鶴岡裕太と家入一真ーーBASEを生んだ学生起業家と連続起業家が眺める未来【インタビュー】

Takeshi Hirano by Takeshi Hirano on 2013.10.23

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スマホ時代に入り、C2Cやコマース界隈が大きく動きだしている。

Frilが開拓した「フリマアプリ」という境地では、メルカリなどのプレーヤーが躍進。注目が高かったSTORES.jpはサービス開始から約1年で電撃的にスタートトゥデイの傘下入りを果たした。そしてヤフーだ。国内ネット業界の巨人が放った「無料化」の衝撃は、この流れが本物になりつつあることを物語っている。たった1年の出来事だ。

この激動の中、BASEの鶴岡裕太氏と家入一真氏は「独立系」の旗を掲げ、新たなパートナーと共にこの流れを己のものとしようとしている。

現役学生起業家と連続起業家。この二人が見つめる先には何があるのか。ーー都内某ホルモン店(※)で二人の未来を聞いた。(聞き手:筆者、文中敬称略)

自主か独立かーーBASEはどこまで大きくなるのか

家入:最近増資多いよね。

鶴岡:多いですよね。

家入ちょっと前だよね、スマポ。すごいよね。

鶴岡岩本さんの記事(リンク先はCNET JAPAN)読みました。すごいですよね。

TB:最近家入さん見かけなかったですが。

家入:バーニングマン行ったりしてて東京あんまりいなかったね。色んな人と割とゆっくり話できたよ。砂漠のど真ん中でやることないんだよね。

TBサイバーエージェントからの増資が完了しました

家入:たまたま福岡県に行ったとき、藤田さん(サイバーエージェント代表取締役社長の藤田晋氏)が講演してたので、じゃあ飲みましょうよって誘ったんです。そこでBASEに出資してくださいよって言ったら「いいですよ」って。確かTwitterでやってたんだよね。Twitterで決まった増資。

鶴岡:画期的すぎてちょっとよく分からなかったです(笑。



TB:STORES.jpはスタートトゥデイ傘下に入って、独立系のスタートアップではBASEだけになりました。

家入このSTORES.jpの取材記事読んで、実は自分がGMOグループ入りした時のことを思い出していたの。彼の気持ちが分かるなって。確かグループ入りして一回目の取材の時、彼と同じようなことを言ってたのを覚えてるのね。グループ入りしてもペパボ(paperboy&co.)は変わらないし、シナジーを活用して成長しますって。

でもね、売ってしまうとどうしても親会社の給与テーブルや人事の方法が織り込まれてくるし、企業文化って徐々に変わっていくのよ。でも、そういうことを言いたくないって気持ちもあって、僕もこういうアピールをしていたなって思い出してた。

だから鶴ちゃんは上場するよね。

鶴岡:はい。

TB:即答だね(笑。

鶴岡:僕らって他の方がどうかは分かりませんが、多分背負ってるものが全く違うと思うんです。逆に言えば失うものが全く違う。どれだけリスクを負っても僕はまだ23歳だしいくらでもチャレンジできます。まだ、勉強ラウンドですから、大きなものをどんどん目指していくつもりなんです。

家入:で、挑戦しまくって大ゴケして欲しいって気持ちもあるんだよね、鶴ちゃんには。25、6歳位までBASEの企業評価をガンガンに上げて上げまくって最終的に潰れましたとか(笑。

鶴岡:ちょ(笑。

家入:まあ、俺はCAMPFIREとBASEに掛かってるからコケるとマズいんだけど(笑。でもね、美談があってね。鶴ちゃんは俺が成功して家入さんに色々返したいんですって言ってくれるの。半分冗談で半分本気で。こういうのって何気に嬉しいよね。割とよい評価で買収のオファーとかもあったよ。でも売らないよ。全然それよりも上を目指すし。

TB:いくらだったら買収に応じるんですか?

家入:500億円なら(笑。

スタートアップとライバルの存在

TB:BASEのアイデアって一番最初はどちらから?

鶴岡:他の取材でもお話してる通り、母親が呉服店をやっていて楽天などの既存サービスを使おうとしたら難しくって、それがきっかけですね。海外事例を探したり、そういう情報を元に今のBASEのアイデアが生まれました。

家入:開発している最中に、STORES.jpが立上がったり、DeNAが何か出してきたりしたんだよね。

鶴岡:実はSTORES.jpが出来たとき、光本さん(ブラケット代表取締役の光本勇介氏)と会ってるんです。

TB:何を話したの?

