大阪発のイノベーションを生み出していきたい−−第6回Shoot from Osaka(n)でプレゼンされた10社のアイディア #shootosaka

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10月11日、大阪の「おもろいもん」や「新しいもん」をプレゼンするイベント「Shoot from Osaka(n)」が開催された。

同イベントは、大阪にあるコワーキングスペースのOsakan Space主催。数ヶ月に一度開催されているイベントで、今回で6回目の開催だ。毎回、大阪ならではのローカルを意識したサービスからグローバル展開を目指すサービスまで、斬新なアイディアをもとにした様々なサービスが発表されてきた。

筆者は、第一回からすべて参加しているのだが、回を重ねるたびにプレゼンの内容が洗練されてきており、5分という短い時間の中で、自身の持っているアイディアがの新規性やビジネスモデルなどが話された。登壇者もITだけに限らずデザインやものづくりまで、幅広い人たちが参加してきた。本番前には、プレゼンの内容について登壇者同士で事前に発表してプレゼンの形をブラッシュアップするなど、プレゼンイベントだけにとどまらず、発表者同士のネットワークや互いに良いものを作っていこうとするスタートアップコミュニティも醸成されてきている。

今回も、登壇者のプレゼン時間は5分。登壇した10社の内容を見てみよう。

「Cofame」−−名刺のアクションはそのままにデータはデジタル化

Cofame -Before you bring something to the table-
Cafameは、面倒な名刺の個人情報をデジタルで管理できるツールだ。他にいくつものデジタル名刺サービスがあるが、Cofameは、名刺という従来の動作はそのままに、データだけをオンラインで管理するものだ。

アプリを立ち上げると、名刺のデザインそのままのカードが表示され、互いにスマートフォンを並列し名刺交換の動作をすることで、互いの名刺情報を交換することができる。また、打ち合わせなどでは、名刺情報をスマートフォン上で並べ替えるなどが可能だ。

大阪が実施する「シリコンバレーへの人材派遣プログラム」の中で誕生したサービスであり、世界展開も視野にいれ、現在はサンブリッジCEOのアレン・マイヤー氏もアドバイザーに就任している。

「picola」−−休日レクリエーションを提案する

Picola | ピコラ
picolaは、休日の過ごし方を提案するサービスだ。訪れたい箇所や実践してみたいことを簡単に探すことができる。サービス上で、お気に入りの休日コースなどを検索。サービス上で施設予約や申し込みなども完了することができ、提案から完了までを網羅している。

従来のユーザ投稿ではなく、イベント管理者や施設運営者がイベントを提案するのも、このサービスの特徴だ。サービス内では、ユーザの状況や休日コースのデータベースを保有し、ユーザのニーズに応じたレクレーションの提案などのレコメンドも行っていきたいと語る。現在関西で300事業者、80種類の休日コースの提案をしている。11月には、関東にもサービス展開を拡大していく予定だ。

「コアトリエ」−−ものづくりのアトリエシェアスペースでクリエイター支援

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コアトリエは、大阪・船場にあるデザイナーやクリエイターのためのシェアワークスペースだ。繊維の街、仕入れの街としての歴史を持つ船場で、船場を中心に卸や繊維産業などを営む三代目社長たちがコアトリエを手がけている。

若手アーティストやクリエイターに場所を提供し、ものづくりや販売、機材のシェアなどのサポートを行っている。材料などの三代目たちが一括仕入れをすることで、若手への制作環境の充実も図っている。また、コアトリエ自身が制作案件などを受注し、クリエイターへの制作案件のディレクションを行うことで、知識や技術、人材のネットワークを構築している。

11月にはスペースのリニューアルを実施予定だ。今後は、販売活動の支援やイベントの共同出展などにも力を入れていき、数百名以上ものクリエイターたちのネットワークを作り、中小企業と若手デザイナーを盛り上げていきたいと語った。

「チャットワーク」−−API公開とルクセンブルクへのグローバル展開を

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グループチャットやタスク管理サービスのチャットワーク。リリースから2年半以上がたち、現在ではユーザ数25万人を突破している。

チャットワークの今後の展開として、ヨーロッパのハブであるルクセンブルクへのグローバル展開をもとに、ヨーロッパ市場のシェアを狙っていくと語った(関連記事)。また、リリース当初から要望が多かったAPI公開も、近日に発表するという。今後は、チャットワークのプラットフォーム化を推進し、すべてのタスク管理をチャットワーク上をベースに行ってくためのサービスをサードパーティとの協働を図っていきたいと語った。

「Coumfy」−−工務店のマッチングを通じて、家造りをもっと容易に

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Coumfyは、有料工務店の検索ができるウェブサービスだ。夏に行われた、大阪商工会議所などが開催したベンチャーキャンプで入賞したビジネスアイディアでもある。

