NASDAQ輩出企業数2位を誇る背景とはーー早大ビジネススクールの教授がイスラエルへのスタートアップ・ツアーを8月に催行

SHARE:

startupnation

世界に “Start Up Nation” の異名を持つ国がある。もちろん、自称 “Start Up Nation” はいくつか存在するのだが(笑)、客観的な数値に裏打ちされて、自他共にその位置づけを認められている国がただ一つ。イスラエルだ。

アメリカ NASDAQ のティッカーボードに目をやると、地元アメリカに次いで上場数の多いのがイスラエル企業だ。最近紹介した Ginger や Tawkon に代表されるように、近年、日本市場参入を目指すイスラエルのスタートアップも増加傾向にある。

中東にある小さな国イスラエルが、かくもスタートアップ界でプレゼンスを高める背景には何があるのか。その理由をひもとく、現地スタートアップの視察ツアーが8月に催行される。このツアーを企画しているのは、早稲田大学のビジネススクールで国際マーケティング論を教えている Kenneth Grossberg 教授だ。ツアーは Grossberg 教授率いる「早稲田マーケティング・フォーラム」と、イスラエルのビジネススクール「ガリリ・インスティテュート(GIMI)」による共催で、8月9日〜16日の1週間、イスラエル国内の成功スタートアップの訪問(本稿執筆段階で7社以上)、成功していないが発展途上のスタートアップの訪問、テルアビブ、エルサレム、ハイファ市内の観光などが含まれる。

Grossberg 教授に、このツアーの意義について尋ねてみた。

教授は、企業戦略や異文化経営の専門家ということですが、このツアーから得られるメリットは何でしょうか。

kengross_portraitNew York Times のベストセラー「Start Up Nation」になぞらえて、私はツアーを「The Start Up Nation Study Tour」と名付けました。このツアーでは、数々のイスラエル企業が成功するまで、彼らが耐えてきた失敗談を参加者と共有します。イスラエル国外の人々にとっては、今までとは違う考え方を修得できる機会となるでしょう。投資家にとっては、閉ざされたドアの向こう側にいる、明日のスタートアップを見つける好機会です。ツアー参加者は帰国後、自分の会社で学んだことを有効に活用することができます。この一週間で、参加者はMBAコース修得よりも短い時間で、MBA以上のことを学べるでしょう。

将来、日本企業とイスラエル企業とのビジネス協業につながるような、イノベーション・ワークショップも開催されるのですか。

このツアーで、ネットワーキングは重要な部分を占めています。昨年のツアーには、アメリカ、日本、ウズベキスタン、ナイジェリアなどから、起業家やスタートアップ・シーンの関係者が参加しました。ツアー終了後もイスラエルに残り、自身のビジネスに関連する企業を再訪問したりする参加者も居ました。ツアーのプログラムでは、イスラエル企業のCEOからプレゼンテーションしてもらい、彼らにQ&Aやアイデア共有をしてもらいます。これもツアーの重要な部分です。

日本人の日常において、イスラエルの存在は決して大きくないが、イスラエルから見た日本に対する羨望は、我々の想像以上のものがある。日本のロケット技術の父・糸川英夫博士(故人)が自著でよく述べていたが、日本とイスラエルには、いろんな意味で似ている部分が多いということも、その背景にあるのだろう。

イスラエル人には、日本人から多く学ぶことがあると思います。日本人は物事をシステム化するのが上手く、それを非常に効率よくやります。そして、日本人は物事を非常に完璧に進め、何をしても誤差がゼロにならないと満足しません。これは、イスラエルが学ぶべき点だと思います。(中略)共に仕事をすれば、両国にとって大きな利益をもたらすでしょう。

(Grossberg 教授)

このツアーへの参加に興味がある人は、紹介資料をダウンロードしてみるとよいだろう。資料には問合せ先も記されている。申込締切は6月15日だ。

最後に、スタートアップ投資家としても名高い、ハリウッド・スターの Ashton Kutcher がイスラエルのスタートアップについて話しているビデオがあるので、紹介しておきたい。彼はこれまでにイスラエルを4回訪問し、複数のイスラエルのスタートアップに投資している。

2013年5月13日、左から、Guy Oseary、Ashton Kutcher、Yossi Vardi

BRIDGE Members

BRIDGEでは会員制度の「Members」を運営しています。登録いただくと会員限定の記事が毎月3本まで読めるほか、Discordの招待リンクをお送りしています。登録は無料で、有料会員の方は会員限定記事が全て読めるようになります(初回登録時1週間無料)。
  • 会員限定記事・毎月3本
  • コミュニティDiscord招待
無料メンバー登録