〈東京スタートアップ・オフィスツアー〉食事をしているのか、洋服を選んでいるのか——消費者の行動属性の付加で、位置情報分析を進化させるナイトレイ

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※この記事は英語で書かれた記事を日本語訳したものです。英語版の記事はコチラから

本稿は、「東京スタートアップ・オフィスツアー」シリーズの一部だ。

東京に拠点を置くナイトレイは、位置情報データのアナリティクス技術を開発している。このスタートアップは、以前、日本のウェブサービス企業ネットエイジ [1] で仕事していた、CEO 石川豊氏によって2011年に設立された。

ナイトレイは先頃、Trexa というソーシャルメディア分析エンジンを開発し、その分析結果をナイトレイGISメッシュデータとしてGISプロバイダへ提供を開始した。渋谷近くにある同社のオフィスを訪問し、石川氏から今回の動きについて話を聞いた。

最近、複数の日本のシステムインテグレータが Twitter とデータ再販の契約を締結し、Twitter API から得られるデータの販売権を取得している。日本のビッグデータ・ソリューション会社のホットリンクは、10月にアメリカの Gnip とデータ再販の契約を締結[2]、NTTドコモは先頃、同社の携帯電話契約者の利用状況をもとに、モバイル空間統計の販売を開始した。

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ナイトレイGISメッシュデータ(画像化されたサンプル)

私は石川氏に、ナイトレイがこのようなビッグプレーヤーとどう差別化していくのかを尋ねた。

従来のプレーヤーは、つぶやきや投稿に結びついた、緯度や経度の値の集合を提供しています。この種の値によって、ユーザが今どこにいるのか、どこにいたのかはわかりますが、ショッピングモールのどのフロアに居るのか、どの店に居るのか、そして何をしているのか、という洞察までは教えてくれません。

私達のソリューションでは、そのようなユーザの属性を可視化します。これこそが我々の優位性であり、より効率のよいマーケティング展開や出店計画の検討に役立つと思います。

数年前、石川氏がナイトレイを創業したとき、彼は位置分析データを直販していた。しかし、しばらくして、日本のマーケティング関係者の非常にニッチなセグメントにしか、ビジネス機会が無いことを悟った。そこで彼は販売戦略を変更し、大手のGIS企業やシステムインテグレータとの提携を強化することにした。[3]

大手企業は既に、ユーザ属性情報の豊富な位置データが欲しいクライアント企業を多く持っています。彼らと組む方が簡単だと思いました。彼らもアナリティクス・ソリューションを持っていますが、あまり有機的なものではありません。GIS企業と協業することで、相互補完できると考えたのです。

石川氏は、ナイトレイのソリューションをO2Oのソリューションのみならず、より正確なエリアターゲティングを求める人々や企業に使ってほしいと考えている。

現在、同社は資金調達中で、さらなるビジネス拡大を目指してエンジニアも募集中だ。彼らのチームに加わることに興味があれば、このページからコンタクトしてほしい。

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ナイトレイのオフィスにて

  1. もともとのネットエイジは、日本のシリアルアントレプレナー西川潔氏によって、1999年に設立された。同社は後に ngi group に改称され、現在モバイルアプリの CocoPPa で有名なユナイテッドになった。この会社とは別に、西川氏は2年前、ネットエイジの名前で新しいインキュベーション会社を設立した。
  2. ホットリンクは、ネットマーケティング会社オプト(東証:2389)の子会社である。ホットリンクは最近、東証マザーズへの上場承認が得られたと発表した。上場は12月9日に予定されている。
  3. ナイトレイは最近、富士通と同社の位置情報データクラウドサービスの SPATIOWL の開発に関して提携した。また、マーケティング・ソリューション・プロバイダの技研商事インターナショナルとも提携した。

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