2013.9.5

【投資家・起業家対談】「結婚は若い内にしておくべき」ーーインキュベイトファンド本間氏×gumi國光氏(3/3)

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投資家と起業家の関係は興味深い。特にシード期の投資家と起業家は共同で経営にあたり、資金だけでない特別な関係を結ぶことが多い。そこにはどのようなやり取りや葛藤があるのだろうか。

このインタビュー・シリーズでは、投資家と起業家のお二人に対談形式でその内情を語って頂く。初回はインキュベイト・ファンド共同代表パートナーの本間真彦氏とgumi代表取締役の國光宏尚氏、本稿は最終回。1回目2回目はこちらから。

國光宏尚氏年表
1974年、兵庫県生まれ。高校卒業後、中国をはじめアジア、北米、中南米をバックパックで放浪
2004年:29歳で帰国後、映像系のアットムービーに入社、取締役就任
2007年:gumiを創業、代表取締役就任

起業家のプライベートってあるの?

本間:起業家のプライベートってどうなってるのか結構知りたい人もいると思うんですよね。ところで國光さん、嫁さん貰うの?

國光:。。。。。。。

本間:プライベートの時間って何してるんですか。

國光:何をもってプライベートとするかだけどね。ていうところで言うと、最近はめっちゃゲームやってるよ(笑。いや、これ本当に大切で、今まではさ、カードバトル作っておけばなんとかなるという時期もあったけど、これからは何が流行るかなんて分からない。

だからアンテナ高くしておかなきゃいけないので、ゲームやってる時間が滅茶苦茶多いよ。

本間:っていうかそもそもプライベートの時間取れてます?

國光:プライベートはね、難しい。例えばさ、既にエグジットした起業家とかが気がついたら家庭人間になって、Facebookとかに幸せそうな子供の写真とか上げるわけじゃないですか。それで飲んでる席でさんざん自分がいかに幸せかを語るわけですよ。

今まではね「コイツらアホかと」思ってたの。でもね、やっぱりこう週末に一人でルノアールでゲームをやり込んでいる時に、ふと幸せそうな写真をソーシャルで見るとね…「はぁ」ってなるわけですよ。

本間:笑。

國光:結婚はね、若い内にしておくべきだね。事業とプライベートの両立は難しい。成長フェーズだったら絶望的と思った方がいいね。

SD:逆にプライベートの時間があったら何がしたいってありますか?

國光:バックパック一年ぐらいとか…いや、今は正直考えられない。ハッキリ言ってプライベートは完全な負け犬状態にになりつつあるよね。(PayPalおよびスペースXの共同設立者、テスラ・モーターズ会長兼CEOの)イーロン・マスクもプライベート失敗してるのを見ると「やっぱりね」って共感しちゃう。

本間:そこ共感するんだ(笑。でもコンプレックスがないと頑張らないよね。

國光:昔の友達ってサラリーマンだったりするからまあ結婚しててもそれはいいんだけど、起業家周りも最近ぞくぞくと結婚してくのよ…あなた(本間氏)も含めてね(笑。

もうこれで山田さん(ウノウ創業者、コウゾウ代表取締役の山田進太郎)まで先にいってしまうようなことがあったらもうダメだな。どんどん俺のソーシャルタイムラインが家庭の温かみでけがされていく…。

本間:ブロックすればいいじゃない!(笑。それでイーロン・マスクだけフォローしといてよ!(笑。はい、話変えますね。國光さん引退とかってあるの?

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若手起業家にむけて最後にーー視点の高い起業家になるためには

國光:引退というか、やりたいビジネスは腐る程あるから、それはやりたいですよ。ゲーム会社の頂点に立ったとしても(アップル創業者の)スティーブ・ジョブズ氏にはなれないわけですよ。だって売上の3割はアップルに支払ってるわけだから。グーグルも一緒。このままやってもグーグルやアップルにはなれない。そんな時にイーロン・マスクをみると焦るわけですよ。

本間:ほう。

國光:視点を高く持つのは大切。イーロン・マスクがね、人生を賭けてやるべきことを学生時代に悩んだわけですけど、やはり大きいことをやりたいと。そこで彼が思ったことって人類にとっての大きな問題で、ひとつは資源のこと。いつかはわからないけど、再生可能エネルギーがなければ人類が滅びる可能性がある。だから太陽光発電とかソーラーシティとかそういう方向性が出てくる。

