「ビジネスツールのコンシューマライゼーションが、スタートアップに革新をもたらす」—著名起業家Dave Goldberg氏との対談から

SHARE:
chat-with-goldberg1
左から:筆者、SurveyMonkey Dave Goldberg 氏、Peatix Asia 竹村詠美氏
(撮影:中西秀行氏)

※この記事は英語で書かれた記事を日本語訳したものです。英語版の記事はコチラから

東京に住むテクノロジー好きの人々にとって、先週は東京ゲームショウad:tech tokyo など、多くのイベントに忙しい週だった。私は ad:tech tokyo でいくつかのパネルの担当を依頼され、Dave Goldberg 氏との対談をモデレートする機会を得た。彼は有名なシリコンバレーの起業家で、Facebook COO Sheryl Sandberg の夫でもある。

Dave Goldberg 氏の仕事について詳しくない人のために記しておくと、彼はクラウドベースのウェブ調査システム開発会社 SurveyMonkey のCEOで、同社は1月に Google を含む複数の投資家から8億ドルを調達している。2009年に同社に参加する前は、彼は最初のメディア・スタートアップ Launch Media を1993年に立ち上げ、後に2011年、1,200万ドルで Yahoo に売却している

約2年前、彼は SD Japan が東京で開いていた月に一度のスタートアップイベントに来てくれた。ちょうど、SurveyMonkey の日本語版のローンチをアナウンスすべく東京を訪れていたときのことだ。彼によれば、同社は日本市場単体でこれまでに68,000以上のユーザを獲得しており、ユーザ獲得、売上成長共に順調で、同社は世界全体で1,500万ユーザを抱える。

今回の訪日に際し、彼は日本ユーザ向けに「質問バンク」という新しい機能を披露した。この機能は推奨するQ&Aのセットを提示することで、調査をより簡単に速く作れるようにし、偏りを減らしてより正確な回答を得るようにするものだ。

私はステージ上で、シリコンバレーから来た起業家や投資家と話をするとき、よくする質問がある。日本市場で傑出した多くのスタートアップは、主にゲーム業界出身だ。しかし、アメリカではビジネスソリューションを提供するスタートアップにも、多くのイグジットを見ることができる。SurveyMonkey もそのようなスタートアップの一つであり、私は日米のエコシステムにおける、この違いに興味を持っている。

Dave Goldberg 氏は私の質問に対し、アメリカでも、エンターテイメントや消費者にフォーカスしたゲーム業界に隆盛はあったが、その流行は変化していると語った。

例えば、Evernote のユーザ属性を見てみると、当初は同サービスは個人向けに開発されたが、次第に多くのオフィスワーカーが同僚との書類共有に使い始め、多くの企業が Evernote をビジネスツールとして利用するようになった。彼はこの現象を「ビジネスツールのコンシューマライゼーション(消費者向けプロダクトが、ビジネスシーンで使われること)」と呼んでいる。対して、典型的な日本企業では、採用するツールを選ぶにあたってトップダウンの意思決定がなされ、従業員には統一された同じツールの利用を求める。Goldberg 氏はこのビジネス文化の違いが、日本のスタートアップがビジネスにフォーカスしたイノベーションで成功するのを難しくしている、と述べた。

Dave Goldberg 氏は最後に、日本の起業家に次の言葉を残して、対談を締めくくった。

失敗を恐れるな、自分より優秀な人を雇え、得られるサポートはすべて得よ。

BRIDGE Members

BRIDGEでは会員制度の「Members」を運営しています。登録いただくと会員限定の記事が毎月3本まで読めるほか、Discordの招待リンクをお送りしています。登録は無料で、有料会員の方は会員限定記事が全て読めるようになります(初回登録時1週間無料)。
  • 会員限定記事・毎月3本
  • コミュニティDiscord招待
無料メンバー登録