グローバル・ブレインが年次イベントAlliance Forumを開催——ピッチとパネル・セッションのハイライトから

by Masaru IKEDA Masaru IKEDA on 2013.12.17

※この記事は英語で書かれた記事を日本語訳したものです。英語版の記事はコチラから

東京を拠点とする投資会社グローバル・ブレインは、先週金曜日、年次のスタートアップ・カンファレンス・イベント「Global Brain Alliance Forum(GBAF)」を開催した。スタートアップ・コンペティションのセッションでは、日本とアジアから9つのスタートアップが参加した。入賞した上位3社のスタートアップを簡単に見てみよう。

1位:Triibe(シンガポール)

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Triibee は、シンガポールを拠点とするスタートアップ Ascriber が開発した、顧客フィードバック管理ツールだ。主にシンガポールで、レストランチェーンなど300以上の店舗にアプリを導入済だ。一般ユーザは店舗を訪問後、Tribee を使って店舗を評価し、Facebook で共有すると、次回店舗で利用可能な 10% の割引特典がもらえる。

店舗には、顧客の満足度や体験評価を計測できるダッシュボードが提供される。中でも最も主要な機能の一つは、リアルタイム警告システムだ。顧客からよくない評価を受け取ると、すぐさまその内容が店舗責任者に SMS やメールで通知され、顧客のニーズが最速で把握できるしくみだ。

この分野には多くの競合が居るが、Triibe は複数の機能で差別化し、日本やアジアでサービスにも進出したいとしている。

2位:Monaca(日本)

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Monaca は、日本のアシアルが提供する、クロス・プラットフォームのモバイルアプリ開発プラットフォームだ。HTML5、JavaScript、CSS などのウェブ標準の活用により、技術に明るくないユーザが、ネイティブ・アプリを開発するのを支援する。現在は、アプリ開発者コミュニティに提供することで、ユーザをエンゲージすることに注力している。

同社の CEO 田中正裕氏に前回会ったのは、6月にルクセンブルクで開催された ICT Spring のときで、彼は私に、Monaca はライセンス料やインストールが不要で、コンピュータの専門学校が生徒にアプリ開発環境を容易に提供できるため、世界的にも人気を得つつあると話してくれていた。

3位:Whoscall(台湾)

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Whoscall(日本名:だれ電)は、iOS と Android 向けのスパム電話ブロックと発信者探知アプリだ。彼らはデータベースに、電話番号と発信者のプロファイルを6億件以上蓄積しており、電話が着信すると、アプリは誰が電話をしてきたのか教えてくれる。

今月初め、Whoscall を運営する Gogolook は、韓国の検索エンジン企業 Naver から資金調達したと伝えられた。調達金額は不明だ。私は同社の Jeff Kuo(郭建甫)氏と話をする機会があったが、彼はこのことについて、あまり多くを話したがらなかった。Gogolook は Naver 以外との企業との協業にもオープンであるにもかかわらず、今回の Naver からの出資が他社との提携の可能性を狭める、と理解されるのを避けたかったようだ。

Naver との資金調達に先立ち、同社はエンジェル投資家から50万ドル、Trinity Venture Capitalから金額非開示の資金調達を受けている。この分野には、Number GuruTrueCaller など複数の競合が見受けられる。

Techstars が語る、アメリカのトレンドとアジアに見出す可能性

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左から:Techstars 社長 David Brown 氏、マネージングパートナー Mark Solon 氏、グローバル・ブレイン Katsuyuki Hasagawa 氏(モデレータ)

アメリカでのインキュベーションで何がホットかを紹介するセッションでは、グローバル・ブレインの Katsuyuki Hasegawa 氏が、Techstars の社長 David Brown 氏とマネージング・パートナー Mark Solon 氏とのパネルをモデレートした。

Mark は Techstars がコロラド州ボルダーで、2002年にローンチしたと語った。彼によれば、ボルダーは眠い大学の街だっだ。しかし、長年に渡る努力が実を結び、スタートアップ・シティとしては、シリコンバレー、ニューヨーク、ボストンに次ぐ4位の都市となった。

Solon によれば、彼らは投資先にメンターシップを提供する上で多くの大企業と協業しており、その中には、世界的なトップスポーツメーカー Nike のほか、電話会社の Sprint、イギリスの金融会社 Barclays が含まれる。メンターシップ・プログラムにおいては、例えば、Barclays は、参加スタートアップに API に早期にアクセスできる環境を提供し、fin-tech(金融テック)ソリューションの開発を促している。これらの活動の背景にあるのは、多くの企業がオープン・イノベーションを促進する必要があるとわかっていて、つまり、大企業ももはや社内のビジネス開発やエンジニアリング開発だけに頼れない、ということを現している。

David は、Techstars のプレゼンスをアジア地域でも広げたいと語ったが、私は Techstars のグローバル・アライアンス・ネットワークに、日本からはどのアクセラレータもまだ参加していないことを知っていた。アジア全体の話に広げても、シンガポールの JFDI Asia のみだ。私は聴衆の中から、日本のスタートアップ・エコシステムとの恊働に関心があるなら、日本のインキュベータにアライアンスに参加してもらうことに興味は無いのか、と尋ねてみた。David によれば、アライアンスは新規メンバーを承認するにあたって条件があり、どのようなメンターシップ・プログラムを提供しているか、一定期間内にどのくらい卓越したスタートアップを輩出できるか、など厳しい条件があるのだそうだ。しかし、アライアンスのスキームとは別に、日本やそれ以外の国々のアクセラレータやインキュベータとは喜んで協業したいと語った。

グローバル・ブレインにとっての、新しいこと

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左から:グローバル・ブレインCEO 百合本安彦氏、産業革新機構 土田誠行氏、増島雅和氏(森・濱田松本法律事務所)

今回のイベントの開会の辞で、同社の創業者兼CEOの百合本安彦氏は、次のように話した。

今日は大きなニュースがある。我々はスタートアップと起業家のために生まれ変われる。詳細は後ほどのパネルで明らかにする。

その後、百合本氏は産業革新機構 [1] の戦略投資グループ長を務める土田誠行氏や、弁護士の増島雅和氏とパネルディスカッションを行った。

このパネルで、百合本氏はスタートアップ向けの投資契約書から株式の買戻条項を廃止し、デューデリジェンスが1〜2週間で完了するようチームを増強すると発表した。これまでに資金調達したことのある人であれば、買戻条項がビジネスにおいて頭痛の種で、典型的なベンチャーキャピタルは企業価値評価に数ヶ月をかけることは知っているだろう。それに加えて、同社は投資契約書のテンプレートを公開し、起業家が資金調達しやすくなるよう、出来る限り制約を撤廃するよう他の投資会社にも働きかけていきたいと考えている。

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左から:グローバル・ブレインCEO 百合本安彦氏、Golden Gate Ventures パートナー Vinnie Lauria 氏、5rocks CSO ノ・ジョンソク(노정석)氏、TMI台湾創意工場 CEO Mark Hsu氏、アシアル ディレクター 塚田亮一氏、Gogolook(走著瞧股份有限公司)CEO Jeff Kuo(郭建甫)氏、Ascribr 共同創業者 Clark Chun Kiat Chua 氏

  1. 産業革新機構は、日本政府による企業向けの投資組織だ。同社は最近、グローバル・ブレインが運営するスタートアップ特化ファンドに100億円を投資した。

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