シリコンバレー発宇宙葬スタートアップのElysium Space、日本での事業をスタート

by Masaru IKEDA Masaru IKEDA on 2013.10.1

elysium.earth.logo

愛している人が図らずも命を落としてしまったとき、「あの人はお星さまになってしまったのだよ」というのは、よく耳にする表現だ。しかし今日から、亡くなった人をお星さまとして弔うのが、より現実的なものになるかもしれない。

サンフランシスコに本拠を置く、宇宙葬をビジネスとするスタートアップ Elysium Space(エリジウム・スペース)は、アメリカ市場に引き続き、10月1日から日本でも事業を開始すると発表した。同社が提供するサービスは、宇宙船で遺灰を宇宙に送るサービスで、同社はこのユーザ体験を一回あたり1,990ドルで提供する。

事業開始にあたり、来日中の創業者兼CEO Thomas Civeit氏に話を聞くことができた。以前 NASA で技術者をしていた彼によれば、Elysium Space は将来的には自前の宇宙船を持つことも視野に入れつつ、当面は最も効率的な選択肢として、Space-X などの宇宙サービス会社と提携し、フロリダ州のケネディ宇宙センターから遺灰を打ち上げることを計画している。

他にも打ち上げ場所はあるけれども、一般人が入れる場所を考えると、ビーチからロケットが打ち上がる瞬間が見られるという点で、フロリダが最もいいと思う。近くのオーランドには Disney World もあるし、打ち上げを見届けてから、Disney World に立ち寄るというような、家族旅行ツアーパッケージも企画できるかもしれない。

elysium.app.sat打ち上げの模様はライブストリームとアーカイブでビデオが提供されるので、遺灰を託した遺族は、日本からも宇宙葬が執り行われる瞬間を見ることができる。また、近年、役目を終えた人工衛星などが地球に回りを周回し続ける宇宙ゴミ(Space Debris)の問題が指摘されるが、Elysium Spaceでは、打ち上げに使われた宇宙船や遺灰は、一定時間の経過後、大気圏に再突入して燃え尽きるので、その恐れも心配ないとしている。

懸念点について、いくつか聞いてみた。まず、火葬が一般的で、水葬は基本的に違法とされる日本で、遺灰を宇宙に持って行ってよいかということだが、遺灰になった時点で火葬が終わっており、宇宙への打ち上げもアメリカから行われるので法律には抵触しない。さらに、宗教倫理的な面についても聞いてみたが、キリスト教であれ、イスラム教であれ、仏教であれ、どの宗教においても宇宙は神聖な位置づけであり、そこで死者を弔うことについては倫理的に問題は発生しない、というのが彼らの見解だ。

宇宙葬そのものは、新しい概念ではない。Elysium Space が画期的なのは、それを 1,990ドルという安価で提供できる点だ。さらに、世界にはいくつかの宇宙ベンチャーが存在するが、その多くは政府からの支援を得ている。Elysium Space は完全に民間からの資金調達だけで成立しており、これも特徴的なことだと思う。

「愛する対象」を宇宙に送るサービスなので、遺灰は人間のものに限らず、ペットの犬や猫のものでも構わないそうだ。ユーザには、事前にサービスのユーザ体験をイメージしてもらうため、iOSAndroid 向けにアプリが公開されている(表示されている宇宙船の位置情報などは、シミュレーション)。現在、オンラインでの受付に加え、日本では葬儀サービス会社などとの提携を模索中だ。

左から:コミュニケーション担当 Benjamin Joffe氏、CEO Thomas Civeit氏、ビジネス開発担当 金本成生氏
(左から)コミュニケーション担当 Benjamin Joffe氏、CEO Thomas Civeit氏、
ビジネス開発担当 金本成生氏

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