モバイルペイメントのコイニーがクレディセゾンから約5億円を調達ーー「平均決済額は1万円」その戦略とは

Takeshi Hirano by Takeshi Hirano on 2013.8.28

Coiney_-_スマートフォンでクレジットカード決済

決済関連の国産スタートアップが大型調達を発表する。

モバイルペイメント「Coiney」を展開するコイニーは8月27日、クレティセゾンを引受先とする第三者割当増資を発表する。調達する金額は総額で約5億円となる。

コイニーの設立は2012年3月。米Squareに代表されるスマートフォン対応の「スワイプ」式端末を使ったオフライン・モバイルペイメントサービス「Coiney」を同年10月にスタートさせている。2013年に入り、展開準備の整備が進むと、3月に元サイバーエージェントの西條晋一氏が取締役として参加、4月には今回出資者となったクレディセゾンとの提携発表や、APIのオープン化など積極的な動きをみせていた。

本誌では過去にもコイニー代表取締役の佐俣奈緒子氏に取材しており、その事業の方向性について話を聞いている。コイニーは今回の調達でどう動くのか。いくつかのポイントを同氏に聞いた。

Coineyは巨大プレーヤーにどう立ち向かう?

モバイルペイメントの話題でどうしても目立つのが「手数料」と「支払日」だ。数値なので比較しやすく、巨大資本は勝負しやすい。下記に現時点の比較イメージを作成した。

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一方でコイニーは正面からこの体力勝負を仕掛けるのだろうか。確かにクレディセゾンというパートナーを得て、手数料引き下げや支払日の充実などのパワープレイの可能性が全くないとは言い切れない。

しかしこれまでの取材経緯から考えても、事業拡大よりも信頼感やユーザーが安心して利用できる環境構築を優先させている印象があった。そこで佐俣氏に先日発表された手数料引き下げなどの戦略を今後も取るのか、巨人たちとの戦いの舵取りについてコメントを求めた。

「現金市場を打破すると考えると市場はとても大きいです。そのため、各社異なる方法で市場を開拓していくと思います。確かにこのビジネスは資本力はある程度必要になりますが、一方どれだけレバレッジをかけてパートナーシップを組むかも重要だと思っています。

私たちは日本のお客さまにサービスを届けられる最適なパートナーシップを継続して組んでいくことで、日ごろからお使いいただける事業者の方々にリーチしていく予定です」(佐俣氏)。

40代男性が8割、地方と首都圏で同じく使われるーーCoineyの利用状況

スワイプ型のモバイルペイメントではよく米Squareの利用イメージとしてスターバックス(ちなみにスターバックスはSquareの株主でもある)のラテなど小額商品の決済が挙げられる。

しかし、国内市場でいえば、クレジットカードを利用するシーンは米国のそれとは違い、高額商品やサービスが多い印象だ。実際、Coineyではこういう利用事例があった。そこで現在の利用例や特徴について聞いてみた。

「現時点での特徴は大きく2つあります。まず、利用者として最も多いのが40代で男性が8割。地方と首都圏が1:1の割合となっていること。これは、当初想定していた首都圏の30代が中心となるだろうという仮説が大きく外れました。また、1回あたりの平均決済金額が1万円を超えており、通常のクレジットカード決済の金額より高くなっています。

具体的な事例でいえば、アウトドアのツアーガイドや商店街のお肉やさんやお花屋さん、地方のお土産屋さんで使われたりと、本当にいろんな場面で使われており、現状どこかに偏った傾向はみられません。本当に生活の中に落ちていっている感覚があります」(佐俣氏)。

オープン化という方向性

Coineyが他の競合サービスと大きく違う点がサービスの思想だ。単なるスワイプ端末を使った決済流通トラフィッカーではなく、お金に関する課題を解決するプラットフォーマーとして存在意義を見いだそうとしている。

具体的な展開のひとつがAPIのオープン化だ。米StripeやBraintree、国内ではWebPayなどに代表されるオンライン決済APIサービスなどがイメージとしては近い。この件についても進展があるようだ。

「9月中をターゲットにSDKをクローズドαでお使いいただけるパートナーの発表を予定しており、その後随時開発者の方への解放を計画しています。iOS及びAndroid共にお使いいただける状況は整っていますね。

また、StripeやBraintreeなどがオンライン決済サービスであることと比較すると、Coineyは現状あくまでオフライン決済サービスです。Coineyはリアルの場でお使いいただける決済サービスを展開してまいります」(佐俣氏)。

ーーいかがだっただろうか。今回調達した資金の使途については、まず現在15名ほどの人員を倍の30名ほどに拡大、開発者およびビジネスサイドの強化に務めるという。

また、決済インフラの強化と、ハードウェアについても新しいラインナップを検討しているそうだ。恐らくこれについては、スワイプ端末以外のものが増えることになるのだろう。最後にマーケティング費用ということだった。

スタートアップだからこの世界を変えられたーー数年後にそう振り返ることができるだろうか。今後も注目したい。

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Takeshi Hirano

Takeshi Hirano

ブロガー。TechCrunch Japan、CNET JAPANなどでテクノロジー系スタートアップの取材を続け、2010年にスタートアップ・デイティング(現THE BRIDGE)を共同創業。1977年生。(株)THE BRIDGE代表取締役

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