鶴岡:内緒です(笑。いい人だなって思いました。それ以来会ってないんですけど。

TB:光本さんはライバルの存在について話をしていましたよ。

家入:戦いが大事なんだよね。市場が小さい間は広げる意味でも共同戦線を張ってどうやって拡大するかを考えるべきだよ。ベタベタと仲良くする必要はないけどね。

TB:決済周りはその導入方法(個別契約ではなくBASE一括での契約になっている)なども巡って議論があったと聞きましたが。

鶴岡:継続して話し合いを続けています。課題が出てきたらまず話を粘り強く続けることが大切だと考えています。その上で改良を重ねていますよ。

家入:僕と太河さん(EastVenturesの松山太河氏)の共通認識なんだけど、鶴ちゃんのいいところは「まずやってみよう」っていう姿勢なんだよね。増資した金額だって半年で使い切りましょうってそういう勢いがある。1億だろうが2億だろうが使い切っていけるところまでいきましょうって。そこまで踏み切れる人って本当に少ない。

調達した資金を温存して黒字化を目指しますって、確かにその気持ちは嬉しいんだけどやっぱり保守的すぎる。出す側からしたら、最終的にゼロになってもかまわない覚悟で出してるんだから「使い切る!」って逆に言って欲しいわけなの。

TB:家入さんはペパボ時代から今に至るまで、小さな力を集めて事業にする、というコンセプトが一貫してます。

鶴岡:アイデア自体は確かに僕が出しましたけど、それまでずっと1年に渡って毎日のように家入さんと一緒にいましたからね。思想はそのまま受け継いでますよ。

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家入前の記事で怒られちゃったけど、やっぱりイメージは象の足下に穴を掘り続けるアリなの。でも、象がその穴に気がつく頃には大きくなってて素っ転んじゃう。僕自身が学歴も無い中、地面を這いつくばって生きてきたから、僕らみたいな力の弱いヤツらにはそういう戦い方しかないんだよっていうメッセージ的な部分もある。もちろんそういう戦い方が好きだっていうのもあるし。

優秀な人たちを見てもちろん尊敬もするんだけど反面、この野郎って思う気持ちも強い。ゲリラ戦だよね。

ヤフーが放つ無料化ーー若手に立ちはだかる巨人の存在

TB:Supercellの買収で國光さん(gumi代表取締役の國光宏尚氏)が「片手間で俺の世界制覇に立ち塞がってくるのか」って叫んでましたけど、孫正義氏はこちらにも衝撃波を放ちました。

家入:思ったより早かったよね。

鶴岡:そうですね。

家入:(孫さんは)すごい人だし、今回の一連の動きでも「スゲー!」って声が多数だったじゃない。家入どうすんの?って全然知らない人から聞かれたり「家入オワタ\(^o^)/」とか。あまりにも勝手に言われるから「孫さんよりも先にいくよ」って返したら「孫さんはそのさらに先手を打つよバカな家入」って書かれて。カッチーンって(笑。

鶴岡:一年前ってSTORES.jpがオープンした頃なんですよね。たった一年で世界が変わったんです。まさか孫さんが何かをやった影響を自分が受けることになるなんて。起業家として、幸せを感じると同時に燃えてますよ。

家入:そうよね。他の人たちもやろうと思えばできるのに、孫さんだけが(無料化を)やった。

TB:でもようやくレベル10になったところで、ラスボスみたいなのが目の前に現れたわけです。

鶴岡:あと90ぐらい足りないですよね(笑。でも、ここに独立系で残れているってことはまだ勝つ確立が残ってるってことです。

家入:BASEのよさって30秒でショップが作れるところにあるのね。面倒なID作ったりしなくていい。

鶴岡:コマースの世界って少数の規模があるユーザーと無数の小さなユーザーに大きく分かれるんです。小さなユーザーを取るためにはとにかくスピードです。インターネットユーザーはまだまだ増えるし、スマートフォン時代に入って最適化できるプレーヤーはまだ少ない。これまでお金の流れていないところに動きを作る事業なんです。面白い勝負ができると思ってます。

家入:これまではBASEだけだったけど、サイバー(エージェント)も加わるから、BASEとサイバーの連合VSヤフーになるよね。あと、毎週BASEの事務所には堀江さん(堀江貴文氏)も来てるし(笑。

鶴岡:太河さん、家入さんに藤田さんと本当に人に恵まれてると思います。

TB:そろそろ時間になりましたね。ぜひ次の時代を作ってください。ありがとうございました。


※注:筆者は六本木の某ホルモン店でBASEの取材をよくしている

Takeshi Hirano

Takeshi Hirano

ブロガー。TechCrunch Japan、CNET JAPANなどでテクノロジー系スタートアップの取材を続け、2010年にスタートアップ・デイティング(現THE BRIDGE)を共同創業。1977年生。(株)THE BRIDGE代表取締役

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