米大手音楽ディストリビューションサービス「TUNECORE」の日本版、TUNECORE Japan(チューンコアジャパン)が、音楽のオンラインストリーミングサービス「Spotify」に、利用者の楽曲提供を開始した。TUNECORE Japanを利用する人々は、世界28か国、2400万人のSpotifyユーザーにも楽曲を届けることが可能になった。
TUNECOREは、サービス利用者であれば、世界約111カ国に向けて自分の楽曲を配信することができるサービス。その日本版であるTUNECORE Japanは、2012年10月にサービスを開始している。これまではiTunes Store、Amazon MP3、music.jp、オリコンミュージックストア、Tapnow ミュージックストアなどに楽曲の販売が可能となっていた。ここに新たにSptifyが加わることで、さらに多くの海外の視聴者に向けて楽曲の提供が可能になる。
TUNECORE Japanのサービスを通じて、アーティストたちが楽曲の配信を行う際に必要な料金は、シングルで年間1480円〜、アルバムで年間4980円〜となっている。楽曲の売上はiTunes等の配信ストアの手数料を除いた金額をすべてアーティストに還元する。
Spotifyは2400万人の無料会員が利用しており、毎日約2万曲が追加され、2000万曲以上が聞き放題となっている世界最大手の音楽ストリミーングサービス。2013年4月には、アジアやラテンアメリカでもサービスを開始しており、Sd Japanでもシンガポールとマレーシアでのサービスローンチや、Spotifyアジア太平洋地域新市場部門トップのインタビューなどを掲載している。
Spotifyはまだ日本には上陸していないが、SpotifyとTUNECORE Japanが提携することで、日本のアーティストは海外に向けて楽曲を配信することが容易になる。アーティストにとって、海外への進出が容易になるのは、TUNECORE Japanが実現したいことのひとつだ。
チューンコアジャパン株式会社の代表取締役社長、野田威一郎氏は同社のサービスについて以下のようにコメントしている。
日本のクリエイターが制作したものを世界に持っていたいとずっと考えていました。スマートフォンアプリは、制作したら一気に世界に広がることがあり、アプリを作る人々の目が世界へと広がりました。音楽アーティストの目ももっと世界に広げられるはず、そう考えていたんです。
曲が作られてから、リスナーの元に音楽が流通するまでに、多くの間が入るようになっていました。ここの間を減らし、音楽の公共インフラのようなものを作っていきたいと思っています。
野田氏が音楽関連のサービスをやりたいと考えたとき、やりたいサービスのイメージに近かったのがTUNECOREだ。小さなツテをたどり、単身交渉のため渡米して交渉の末生まれたのがTUNECORE Japan。決して強くはないつながりから、TUNECOREのライセンス契約を勝ち取った野田氏、その想いと行動力が日本のアーティストたちの可能性を広げてくれるかもしれない。
BRIDGE Members
BRIDGEでは会員制度の「Members」を運営しています。登録いただくと会員限定の記事が毎月3本まで読めるほか、Discordの招待リンクをお送りしています。登録は無料で、有料会員の方は会員限定記事が全て読めるようになります(初回登録時1週間無料)。- 会員限定記事・毎月3本
- コミュニティDiscord招待