アジアのeコマースは、市場に参入する企業と消費者のあいだに旋風を巻き起こしている。それはフィリピンでも例外ではない。初期に参入した企業の中には依然好調なプレーヤーもいれば、新規参入者に遅れをとってしまったものもある。消費にとってはこれからますます選択の幅が広がることになるだろう。
また、巨大化するこの市場に参入しようとしているスタートアップがフィリピンにもたくさんある。そこで、最も人気が高いと思われるフィリピンのECサイトを以下に紹介しよう。
1. Sulit.com.ph
Sulit.com.phはフィリピンのeコマース分野に最も早く参入した1社で、設立は2006年9月だ。Sulitはクラシファイド広告サイトで、メンバーは売りたいものがあれば何でも(新品あるいは中古)掲載することができ、買い手は売り手と直に取引を進める。設立してほぼ7年となる現在でもeコマース分野で先頭に立っている。
2013年3月のビジター数は1370万人、ページビュー数は2億8900万回であった。Sulitは、同社サイトの持つフィリピン人消費者の吸引力を背景に、SulitCarsやSulitRealEstateを立ち上げニッチ市場へ果敢に参入した。また、先週には自動車広告サイトのPinoy Auto Traderの買収を発表している。
2. Ayos Dito
2009年3月にローンチされたAyosDitoもまたクラシファイド広告サイトで、Sulitの最大の競合サービスだ。同様に、AyosDitoも買い手と売り手が商品を見つけて売買するためのプラットフォームである。AyosDitoは出版社のSingapore Press Holdingsとヨーロッパのオンラインクラシファイド広告会社Schibstedのジョイントベンチャーだ。Schibstedのアジアの姉妹サイトにはMudah.myとChotot.vnがある。
3. Lazada Philippines
Rocket Internetが支援するLazadaは、2012年3月にフィリピンでローンチされた。総額1億米ドルを調達している。Lazadaの取り扱い商品は家電製品からガジェット、家庭・生活用品、衣類、アクセサリー類と多岐にわたっている。Lazada PhilippinesのFacebookページでは110万回の「いいね!」を達成している。また先月、Android版のモバイルアプリをリリースした。
4. Cebu Pacific
フィリピンの航空会社Cebu Pacificは1988年にローンチされた。しかし本当に軌道に乗ったのは後の2005年に格安航空会社のビジネスモデルを採用してからだ。つまり、eチケットを割引価格で購入できるということだ。ただし、クレジットカードによるオンライン購入限定だ。
初めは国内便だけであったが、この戦略が軌道に乗ると割引価格での国際線の運行も開始した。Cebu Pacificはいち早く立ち上げられたフィリピン発eコマースプラットフォームの1つで、プロモーションや割引料金を提供することにより消費者に支持され続けている。
5. eBay Philippines
アメリカ発のeBayは2007年にフィリピンでのサービスをローンチしたが、その強さは依然衰えていない。Alexaのランキングによるとebay.phはフィリピンで訪問者数が74番目に多いサイトだ。またeBay Philippinesは2011年にKuponanを立ち上げ、日替わりクーポン購入分野へ参入した。
しかし、KuponanはいまだeBay.ph内のサービスに留まっている。そして最近eBayは、ユーザが世界中の売り手にさらに容易にアクセスできるようにするためフィリピン、マレーシア、シンガポールのサイトに新しいインターフェース導入した。
6. Zalora Philippines
Rocket Internetが支援するもう1つのeコマースサイトZaloraは2012年5月にローンチされた。同サイトが提供するファッションを中心とする商品には衣料品、靴、バッグなどがある。アジア8か国でサービスを展開するこのeコマーススタートアップは、今年行った直近の資金調達でドイツのTengelmann Venturesより総額2600万米ドルを獲得した。またZaloraは2014年にIPOを行う計画を発表した。
7. TipidPC
TipidPCはコンピューター、ラップトップ、その他関連部品に特化したクラシファイド広告プラットフォームだ。同サイトで販売されている商品は新品のPCやガジェットに限定されておらず、中古品やさらには不良品も掲載されている。買い手のほとんどはいわゆるPC愛好家(とくに予算があまりない)で、故障したコンピューターの修理ができるような人たちだ。
8. TipidCP
TipidCPは、TipidPC(上記)のパートナーサイトでこれもまたクラシファイド広告プラットフォームだ。しかし、同サイトはフィーチャーフォンやスマートフォンに特化している。掲載されている携帯電話は新品、中古両方だ。同サイトの典型的な広告主は、新品の携帯電話を割引価格で販売している小規模企業か、現在持っている携帯電話を売りたいあるいはサイトに掲載されている別の携帯電話と交換したい消費者だ。
9. HalloHalloMall
HalloHalloMallは2012年4月にローンチされた。このプラットフォームでは、売り手が掲載する商品を買い手が決済ゲートウェイ経由で直接購入することができる。購入者にはHallo Halloポイントと呼ばれるボーナスポイントが与えられる。ポイントは他の商品の購入に使用できる。現在すでに5000以上のショップが登録されており、サイトに掲載されている広告数は20万件を超えている。
10. AliExpress
中国のeコマースサイトAliExpressはAlibaba Group会社の一部であるが、フィリピンでも勢いに乗っている。Alexaによるランキングでは、AliExpressはフィリピンのアクセス数ランキングの上位500にランクインされている。
つい最近AliExpressは小規模事業者がまとめ買いしたり、個人客が単品購入するための世界的eコマースプラットフォームとなるべくそのプラットフォームの再構築を実施した。現在、フィリピンで買い物した商品は中国の出店者から買い物客の住所へ直接配送される。
このリストが決定的あるいは科学的なものというわけではないが、役立つリソースになれば幸いだ。読者の皆さんがどのショッピングサイトがお気に入りか、その理由も含めてコメント欄で知らせてほしい。
【via Tech in Asia】 @TechinAsia
BRIDGE Members
BRIDGEでは会員制度の「Members」を運営しています。登録いただくと会員限定の記事が毎月3本まで読めるほか、Discordの招待リンクをお送りしています。登録は無料で、有料会員の方は会員限定記事が全て読めるようになります(初回登録時1週間無料)。- 会員限定記事・毎月3本
- コミュニティDiscord招待