「BASEがいなかったら今作ってる数字も達成できなかった」ーーSTORES.jpとCyta.jp創業者が語るスタートアップ経営とM&A #bdash

Takeshi Hirano by Takeshi Hirano on 2013.10.8

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スタートアップの定義はあまり明確ではない。創業何年以内とか資金調達額で線引きすることは難しく、言葉そのものの意味で考えれば、何かを新しく始めればとりあえず「スタートアップ」になれる。

ただ、中小企業や個人事業と違い、スタートアップと言われるプレーヤーは少なくとも「急成長」を目指すことが必要だ。ブーストが必要だから恐ろしく高利なリスクマネーに手を出すこともあるし、同時にIPOやバイアウトといったゴールも設定される。

そしてこのゴールへ辿り着くプレーヤーはほんの僅かだ。

ここ数カ月、この急成長を実際に経験し、あるひとつの節目としてのゴールを決めたスタートアップがいる。Cyta.jpSTORES.jpだ。本誌のスコアリングでも上位に入る注目株だ。

セッションには若手側としてこの貴重な経験をしたコーチ・ユナイテッドの有安伸宏氏とブラケット代表取締役の光本勇介氏、「買う」大企業側として楽天でデジタルコンテンツ推進を務める執行役員の本間毅氏とKDDI企画戦略部長の松野茂樹氏が登壇した。

「81世代」の若手二人はそれぞれここ数カ月でクックパッドやスタートトゥデイといった伸び盛りの企業への売却を決めている。ラストセッションのモデレートはオープニングに続き、B Dash Ventures代表取締役社長の渡辺洋行氏だ。話題は若手二社のイグジットから始まった。

資金調達やM&Aにいつ動いたのか

まずはCyta.jpからだ。「創業は2007年。イグジットという言葉も知らない頃。プロダクトを作りたいと楽しくて仕方なく、2〜3年はそれでやってきて、数年して利益も出るようになると買収などの話題が出てきた」。(※編集部注:この辺りのストーリーはぜひ有安氏のインタビューも参考にされたい

先にキャッシュが回るモデルだったCyta.jpは銀行融資などを活用しながら事業を続け、次の成長を目指して資金調達に動く。

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STORES.jpもサービスとしては立上がって間もないが、運営するブラケットはコーチユナイテッドと同様「日銭を稼ぎながら」(光本氏)創業から5年が経過していた。ただ、これまで同社が運営してきたサービスと違ったのは「競合」の存在があったことだ。「さらなる競合やいつ大資本が出てくるかわからない。一気にドライブしなければならない」想いが光本氏を資金調達へと動かす。

さらに有安氏が光本氏に「BASEがいなかったら売らなかった?」と尋ねると「今作ってる数字も達成出来なかっただろうなと思ってる」とライバルの存在が成長に寄与したことを振り返っていたのが印象的だった。

なぜIPOを目指さなかったのか

その一方で伸び盛り、特にこの二社は自己資本経営だったからもう一つのIPOという拡大も考えられたはずだ。そこに向かわなかった理由に、両者は口を合わせて「買収する側とのマッチング」を挙げる。相性が良かったというわけだ。

「そもそもIPOに憧れをもったりする経営者じゃなかったんですよね。IPOかM&Aでどっちが正しいのか、結局自分が腹落ちできるかによると思うんです。結婚と同じです」(有安氏)。

愛情が足りなかったとしたリブセンス代表取締役村上太一氏のアプローチについては、「そんなにアプローチが強かったわけじゃないですよ。一緒に釣りしたぐらいです」とさらり。クックパッドに決めた理由は「会社のカルチャーが似ていた。カルチャーさえ合っていてトップがしっかり握れていれば大丈夫かな」と。

光本氏はなんと買収交渉が電話で決まったことを明かして会場を驚かせた。

「自分でもビックリするほどすんなり決まっちゃった。前澤さん(スタートトゥデイ代表取締役の前澤友作氏)は会社の問い合わせフォームからコンタクトしてくれて以来、三年ぐらいの付き合いなんです。実は今回の子会社化は1、2回の電話で決めたんですよね」(光本氏)。

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また光本氏は「4つサービスやってきて大きくすることは難しいと体験し、5つ目でポテンシャルを感じた。昨日ヤフーが大胆な発表をしていたけど、今年は大きなECの転換期になるしもっと大胆なことをする人も出てくる」と今年この無料のEC市場が大きく変わると予想する。

買収する側の理屈

松野氏はmedibaが子会社化したノボット、スケールアウトなどを始め、KDDIのM&A戦略を担当するキーマンだ。買収する際の基準について問われると買収する側、される側の目線が重要と語る。「100%買収はオーナーシップを失う。極端に言えば、株主総会で社長をおろされる。この相手だったらやっていけるという信頼関係を作れるかが重要」。

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また本間氏も「買収する側もされる側もどれほどの経験をしているか。こなれてくるとどういう風に付き合えばいいか分かるようになる。悲壮感とかそういうのはなくなる。場数が必要ですね」と市場の経験が買収には必要と語った。

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Takeshi Hirano

Takeshi Hirano

ブロガー。TechCrunch Japan、CNET JAPANなどでテクノロジー系スタートアップの取材を続け、2010年にスタートアップ・デイティング(現THE BRIDGE)を共同創業。1977年生。(株)THE BRIDGE代表取締役

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