楽天台湾「ViSenze」、ファッションコマースでの画像検索機能は有望だが、まだ改善の余地あり

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文字入力の検索は過去のことだ。AppleやGoogleが競争を繰り広げているように、今や音声や画像認識の時代である。

この大手テクノロジー2社が激しく競争している中、ViSenzeというシンガポールのスタートアップ(NUS、シンガポール国立大学リサーチプロジェクトのスピンオフ)が検索分野に参入してきた。eコマースプレイヤーのRakutenおよびClozetteと提携して、服のタイプ、スタイル、色、模様のファッションアイテム付きの画像のアップロード、検索結果の確認ができるようになった。

Fashion Finderは次の2つのサイトで利用できる。1つは楽天とシンガポールのファッションコミュニティーClozetteとのジョイントベンチャーである www.oshare.com.tw で、もう1つは www.rakuten.com.tw/event/funsearch だ。

ViSenzeによれば、この技術は他にも応用ができるという。車や電化製品のウェブサイトに役立つだろうし、広告主は検索結果のページを視覚的に訴える広告とマッチさせることができる。例えばサングラスを探しているユーザは、似た形、モデル、色のサングラスの広告を閲覧することができるといった具合だ。

この技術はGoogleの画像検索の特徴を連想させるだろう。画像認識のビジネスをしているスタートアップとしては他にGraymaticsがあり、同技術を広告とフィルタリングに応用している。ここでは、画像と検索語句の関連性がポイントだ。ViSenzeが成功するか否かは有用な検索結果を提供する能力がどの程度あるかにかかっている。

しかし、検索ユーザの意図を測定するのはとても困難であろう。買い物客の中には既に欲しいものが決まっている人もいれば、とりあえず検索をかけて何が出てくるのかを見てみようとする人もいるからだ。特に女性は後者の傾向の方が強いだろう。

筆者はこの技術をちょっとテストしてみることにした。

最初に気づいたのは、Googleの画像検索やGmailで採用されているのと同じドラッグアンドドロップ機能がないことである。現在、Fashion FinderはURL検索と画像のアップロードのみ可能だが、その方法はややこしい。

それからインターネットからの画像をもとに検索エンジンを試してみた。これがその結果だ。(赤い縁取りがしてあるのが検索入力に使用した画像だ。)

      検索結果#1:確かに背景から前景まで全体が写った複雑な写真だが、ViSenzeの技術を試すにはこれ以上のものがあるだろうか?そのうえ、今日のコーデ(Outfit of the Day=OOTD)のような写真をアップロードしたいユーザもいるだろうから、そのような写真を適切に認識できるだけの技術が必要になってくる。検索結果を見てみると、写真のバッグを認識しているのでアルゴリズムは正常に機能しているが、検索結果はどちらかといえば、元の画像とは違っていた。

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      検索結果#2:ハードルを下げる意味で、対象物がはっきりするような背景がぼけた写真を使ってみた。しかし、なぜか検索エンジンの検索結果は、ストライプの格好ばかりだった。使用した写真に写っている影の帯に原因があるのかもしれない。

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      検索結果#3:背景が雑然としていたので、クロースアップ画像で試してみた。検索エンジンはTシャツにベストを合わせた格好を認識することができたが、検索結果は違うスタイルの組み合わせになってしまった。検索結果には似たようなベストさえもなかった。

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      検索結果#4:もっとシンプルな格好を試してみた。今回は画像の色合いを認識し、面白い検索結果が出た。ただ、なぜ女性の服が含まれていたのだろう?

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      検索結果#5:複雑なものは外し、白の背景にシンプルなブラウスで試してみた。今回Fashion Finderの混乱も少なく色合いはちゃんと認識できていたが、検索結果にはまだ違ったスタイルのものが含まれていた。

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      検索結果#6:ショッキングピンクのバッグの写真で検索すると、ショッキングピンクのバッグがたくさん見つかった。これは非常に簡単だった。

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      検索結果#7:このタイプのストライプのシャツはうまく認識できていた。検索結果の右上の女性用のシャツ以外は一致していた。

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多くの検索を行った結果、同社の技術的な弱点は理解できた。同検索エンジンは、OOTD画像のように一体感のある複雑な組み合わせのものは苦手としているが、その代わりに、シンプルでコントラストが強く1点に的を絞った画像には向いているようだ。

今のところ同検索エンジンはユーザ行動に関しては把握することができていない。おそらく「発見するための」検索と「具体的な」検索を切り替える機能をつけるといいのかもしれな。また、色、テクスチャー、スタイル、さらには性別などで優先順位をつけたりフィルターをかけたりする機能も役に立つだろう。

とにかく、ユーザから寄せられるフィードバックにより技術は改善されることになるだろう。ことによるとユーザは関連性などはまったく気にしないかもしれないが。

しかし当面の対策として、RakutenあるいVizSenseは、この技術の限界を回避するためのユーザガイドを作ることを考えた方がいいだろう。

【via SGE.io】 @SGEio

【原文】

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