planBCDが「グロースハックツール+クラウドソーシング」という新潮流生むーーKAIZEN platform Inc.がVC三社から80万米ドルを調達

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ウェブサービスのUI改善を効率化するプラットフォーム「planBCD」を提供するKAIZEN platform Inc.(以下KAIZEN)は8月20日、グリーベンチャーズ、GMO VenturePartners、サイバーエージェント・ベンチャーズの三社より資金調達を実施したことを発表した。

調達する金額は総額で80万米ドルで、同社のシードラウンドとなる。今回の調達を期に、8月から一部テスト運用を開始しているplanBCDの本格的な推進に向けて、開発人員やマーケティング強化に乗り出す。

さて、今回KAIZENが提供するplanBCDとはいったいどういうサービスなのか。一言で表現すると「グロースハックツール+クラウドソーシング」サービスになるかもしれない。

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planBCDが提供するのはA/Bテストといわれるもので、クリエイティブやウェブUIなどのインターフェースをいくつか用意し、どちらの画面の方がコンバージョン(会員登録や購入など)を高められるかテストを実施、ランディングページの最適化をしてくれる。

従来サービスではツール利用も難解だったこの分野を、planBCDは一行のJavaScriptコードを埋め込み、数ステップでトライアルアンドエラーを繰り返せるシンプルなサービスに仕立てた。

これに関しては文字で説明するよりも下記の動画をぜひご覧頂きたい。

クローズドβの結果ではコンバージョンが130%〜170%も改善したという。

クラウドソーシングをサービスに組込むモデル

そしてなによりこのサービスで注目すべきはこのUI改善を「クラウドソーシング」で実施できる、という点だ。昨今、グロースハッカーという言葉とともに、ユーザー獲得などを実施できる技術者、デザイナーといった存在の認知は高まってきているように思う。では、その人材を社内に抱えている会社は一体どれほどあるのだろうか。

planBCDでは、グロースハックでもっともコストがかかり、アサインすることが難しいUIやUXに造詣の深い技術者をクラウドソーシング方式でネットワーク化、デザイナーが内部にいない場合でも彼らに依頼できる仕組みを作った。

さらに、A/Bテストの結果はサービス上に蓄積されていくので、グロースハックのノウハウは担当する技術者が変わってもそのまま受け継ぐことができる。

組み合わせの妙といったアイデアだが、経営陣のキャリアを眺めるとなるほどと納得ができる。

KAIZENの設立は2013年3月。同社CEOの須藤憲司氏はリクルート執行役員として広告テクノロジー部門の推進に携わった人物だ。

「リクルート時代にはオンライン広告のアド・オプティマイゼーションを推進していました。ただ、どこまでアドテクが進化しても、クライアントのウェブUIが改善されないと突破できない壁があることに気がついたんです。けど、じゃあその改善に自分たちが着手すれば当然事業効率が悪くなる。

結果、グロースハックは資金やリソースが潤沢な会社のみがやれることになる。けど、本当に必要なのは小さなこれからのサービスのはず。これが自動化ツール開発のきっかけです」(須藤氏)。

そして須藤氏は同時にアドクリエイティブのクラウドソーシングサービス「C-TEAM」を立上げたことでも知られる。そう、今回のplanBCDにもそのアイデアは活かされているというわけだ。

「ツールはクラウドベースにして、オペレーションはクラウドソーシングを使う。世界中のグロースハッカーに手伝ってもらって改善を可能にするんです」(須藤氏)。

現在登録されているグロースハッカーは世界で200名ほどいるそうで、彼らの成績はすべて記録、ランク分けされているそうだ。

依頼するハッカーの技量によってスタンダードが月額10万円、プロフェッショナルが月額20万円、マエストロが月額50万円という三段階の料金体系が設定されており、元々のUIよりも改善が見られない場合は無料というパフォーマンス保証が付いている。

なお、サービスの利用にはこれにJavascriptのコール回数による課金が別途必要になる。

このサービスはそのまま法人企業への提供も実施されており、クラウドソーシングではなく、社内リソースを活用してのグロースハック・ノウハウを蓄積するためのプラットフォームとしても活用が可能になっている。

「日本人の改善は「カイゼン」という言葉にあるように、現場で改善するボトムアップ方式です。どこかの凄腕ハッカーが改善するのではなく、ユーザーの力を借りてよりよい結果を求めるコラボレーションの思想が大切だと思うんです」(須藤氏)。

既に大手企業への導入も開始されているKAIZENのplanBCD。サービスそのものの魅力もさることながら、サービス+クラウドソーシングという新しいビジネスモデルの潮流を強く感じさせる内容ではないだろうか。

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