収益を上げることができるのはスタンプだけか?モバイルメッセージアプリのビジネスモデル

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Stickers Are Not the Only Way Mobile Messaging Apps Make Money

MessageMeは先日、新たに無料・有料スタンプを導入し、スタンプ人気に便乗したモバイルメッセージアプリとなった。その1週間前にはTenthBit’s Coupleがユーザ向けにスタンプを追加した。PathとFacebook が今年スタンプ人気に便乗したことにより、メッセージアプリから収益を上げるのは、サービスの使用に課金することよりもスタンプを販売することによって達成できるのではないかと思ってしまう。しかし、他にも方法があることが証明されている。

モバイルユーザがそう仕向けられたのか自然とそうなってしまったのか分からないが、メッセージアプリは無料であるべき、もしくは無料であるのが当然であり、メッセージサービスは無料でなければならないという思い込みがある。全般的にモバイルネットワークのキャリアが90年代、SMSにかかる費用をとんでもなく高く設定してサービスを継続してきたため、無料で使用できるインターネットを介したメッセージサービスが、携帯プラットフォーム上にたくさん登場し始めた。

Yahoo Messenger、Nimbuzz、 MSN、 Skypeなどは早い時期にサービスをモバイルに対応させ、モバイル環境専用に開発されたメッセージアプリはその後に続いた。BlackBerry Messenger、WhatsApp、Viberなどのアプリがモバイルメッセージ分野に変化をもたらした。

こうしたアプリが教えてくれたのは、メッセージサービスというものは、SMSのように使った分だけ直接課金するということはしない、すべきではないということだ。メッセージサービスを提供する会社が収益を上げる方法が他にあるのだろうか?

スタンプ

今日、メッセージアプリのマネタイズに最も明白でおそらく最も手っ取り早い方法はスタンプパックを販売することだ。LineやKakaoTalkはユーザにスタンプを販売することで何百万をも売上を伸ばし、プラットフォームでスタンプを販売するためにブランドや有名人を取り込んでいる。企業や個人がメッセージアプリ上でスタンプを販売する際は、ネットワーク上での公式なプレゼンスを提供する企業取引の一部となる傾向がある。

アメリカを拠点とするPath、MessageMe、CoupleやFacebook Messengerなどのアプリは、欧米社会においてスタンプや絵文字は文化的にあまり重要な要素ではなかったため、今年になってようやくこのスタンプ流行の波に乗っかった感じだ。

The Vergeは少し前に、どのようにして絵文字がシンプルなテキスト文を超えて人々の生活に浸透していきながら、自己表現の手段として日本やその他の国々を席巻していったかという点について、非常に詳細にわたるわかりやすい記事を書いた。大げさな感情や表情のイラスト描写である絵文字は、アジア人の精神にとても深く染み込んでいるものなのだ。

The Next Webは、世界で何百万ドルも稼ぐ企業の間でスタンプがメッセージアプリの主要な要素になったかについての詳細な特集を組んでいる。スタンプが定着するかという点だけでなく、メッセージアプリの人気についても根本的な議論として提起していた。

ゲームの構成

スタンプがメッセージアプリの重要な部分であるとは言うものの、メッセージアプリのスタンプ世代を牽引する傑出した2つのアプリであるLineとKakaoTalkは、収益の大部分をそこから得ているわけではない。

両アプリの企業は最近、ゲーム内課金が最大の売上項目であることを明らかにした。KakaoTalkとLineは正確にはプラットフォームである。 別にインストールされるがメッセージネットワークにリンクされるゲームやアプリを両社とも提供しているからで、 メッセージアプリで開拓された幅広いユーザベースを活用しているのだ。

ユーザはこれらのゲーム内でアイテムを購入することでゲームを急速に進行することができ、ゲームの進行を妨げる障害を避け、またゲームエクスペリエンスをカスタマイズすることができる。今週号のThe Next Webによると、Lineの今年度第2四半期ではスタンプの売上が約2740万米ドルであったのに対し、ゲームの売上は約5400万米ドルに達する勢いで、Line全体の収益のおよそ半分にも上っている。

