「ヒトとカネ」はクラウドで集める時代ーーLancersとCAMPFIRE、連携の試みを聞く

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プロジェクトを立ち上げるには何が必要だろうか。まずはアイデアだ。サービス思考ならば問題解決から攻めるだろうし、事業思考であればマーケット分析からその種は出てくるかもしれない。アイデアが決まれば試作だ。多くの協力者を得るためにも、形になってなければプロジェクトは動きづらい。そしてこの試作に必要な資金や人員が、必要とされる最小単位のリソースといえよう。

ではそのリソースはどうやったら集められるのか。ヒトとカネーー誰もが頭をひねる箇所だ。

今日、この課題に対してひとつ興味深い試みが始まる。クラウドソーシング「Lancers」を運営するランサーズと、クラウドファンディング「CAMPFIRE」を運営するハイパーインターネッツは8月26日、プロジェクトに必要な資金から実現にあたっての人員までを一貫して調達するスキームを発表した。

CAMPFIREで集めた資金を元に、開発する人員をLancersで集め実現に導くという内容で、第一弾の支援プロジェクトとして糖尿病患者団体「MYSTAR-JAPAN(マイスター・ジャパン)」の炭水化物量検索アプリCarbodataの改修開発を実施するとしている。

アイデアさえよければ「ヒトとカネ」がクラウドで集められる、一見すると理想的なスキームのようにみえる。しかし本当にこれは上手く回るのだろうか?いくつかの疑問について両社に話を聞いた。(下記回答は全てランサーズ山口豪志氏)

リソースが分断されると責任箇所が曖昧になりそうです。誰がどういう責任をもってどこまでやるのか、という点を教えてください。

「[依頼者]となるマイスター・ジャパン社がすべての局面において主体的に動きます。具体的には、CAMPFIREでの応援者集めや応援者への対応、ランサーズ上では発注要件の依頼内容の定義、発注先の撰定、制作進行・管理、納品チェック等全てです。CAMPFIREとLancersのどちらもそれぞれの役割で支援致します」。

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それだとCAMPFIREとランサーズをバラバラに利用するのとそんなに変わりないような気もします。いくつか取材で気がついたのですが、やはりクラウドソーシングを使うにはそれなりのコツが必要だと感じていますので、折角連携するのであれば、その辺りに問題が出た場合に何らかのサポートがあった方がわかりやすいと思うのですが。

「本企画はの主体者はあくまでマイスター・ジャパン社となるため(このスキームでなんらかの問題が出た場合にも)ランサーズとしてはサポートできず、それを第三者からサポート頂くようにしていただきます。ただ、ランサーズでは、製作案件の相談も直接持ち込まれることがあります。その場合、予算感や実際のディレクション機能をどう担保するのか、をアドバイスさせていただいております」。

第三者というのは?

「ご指摘の通り、全く知見が無いクライアントにとって(いきなりクラウドソーシングを使った開発は)難しいかもしれません。そのため今回は、ディレクションと開発サポートに外部の開発実績がある、ウェルビー社が参加されます。単純に2つを使えばいいという話ではなく、そのためには、責任範囲の明確化とディレクションのサポートを担当してくださる方のアサインは必須です。

また、一部流動的ですが、今後はランサーズエキスパートというカタチでランサーズが認定した方(法人・個人含む)にサポートに入って頂く機会を設ける予定もあります」。

では通常の外注開発とそんなに変わらないという認識ですね

「クラウドソーシングでの開発と、通常の開発というものの差分は、ほぼ無いと考えております。現状のツール(skype等)を活用することで、制作サイド(ランサーさん)が複数人が所属する法人であれば、そのまま、開発会社への発注と同様になります。

クラウドソーシングにすることでより多くの製作会社、製作ができる個人からの提案が集まり、外部製作の実績があるディレクション会社、または、ディレクターがおられれば、その開発を依頼する発注先、および、製作進行の内容においても、遜色なく進めることが可能になると考えています」。

ーー「集合知」という概念で情報集種は飛躍的に効率的になった。同じようにカネとヒトというリソースをインターネットで集めることができるのが昨今登場しているクラウド・プラットフォームだ。ゆるやかに進化する市場をハイパーインターネッツ代表取締役の石田光平氏はこう語る。

「資金だけでなく、人材、空間、知恵等が単一的でなく、クラウド(群衆)の力によって加速、拡大する時代は日本でも昨年から今年にかけて来ていると思います。またそれらが双方向に連動することで更なるブーストがかかり、よりクラウドから生まれる価値が増幅する時代が来年以降に来ると予想しています」(石田氏)。

試行錯誤が必要だろうが、アイデア一つで実現までもっていける可能性があるスキームだけに継続的なチャレンジを期待したい。

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