9月30日付でノボットを退職しましたーー小林清剛氏から次の起業家へのメッセージ

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編集部、kigoyamaより:2013年9月30日付けで、起業家でありノボット創業者、代表取締役の小林清剛氏が同社の退職を発表した。この文章は既に小林氏のfacebook上で公開されているメッセージだが、彼の許可を得て改めてこちらでも公開させて頂く。彼の経験と言葉は後に続く私たちにとっても、必ずどこかで役に立つはずだ。キヨ、次の世界戦頑張ってね!

小林清剛氏から次の起業家へメッセージ(原文そのまま※)

9月30日付でノボットを退職しました。

ノボットのM&Aについて最近よく聞かれるので、これを機会に自分の意見を書きます。自分でも反省すべき点は多々ありますが、今回はノボットの買収がKDDI/medibaにとって何の意味があったかについて、自分なりに考えをまとめてみました。最後に、今後の個人的なことを少し書きます。

結論から言うと、ノボットの買収はKDDI/medibaとしては成長のために意味のある投資だったのではないかと、僕は考えています。2011年7月末、medibaはノボットを買収したことにより、スマートフォン広告事業者として業界上位のシェアになりました。

その後、大変な時期がありつつも、今年の8月にスケールアウトを買収したことにより技術や製品面を増強することができ、現在は Daisuke Yamazaki さんや Kenichi Sugawara の強力なリーダーシップの元に、medibaの広告事業は勢いを増しつつあります。

”たられば”の話になりますが、もしノボットを買収していなければ、medibaのスマートフォン広告事業は規模が大きくならなかった可能性もありますし、ハブ役となった小林がいなければ、スケールアウト買収も実現しなかった可能性もあります。

もしくは、スマートフォン広告事業が小さいままだったかもしれません。もちろん、別の可能性もあるとは思いますが、KDDIグループの広告投資額、膨大なコンテンツ量などを踏まえると、KDDIグループへのmedibaの貢献度合いは小さくはなく、その事業動向に影響を与えたノボットの買収は、一定の意味があったと思うのです。

ノボットの経営陣として自分の役割の話せる範囲ですると、最近では2013年4月以降の僕は、KDDI/medibaの広告事業の中長期戦略を作ったり、その戦略実現のために重要な要素となる、スケールアウトの買収に取り組んでいました。

ここで気づいたことは、一般的には大企業での買収は難しいとされていますが、買収された側の会社の経営陣(僕)が、買収する側に立場(mediba)にいることで、両方の立場/要望が理解できるため、M&Aが以前より上手く進められるようになるということです。

買収後にどのように統合していくか、特に、どのような環境やルールが買収される側にとってベストな選択肢なのかを考える上で、買収された側の会社の経営陣(僕)として、自分の知識と経験は貢献できたと思います。

少し脱線しますが、日本のスタートアップ環境がテーマに語られるとき、日本はスタートアップが買収される件数が少ない、日本は大企業が買収に積極的ではないという議論がなされるのを、何回か聞いたことがあります。これは、日本では大企業によるスタートアップの買収の成功事例が少ないことが要因の一つにあると思います。

この成功事例を増やすためには、買収された側の人が、次は買収する側の立場に変わることで、買収案件の成功確率が上がり、結果的に、スタートアップの買収の成功事例が増えていくいうことが、日本のスタートアップ環境を成長させる上で必要なプロセスの一つになると考えています。

例えば、最近のYahoo!Japanのスタートアップ買収は、部外者の僕から見ても上手くいっていると感じるものも多く、こういった成功事例に続き、広告やネット業界だけに限らず、大企業によるスタートアップ買収がもっと増えてくると嬉しいです。

今後はmedibaのアドバイザーとして関わっていき、自分が関わった中長期の戦略や、スケールアウトの買収が成功事例となるように、medibaとスケールアウトの事業成長をサポートしていく予定です。また、少し個人的な話をすると、10月初旬から日本を離れて、11月から米国に引っ越します。そして、自分の能力を鍛えながら、次はどのような事業に取り組むのかを考える時間を作りたいと思います。

最後になりましたが、わがままな僕に2年間付き合ってくれた Takeshi Ohasa と Keita Umimoto 、KDDIから様々な支援をしてくれた Tomohiro Ebata や Shigeki Matsuno 、他KDDI/mediba関係者の多くの皆さん、ありがとうございました。そして、引き続きよろしくお願いします。

小林 清剛


※facebookの原文をあえてそのまま掲載しました。人物名については元のメッセージからご覧下さい。

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