街情報スタートアップのサンゼロミニッツが、中古不動産業者の仲介サービスをローンチ

Masaru IKEDA by Masaru IKEDA on 2013.11.18

サンゼロミニッツが今年5月、割安な中古マンションを探せるサービス「割安マンションチェックツール」をリリースしたのを覚えているだろうか。SUUMO などが提供する中古マンション情報から査定込平米単価を割り出し、これを各地域の駅周辺の平均値と比較することで割安度を提示、一目で割安なマンションを見つけられるサービスだ。

あれから約半年、同社は不動産関連サービスをまた新たに一つ立ち上げた。サービス名は「バイヤーズエージェント仲介」、ユーザが中古住宅を購入する際、物件の条件ありきで探すのではなく、不動産業者を指定して探すことを意図している。つまり〝不動産〟の仲介サイトではなく、〝不動産業者〟の仲介サイトだ。

buyers-agent

日本では中古住宅をはじめとする不動産の物件情報は、レインズに代表される情報ネットワークで流通することが多い。このことが意味するのは、全国どの不動産業者であっても、リーチできる物件情報はほぼ同じであり、消費者の立場から言えば、担当してくれる不動産業者がどれだけ親身に対応してくれるか、適切な提案をしてくれるか、ウマが合うかによって、自分の欲しい物件に出会えるかどうかが決まることになる。そこで、物件を選ぶのではなく、不動産業者を選ぼう、という発想に至ったわけだ。

価格等の基本条件が同じモノをどのルートで買うか、複数の選択肢が提供される、という点では、書籍の近隣書店の在庫情報を見せてくれる Takestock にも似た、ある種の O2O という見方もできるだろう。

先月、THE BRIDGE が取り上げた ietty の記事で、同社CEO の小川泰平氏は ietty を生み出した理由として、「不動産業界の〝情報の非対称性〟があった」と述べている。賃貸/分譲と相手にする市場は異なるものの、サンゼロミニッツが「バイヤーズエージェント紹介」を立ち上げたのも、まさに、この情報の非対称性のある市場をディスラプトしようとする狙いがある。サンゼロミニッツの CTO 野々村範之氏は、次のように語ってくれた。

不動産購入の機会は、多くの人にとっては生涯に1度だけ。物件を比べて見ることもあまりできず、商品(物件)の比較ができない。売主はその物件のことをよく知っているが、買主は購入するまでその物件の品質を知ることができないという、情報の非対称性が存在する。このことから、日本の中古住宅市場は、経済学で言うレモン市場によく例えられる。

(中略)

そこで不動産仲介業者を利用するわけなのだが…。実は仲介業者によって、不動産(とそれに関する)の知識が大きく違っていたりする。信頼できる不動産仲介業者を選ぶことは本当に難しい。それならば、そういうサイトを作ってしまおうということで、「バイヤーズエージェント仲介」を立ち上げた。

ビジネスモデルは、契約成立時にサンゼロミニッツが不動産業者から利用料を徴収する完全成功報酬型であるため、ユーザは料金無料、不動産業者はリスクフリーとなっている。ユーザが不動産業者をレーティングするしくみになっているので、契約が成立したときに同サイトを〝出し抜く〟可能性もまず無いと言ってよいだろう。何より不動産業者にとっては信頼を蓄積していくためのサイトなのだから。

ローンチ段階では首都圏エリアのみの対応となっているが、今後、エリアの拡大と参加してくれる不動産業者も増やす予定だ。不動産に限らず、仲介業ビジネスは全般的に、情報の非対称性を飯のタネにしてきた側面があるが、その概念は崩れ去りつつある。他にも、情報が非対称な市場を見つけることができれば、そこはスタートアップにとっては、大きな可能性が広がるブルーオーシャンかもしれない。

Masaru IKEDA

Masaru IKEDA

1973年大阪生まれ。インターネット黎明期から、シンクタンクの依頼を受けて、シリコンバレーやアジアでIT企業の調査を開始。各種システム構築、ニッポン放送のラジオ・ネット連動番組の技術アドバイザー、VCのデューデリジェンスに従事。SI、コンサルティング会社などを設立。Startup Digest(東京版)キュレータ。

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