インドネシア政府が海外投資家からの資金調達を規制強化——スタートアップは国を出るべきか

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via Flickr: CC BY 2.0 by Thrillseekr

インドネシアでは最近、海外からのシード投資に対し、政府が規制強化に向けて動いており、私は関心を持って事態を見守っている。25万ドル未満の資金調達を試みるスタートアップにとっては、状況がよくない。これを根拠づける明確な規制があるわけではないのだが、数ヶ月くらい前から、見えない規制が実効に移されつつあるようだ。

25万ドル未満の資金を海外から調達しようとするスタートアップと話をすることができた。手強い投資家から資金調達しようとしているわけではないのに、投資家を得てからも、政府がさらなる困難を突きつけてきたというのだ。

政府は「なぜ最初に海外から資金調達しなければならないのか」と質問してくるらしい。私に説明させてほしい。

インドネシアのスタートアップにとって資金調達は容易ではなく、他の成熟したテック市場よりも難しいだろう。ここでインドネシアのスタートアップには2つの選択肢があり、外部から投資を募るか、ブートストラップでやるかだ。ブートストラップを選べば、彼らは最初の1日目から食い扶持を考えねばならない。ブランド、エージェンシー、広告主など、お金をくれるところとの取引に勤しむ必要があるスタートアップにとって、イノベーションを起こす余裕はなくなってしまう。いわゆる、「イノベーションと創造性が過大評価されている」というやつだ。

これは確かに事実なのだが、私の述べたいことではない。

第二の選択肢である外部からの投資を受けるにあたっては、2つの選択肢がある。国内の投資家に頼るか、海外の投資家に頼るかだ。私自身、このテーマについて考え、資金調達の必要があった立場から言えば、インドネシア国内の投資家から資金調達するのは非常にハードだと言えるだろう。インドネシア国内の投資家は、多くの資金を昔ながらのビジネス(石油、エネルギー、林業など)から得ており、彼らにとっては、売り上げにスケーラビリティがない以上、オンライン・ビジネスはただのジョークにしか過ぎない。考えてほしい。1年で100万ドル以上の売上を出せているインドネシアのスタートアップが、どれだけ居るだろう。

すると、最後に残された選択肢は、アメリカ、シンガポール、中国、韓国など、より成熟した市場の海外投資家から資金調達するということだ。これらの国々の投資家は、長期的展望に立って続けることがビジネスだと理解している。彼らはイノベーションを評価し、「製品と顧客が先、お金は後からついてくる」という考え方をよく知っている。彼らがインドネシア・スタートアップへのシード投資に興味があるにもかかわらず、政府が立ちはだかって、事を難しくしようとしているのだ。

インドネシアでここ数ヶ月、海外投資家のシード投資が減少していることから、投資家はインドネシア政府がこれまでより、規制をさらに強化するのではないかと恐れている。

次なる質問は、そういう困難な状態にあるスタートアップはどのようにすればよいか、ということだ。私は答を持っていない。非国民と思われるかもしれないが、海外投資家から投資を受けやすくするため、会社をシンガポールに移すのも一案だ。私はお薦めしたくないが、私が話した専門家たちは、一様にこの意見を支持している。

【via DailySocial】 @DailySocial

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