もうひとつはいつか滅びる地球の中に縮こまって有限な資源を奪い合っていれば心が荒んでしまう。だから夢やフロンティアが必要って考えて広大な宇宙を目指す。

俺が高校卒業して居酒屋でアルバイトして悶々としている時に彼はね、そんなことを考えていたわけですよ。このスタートの差は一体なんなんだよ!(笑。

本間:おもしろい(笑。

國光:じゃあイーロン・マスクみたいになりたければどうしたらいいか、そういう質問に彼が答えてたんだけど「一番重要なのはフィジックス(物理学)で、原因と結果っていうモノの根源的な所を追求すべきだ」って俺、理系じゃないし!クソー!どうやったらこいつに勝てるんやと(笑。

本間:会社の戦略とかテクニックってやってから考えればいいんだけど、絶対にナンバーワンになるんだとかそういう視点の高さって元々のものなんだよね。どうやったら若い起業家がそういう考え持てると思う?

國光:まずはレベルの高い人と付き合うことだよね。親が目標ですとか言ってる人は残念だけど難しい。だって目標とした人のちょっと手前までしかいけないのよ。それこそ若いんだったらシリコンバレー行くのもいいと思うんですよ。周りにはレベルの高い、元グーグルとかそういう人が沢山いるわけだし。

本間:環境は大切ですよね。

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國光:山田さんも会社が小さい時の三木谷さん(楽天代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏)とかと一緒にいたわけじゃないですか。じゃあ山田さんと話をして「あ、この人だったら勝てる」って思えたらその先には三木谷さんがいるかもしれない。出来る限り視点の高い人に交わるのが大切だよね。

本間:なるほど。

國光:さらに重要なのは歴史上の偉人でしょうね。例えば会社に危機がやってきた時、やっぱり自分は織田信長を思い出すわけです。「ここが俺にとっての桶狭間か」って。その瞬間に命を燃やし尽くさないと世界を獲れない。身近にそういう視点の高い人がいるのであればコミュニティに入るべきだし、いないのであれば、歴史の本とかは誰でも読めるからね。

本間:國光さんにとって視点の高い人って?

國光:イーロン・マスクはすっごい励みよ。

本間:心の友ですね。

國光:スティーブ(・ジョブズ氏)が死んだ瞬間、ぽっかりと空いた心の穴に彼がね…。

孫正義さんも痺れるじゃない。Twitterで「少し守りに入りかけている己を恥じ入る。もっと捨ててかからねば」ってつぶやいてたけど、残念ながら俺には全く守りに入ってるとは見えてなかった(笑。この彼の何年間か、確かこの頃って電力とかそういう取組みをしていた時が「守り」だったのかと。さらに彼はもっと自分奮い立たせようとしてこんなことを言ってるわけです。その瞬間に感じるのよね、彼と自分の距離を。

なるほどと。俺も会社を少しばかり大きくしてきたなと思ってたら、突然中国から、雷軍(レイ・ジュン/小米科技最高経営責任者)が出てきて会社の価値が1兆円とかもうね、なんじゃそりゃと。

本間:三年ぐらいでその規模になったんですよね。

國光:やっぱりその辺りの起業家をライバルと思えるかどうかだよね。もし彼らにリアリティを感じられないんだったらいいじゃないですか、俺で。「國光くんだったら勝てるかな」と思える人は沢山いると思うんですよ。

本間:最近、起業家を育てるっていうより、モンスターを育てる感覚というか、そういう定義がないとダメだなと思うんですよね。化け物が出てこない限り、イーロン・マスクは生まれない。

國光:スポーツってさ、ベイ・ブルース氏に憧れて、長嶋茂雄氏に憧れて野球を始めるわけじゃないですか。そしたらイチローやゴジラ松井が現れて全体のレベルが上がっていく。この業界もそういう引き上げ方が必要だってことだよね。

SD:お時間になりました。お二人ともありがとうございました。

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Takeshi Hirano

Takeshi Hirano

ブロガー。TechCrunch Japan、CNET JAPANなどでテクノロジー系スタートアップの取材を続け、2010年にスタートアップ・デイティング(現THE BRIDGE)を共同創業。1977年生。(株)THE BRIDGE代表取締役

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