7月、KakaoTalkはゲーム関連の収益を発表したが、同アプリ内の180種類のゲームタイトルをプレイする顧客数は3000万人に上り、ゲーム内で購入されたアイテム等からの収益は3億1100万米ドルに上った。

企業アカウント

今年初めにThe Next Webが得たドキュメントによると、Lineは同メッセージアプリ上での公式プロフィールを維持するために企業や有名人に課金するという。彼らは定期料金の他に、フォロワーやファン向けにメッセージを発信する特典に対しても料金を支払わなければならないのだ。

このような企業や有名人に対する課金の実施はメッセージアプリに限られたものではなく、Twitterも企業が望む場合は、そのプロモーションの支援やアカウント管理のための取引を行っている。

プレミアム及び追加機能

あるサービスを展開しようとする際、最も簡単な方法は、無料で利用できる標準的なサービスに加えて有料のプレミアムサービスを提供することだろう。このやり方で購読者や顧客から収益を見込む場合、一般的にそのサービスに惹かれるかなりの数の支持者を有していない限り、意味ある収益の流れは実現できないだろう。

Skypeは、一般電話向けの通話と2人以上が参加するビデオ会議には課金している。ただし同社のプレミアム加入者サービスは他の企業では無料で提供されているため、ユーザが知っているか、代替サービスを使う意思があるかどうかの問題だ。Skypeは、 世界中の音声通話の33%をホストしているとしている。

Skypeの売上は2011年にMicrosoftに買収されて以来年間7~8億米ドルであった。Microsoftは今年の年次会計報告書でSkypeの売上高を公表していないが、年間売上が20億米ドルだと今年早くに言われている。

韓国のアプリBetweenはスタンプパックのほか、カップル向けに互いのビデオメッセージのやり取り、高解像度での写真のバックアップ、動く絵文字の利用ができるプレミアム機能を提供している。さらに同社はアジアのパートナーとも提携し、カップルが相手にフォトブック、花、コーヒーなどの商品を購入する際に割引やクーポンを提供している。同社はまたカップル向けに旅行パッケージやその他のライフスタイル商品、提携企業からのアイテムの販促も行い、カップルが人生の良いひと時を一緒に過ごす手助けをしている。

主要メッセージアプリで利用料が必要になるのは現時点ではWhatsAppだけになりそうだが、その利用料も来年までは必要ないようだ。年額0.99米ドルならそれほど高くないので、3億人いるユーザの多くは、他のサービスに切り替えるよりもむしろWhatsAppを使い続けるために1米ドルを払うだろう。

収益源はスタンプだけではない

他にもまだまだ別の方法で収益を上げているメッセージアプリは沢山あるが、これらはユーザからの利用料を課金せず、どのようにしてサービスをマネタイズに繫げることができるかを示した一般的な例のほんの一部だ。たとえマネタイズを図るのに、スタンプパックの販売しかないように思えても、アプリ内課金やゲーム関連の販売によって大きな収益を上げている企業のように、スタンプパックの販売以外にも確実に収益を上げる方法がある。

もう少し規模が小さくユーザベースの少ないアプリにとっては、他のビジネスでチャンスを掴むまではスタンプパックを販売していくことが収益を上げる上で一番手っ取り早い方法になるだろう。ただこの方法ha楽過ぎるので、おそらく一番怠慢なやり方だと思う。Lineの財務報告書によると、スタンプ収入は全体の4分の1にしかすぎず、ゲーム関連販売額の約半分にしか相当しない。

もし、スタンプパックがメッセージアプリの看板商品になりつつあるなら、それはそれで仕方ない。ただし、前述のように、メッセージアプリのマネタイズには他の方法もある。もしスタンプ人気が一時的なものだと判明したら、それに依存するところが大きいアプリは、結局は消えていくだろう。

【via DailySocial】 @DailySocial

【原文】

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