不動産業界の常識を塗り替えるーーお部屋探されサイト「ietty」が約5000万円を資金調達

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ietty top

“お部屋探されサイト”の「ietty」を運営する株式会社iettyが、ミクシィの投資子会社アイ・マーキュリーキャピタル株式会社に対し、約5000万円の第三者割当増資を実施したことを発表した。

iettyは先日、ソーシャルグラフを使ったウェブサービスのコンペティション「グラフハックアワード2013」でも優秀賞を受賞したことで記憶に新しい。同社はこれまでステルスで活動してきたが、今回の資金調達を機に情報を開示していくことになった。

iettyは、賃貸物件探しにおける借り手と不動産営業マンの双方の課題を解決するためのサービスだ。従来の不動産サイトでは、借り手が膨大な量の不動産情報の中から、物件を借りたい人自身が能動的に物件情報を探す必要があった。iettyでは、Facebookの情報を使ってユーザー登録をし、希望条件等を入力すると待っているだけで部屋探しのプロが最適な物件を提案してくれるようになる。

ietty scoutman

不動産業者は成約ベースで手数料をiettyに払うため、導入リスクが極小化されている。同サービスは2013年6月にベータ版を公開し、これまでに不動産業者8社と提携している。

不動産を探す人と営業する人をつなげる

人と人とのマッチングを物件を介して行うのが不動産。物件がマッチングしなくても、営業マンの人とはマッチングはできます。

と、同社CEOの小川泰平氏はこのサービスの重要な部分について語る。良い物件が見つからなかったとしても、良い営業マンと出会うことができれば、次に物件を探すときにはその人に相談しよう、と考えることができる。これを促すのがiettyというサービスだ。

営業マン側からは、過去に登録したユーザーにも物件情報を送信することができるため、ユーザーが増えるほどマッチングできる可能性は上がる。また、登録したけどスカウトがこない、という問題を解決するために、iettyでは自動レコメンデーションシステムを使用している。ユーザーの登録情報からオススメの物件をレコメンドし、必ず物件を送るようにしている。

iettyhouse

これまでの不動産サイトにはない新たな取り組み

iettyでは5段階評価で物件を評価できるようになっており、評価のハードルが下がっている。この5段階評価を数値化して計測し、その結果をラーニングしてより良い物件をレコメンドするようにしている。また、この評価は営業マンにとっての点数になり、営業マンのランキングに影響する。評価は営業マンのプロフィールページにも記載される。このゲーミフィケーションの仕組みは営業マンにとってのモチベーションにもつながっている。

また、これまで不動産サイトは、顧客の情報を店舗に送った時点で課金を行っていたが、iettyでは借り手が実際に店舗を訪れた際に課金を行う。早い段階で課金しようとしてきた大手不動産サイトは、お問い合わせフォームから借り手に情報を送信させることに注力していたため、ユーザー情報は蓄積されてこなかった。iettyではユーザーの情報が蓄積され、さらにマネタイズポイントも後のタイミングにずらしているため、従来の不動産サイトとは差別化が行われている。

iettyがスタートするまで

小川泰平氏
小川泰平氏

iettyを立ち上げた小川泰平氏は、前職では住友不動産で不動産に携わっており、その見識を活かしてiettyを立ち上げた。

当初、ITの知識がほとんどない状態から、起業を決め、独学でITでのビジネスモデルなどを研究したのち、ビジネスモデルのアイデアをいくつか用意した状態で、インキュベーションプログラム「インキュベイトキャンプ」に参加した。キャンプへの参加の後に退社し、起業した。

今回資金調達を実施した小川氏も、これまでの道のりも楽なものではなかったと振り返る。

エンジニアをチームメンバーに入れない状態で起業し、開発を外注したために、サービス開発に時間がかかってしまいました。

と語る小川氏。紆余曲折を経て、CTOをメンバーに入れ、今年の6月にフルリニューアルを実施。10月、グラフハックアワード当日に再度リニューアルを実施した。新しくなったサイトはユーザーからも、提携先からも評判が高いという。

これだけ顧客満足度が低い業界は珍しい、それだけ業界をひっくりかえすチャンスがあると考えています。この業界は無駄が多く、何にお金が支払われているかがわかりにくい。情報の非対称性でお金を稼ぐような、透明性が低い業界です。そこで、iettyが広がることで競争が起こる、透明性の高い業界になると考えています。

「引越にかかる中間コストを極小化したい」と語る小川氏。今後、iettyは不動産業界のレガシーシステムをいかに変革していくのだろうか。その動きに引き続き注目していきたい。

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