながら、無認可のP2Pファイルシェアサイトに接続する回数ではマレーシアは世界で26位であることを指摘した。そして、Krishnan氏は次のように付け加え述べた。

「Spotifyは、著作権侵害をなくすための、より簡単で手早い、素晴らしいサービスとして開発されました。(中略)この地域では著作権侵害行為が非常に多いので、私たちがこれらの市場を通じてアジア市場に参入するのは理に適っていると思いました。

IFPIによると、全デジタル音楽の95%が違法にダウンロードされており、著作権侵害に取り組むことは、私たち、そして業界にとっても、これまでで最も深刻な課題となっています。」

著作権侵害に取り組むためにSpotifyが開発されたというのは企業の戯言のように聞こえるのは私にも分かっている。だがよく考えてみれば、実際、筋が通っている。Spotifyが提供するコンテンツは、楽曲の販売で収益を得るレコード会社から来ている。だが、楽曲が違法サイトでお金も払われずにダウンロードされれば、レコード会社の収益が損なわれる。

だから、著作権侵害行為はレコード会社とSpotifyの共通の敵となるわけだ。Spotifyを利用する人が増えれば増えるほど、利用者を有料ユーザに変えるチャンスが高まり、それによって、レコード会社そしてSpotifyの収益は増えていく。

現在、Spotifyには2400万人のユーザがおり、そのうちの25%が月額利用料を払っている。利用者100%の人にお金を払ってもらうことができなくでも、25%のユーザがお金を払ってくれれば十分なのかもしれない。だが、その25%の人が有料ユーザに変わったというコンバージョン率がSpotifyが取り組む新たな市場、アジアにも当てはまるかどうかは今後を見守るしかない。

Spotifyのアジアの主要な競合サービスは台湾発のKKBOXで、KKBOXは世界のレコード会社500レーベルから1000万の楽曲を提供し、世界最大の中国ミュージックライブラリであると称している。

【via Tech in Asia】 @TechinAsia

【原文】

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