家のリフォームは、高価なサービスであるにもかからわず、オンラインでの検索やどのようにリフォームを図っていくかといった情報が見つかりづらい。また、工務店業界におけるIT化が進んでいないという現状をもとに、工務店のIT化とユーザの満足度を向上を図っていくのが、開発のきっかけだ。

マネタイズとして、運営者が工務店側をヒアリングし適切な情報をサイトに掲載。ユーザが実際に注文完了したことによる成果報酬により、ユーザの負担をかけずに、効率的にユーザと工務店のマッチングを行う。また工務店の信頼性の担保のために、施工が決まった物件に対して建築士による図面チェックや建築士による物件チェックを案件進行中に無料で実施。これによって、ユーザへのセカンドオピニオンサービスも提案するという。現在、絶賛開発中であり、リリースを期待したい。

「Keiri.in」−−使い慣れた会計ソフトのままで、記帳情報をデジタル化

会計ソフトへ簡単記帳!「Keiri.in」
Keiri.inは、会計のデジタル化を図り、会計作業を容易にするサービスだ。取引データをダウンロードし、Keiri.in上でアップロードすることによって、既存の会計ソフトに最適な情報としてエクスポートできる仕組みだ。会計ソフトとして、弥生会計、発展会計、TKC FX2にも対応。対応銀行としても大手都市銀行などに対応している。これによって、これまで月に数時間かけていた会計作業を10分程度にまで縮めることができるという。

年内までは利用無料でトライアルを実施し、ユーザからヒアリングをしながら機能改善を図っていくと語った。

「ワンダーポート」−−スマホを通じて子どもに対して楽しい共有体験を

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ワンダーポートは、キャラクターを通じて子どもとコミュニケーションができるアプリだ。働き方が多様になり、また地方出張や単身赴任など、親と子どもがコミュニケーションする時間が短くなっている課題に対して、解決策を提案したいと考えたのが開発のきっかけだ。5月に大阪で開催されたスーパーハッカソンでサービスのプロトタイプが完成し、そこからブラッシュアップを行ってきたという。

アプリでは、キャラクターがリアルタイムでユーザが打ち込んだコメントを読み上げることができ、子どもにはボイスチェンジでキャラクターと話すことで非日常的な驚きの体験を提供する。Twilioを通じたコミュニケーションサービスとして開発を行ったが、今後は、IP電話サービス事業者へサービスや通信事業者とのコラボ、LINEなどのソーシャルネットワークとの連携を模索している。また、マネタイズとしても広告主によるキャンペーンツールや、コンテンツ提供者を通じたキャラクターの採用、物販企業によるマーチャンダイザーコラボなどを計画しているという。

「チップ」−−おつかいを通じて、地域のコミュニティ作りを支援する

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チップは、行列代行や子守など、ちょっとしたお手伝いを助けるクラウドソーシングサービスだ。

先日のiPhone5s発売の直前にリリースしたサービスであり、実際に行列代行もなされたという。

また、地域のママコミュニティにヒアリングをしたところ、地域の人たちとのコミュニティ作りとして、ママ同士での子守りの相互手伝いなどに需要があると考え、今後は地域コミュニティへの支援による地域活性を軸にサービスを展開していきたいという。現在はベータ版だが、年内に向けて正式リリースを行いたいと語った。

「farm+biz」−−都市と農家を繋ぐインターンシッププログラム

農業体験・インターン就農はfarm+biz(ファームビズ) | 田舎暮らしへの近道は農業で就職!農業体験インターンシップ
farm+biz(ファームビズ)は、都市の若者と農業のマッチングを目指すサービスだ。現在、300万人以下を切った農業人口においては、6割以上が65歳以上という高齢化が進んでいる。農業への人材流動を図るための施策として企画された。

farm+biz(ファームビズ)は、インターンシップを通じて農家に人材を派遣する就農支援型のサービスを展開していく。すでに、高知県とともに11月からサービスを実施していくという。プログラムでは、廃校を利用した宿泊施設をもとに三週間の就農体験を行い、希望者はそこからさらに半年の研修などを通じて農業を実践してもらうことで、農業従事者の増加を図っている。

今後は、農業生産法人と行政と提携を図り、全国の就農支援を展開していくという。元々、ブライダルなどの人材サービスを行っていたクックビズは、農業における人材流動を図り、農業分野における転職市場を作っていきたいと語った。

「MyISBN」−−書籍IDを通じて読者情報を出版社にフィードバックする

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オンデマンド出版を手がけるMyISBNは、新しい展開として出版した書籍一冊にシリアルナンバーを付与し、読者がIDをウェブから登録することで、書籍と読者情報のデータベースを作るサービスを展開する。これによって、これまで書籍単位における読者の詳細な情報を知ることができなかった出版社を支援し、読者からのフィードバックをもらうことができる。

IDによって、特定の読者に対して電子版データのダウンロードの誘導などの特別特典の付与、詳細な顧客情報によるマーケティング支援などを可能とするという。出版業界に対する新サービスを、今後も考えていきたいと語った。

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